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「奥様ぁああ!!!」


「エレナ、よく来てくれたわ。」


「嗚呼、久しぶりの奥様です!お元気そうで良かった!」


「ふふふっ、久しぶりって2ヶ月ぐらいよ?」


「長いですっ!屋敷の皆も奥様がおらず、寂しがっていましたもの!」


「あら、それはとっても嬉しいわ。」


「嗚呼、本当ならば、こんなに離れることは無かったのに。あほバカ旦那様めっ!」



あらあら、エレナったら。

エレナがうちに一緒に行くと強く言っていたけども、旦那様が屋敷にいないのにクリスだけでは何かあった時に対応できないと困るからとエレナも残ることになったのよね。

それを聞いてエレナは相当不満だったようだけど、実家に帰ればセッカもいるし、大抵の事は私1人でも大丈夫だからといってエレナを置いてきたのだけども。

そのエレナが何故ここにいるかというと。



「嗚呼!離れたくないっ!!ミミと居たい!!」


「隊長、早くしないと。」


「もう、無理やり連れていくか?」


「それが出来たら苦労してないっての!!副隊長!どうにかしてくださいよっ!!」



目の前には旦那様が必死にうちの柱にしがみついて駄々をこね、それを必死に剥がそうとする旦那様の部下の方々。

本来なら休みをもぎ取ってきたと旦那様が言っていたので、まだ休みのはずなのだが、数日前、旦那様にお祖母様が動いていることをお伝えすると、少し険しい表情でどこかに連絡を入れていた。

お祖母様が陛下と仲がいいことは旦那様も知っているし、多分、お祖母様は私から旦那様に、そして皇太子様に、陛下へと繋がることを計画して、リディに頼んだのだと考えついた。

でなければ、態々リディに、依頼として頼むことはしないと思うから。

勿論、リディ達の中に情報が入りやすい体制になっていたことは分かるし、それを利用する方がスムーズなのもあるけど、それだけで、お祖母様がリディ達を巻き込むとは思えない。

あのお祖母様のことだ、遠回りしたとて情報は入るだろうし、なによりも家族を大切に思っている方だもの。

リディ達はお祖母様がどれほどリディ達自身を愛しているか知らないものね。

でも、私だけは知っている。

お祖母様と長く行動しているからこそ、お祖母様はお祖父様を、そして息子であるお父様、お母様、そして私達孫を本当に愛している。

今、放浪しているのも、勿論、お祖母様の楽しみもあるだろうけど、なによりもお祖母様の影響力から私達を守るためだろう。

お祖母様が願えば、正直言ってここまで貧乏になることは無かっただろうなぁと思う。

でも、お祖母様はそれをしなかったのは、なによりも私達の自由を願ったからこそ。

誰か他に力を貸してもらえば、繋がりができてしまう。

陛下と父は知り合いで、友人関係に近いそうだけども、もし力を借りればその関係も崩れてしまうだろうと考えつく。

だって、公には一切知られていない関係だもの。

今、誰にも脅かされず穏やかに暮らしていけるのはそのおかげ。

陛下と親しい辺境伯なんて知られたら、何に巻き込まれるか分からない。

勿論、父だって領民達が大切だから、本当にどうしようも無ければ、力を借りただろうけども。

私もそのことをよく知っていて、なにより次世代となる弟達にそんな枷をつけたくないと強く願っていた。

なによりも守らないとって。

でも、いつの間にかこんなにも立派に2人はなっていた。

お祖母様もきっと驚いたことだろうけど、ちゃんと立派になった2人を認め、そして近くに私がいることを知っての行動だろうと思う。

確かに立派になった2人だけども、まだまだ幼い2人だもの。

しっかりと周りで見守らないといけないよって、お祖母様からのメッセージも含まれているのね。



「はぁ、1つの行動でこれだけのことを伝えてくるなんて、流石はお祖母様だわ。」


「それを汲み取り分かる姉様が凄すぎるわ。本当に姉様は才能に溢れた女神だわ!」


「そうですね!リディ様!奥様はやはり!女神!ですわ!」


「そうよね!そうよね!」



さっきまで、2人で呆れたように旦那様達の様子を見ていたリディとエレナは急に手を取り合って嬉しそうに跳ねている。

ううん、この2人はとっても仲がいいのよね。

以前、御屋敷に行くまでの間、お世話としてエレナが残ってくれていた時に意気投合してしまったのよね。

その意気投合した内容が私がいかに素敵なかってことなのが、とっても恥ずかしいども、2人が仲良くなることはいい事だと思い、そのまま見守っていたのだけども、こうしてまた見ることになるなんて。



「エレナさんとまたお会いできて良かったわ!エレナさんがいるからって姉様がお嫁に行っても、大丈夫だと思えたもの!」


「ふふふ、そう言って下さり、光栄ですわ!リディ様。」


「でも、エレナさんって、うちのセッカが苦手なんですか?セッカを見てとっても嫌そうな表情だったので。」

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