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「うっ、いっいえ、そんなことはありません。」
「そう?私の勘違いかしら?」
「リディ、ダメよ。」
「あっ、大丈夫です、奥様。リディ様の観察眼は流石ですね。やはり奥様の妹様です。私は一侍女であり、セッカ様と同じ侍女で、今まで奥様にお仕えしていた先輩侍女でもあります。セッカ様よりも奥様に信頼される侍女になりたいという気持ちがあり、それをリディ様に感じられたのかもしれませんね。」
「ふふ、なるほど!そうね、そうよね。セッカはうちで唯一の侍女で本当になんでも出来てしまう侍女なのよね。」
リディったら。
リディはセッカのことも大好きだからね。
セッカはリディが産まれる前に連れてきた子だから、リディの世話を私とセッカでしていたから、セッカはリディにとってもう1人の姉なのよね。
だから少し嫌な言い方をしたのね。
以前エレナがいた時はたまたま他の仕事でセッカは居なかったから。
でも、今回はまず、セッカが御屋敷まで飛んでくれたのよね。
鴉となって。
セッカはとても凄い獣人族。
セッカが変身して飛べば、何日もかかる道のりが一瞬なのだから。
旦那様にお知らせした後、旦那様の手紙をセッカが届けてくれたのよね。
だからこんなにも早くエレナ達が来れたのだけども。
「リディ様、あまりにも過大評価は困ります。」
「えー、そんなことないよー。セッカはとってもとーっても凄いわ!掃除洗濯、家事全般どれも上手だし、領地運営を手伝っていた姉様の補佐もしていたものね!」
「それはミミ様が全て出来ていたので、私は侍女でミミ様にお仕えする身ですから、主人が出来ることをできないと困りますから。それに教えて下さったのはミミ様ですから。」
あーら、そうだったわ。
セッカは、私が拾ってきて、お父様にお願いして、無理やり侍女にしてもらったのよね。
何の経験もないセッカを。
何ができるか聞いても暗殺としか答えてくれなくて困ったこともあったわ。
でも、うちの家族となったセッカをそんな危険なことさせたくないから、必死で家の事を教えたのよね。
セッカが来る前までは先代の侍女がいたのだけども、ご高齢で引退を考えていたから、私が色々と話を聞いて、していたのよね。
だから、一応一通りは出来ていた。
なんで、お嬢様がっと先代侍女には言われたけども、うちの現状を知っているからこそ、私がなんでも出来るようにならないとっと言って聞かせれば、教えてくれたのよね。
それを更にセッカに教えて、でも、セッカってばとっても物覚えがよくて、すぐになんでも完璧に出来てしまっていたわ。
本当に、セッカって天才なのよね。
それからはうちの唯一の侍女として、なにもかもを行ってくれているわ。
セッカは今では本当にうちに居なくては絶対にならない人なのよね。
「うぅ、私はまだまだです。」
「あら、そんなことはないわよ。エレナ!エレナは本当に侍女としてとても優秀よ!そのうちが少し特殊でセッカは侍女の仕事以外のこともしてもらっているから、だからね、エレナ、落ち込まないで!」
「はっ。そうですね、お嬢様の一侍女としてお役に立つ為には家事全般は勿論、秘書としての役目も出来なくてはなりませんからね。それに護衛の為の戦闘に、情報収集の為の隠密。私ひとりでお嬢様をお支えしなければなりませんからね。しかし、
公爵家は沢山の人がいらっしゃるから、そういうお仕事は皆さんで分け与えられますからね。そうなさった方が効率がいいですよね。まぁ、お嬢様はいつもどんなことをしても、とても褒めてくださるから、その褒めを独り占め出来ないのはとても可哀想だと思いますがっ。」
「ちょっ、セッカ!!」
「事実を言ったまでです。」
もう、セッカたら!
落ち着いたと思ったエレナに、また挑発するような事を!!
嗚呼、エレナがまた落ち込んでるじゃないっ!!
「姉様、姉様。セッカってば、とっても楽しそうね。」
「えぇ!?そう?」
「うん、今まで近くに居たのは私達だけだからか、セッカも大事な家族だけども、セッカからしたら私達は一応、仕える人達ってことだから、どこか距離を置いていたじゃない?勿論、姉様との信頼は誰よりも強いけども、こうやってセッカが張り合うことなんて今までなかったじゃない?」
そう言われれば、そうね。
セッカは幼い頃にうちにやってきて以来、ずっと冷静に仕事をこなしていたわ。
歳の近い子は私ぐらいで、私やリディ達は家族だけど、友達ではなかったから気安い態度など見ることがなかったわ。
そんなセッカが今、エレナに対して、その挑発的だけども、どこか気安げに話しているわね。
ふふふ、これって、セッカにとって、とてもいい事よね!
「そうね、そうね!リディ、もしかしてエレナとセッカってとてもいい友達になれるんじゃないかしら!!」




