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お祖母様か放浪しなければならないほどの距離にある国であること。
前回の戦争でこの近隣の国はお祖母様のことをとても尊敬されている方々が多いから、それこそ何か国であればすぐにでも分かるはずだわ。
でも、そうではなかった。
だから、お祖母様はかなりの時間を掛けて旅をしていたとみると相当遠い場所だということが分かる。
そして、ワルア国の状態から、ある程度の国力のある国でなければ勝算などあるはずもない。
つまりレオルド国並の武力のある国。
そうなると、獣人とはまた違った力を持った国。
魚人族の国であるトマッティア国が頭に浮かんだのだ。
トマッティア国は遠いが、武力もあり魚人族は海に強いので、海で距離があるがそれは関係ないのだから、真っ直ぐに結べば、ある程度の距離にある国。
ただ、それほど野心のある国ではななかったはず。
それがなぜワルア国と手を組むことになったのだろうか?
「どちらかと言えば穏やかな国だったはず。なのに、なぜトマッティア国となのかはよく分からないわ。」
「あっ、姉様もそう思うんだね。」
「えぇ、国力だったり、近さなどを考えて1番にトマッティア国が頭に浮かんだけども、でも、あの国が戦争を起こそうなんてするかしら?」
「だよねー。姉様もそう思うよね。お祖母様もそう思ったらしくて、その情報を集めるのに苦労してたみたい。だから、私達に頼んできたぐらいだし。」
「そう、それで何か分かったの?」
「それが、どうやら、トマッティア国の内部が今、それこそ内戦のようになっているみたい。なかなか表の情報としては出してなかったのだけどね、偶然、魚人族と繋がりのある奴が青薔薇にいてね。そこから当たっていったら、内戦が起こりつつあるんだって。」
「内戦?」
「うん、どうやら、それが今回の戦争の引き金となるかもしれないってことなんだけどね。」
今では温厚で戦いを好むことはないトマッティア国だが、それは昔、数百年前はどちらかと言えば攻撃的で、武力が唯一だと言われる人々が多くいたそうだ。
そんな国に希望を見いだせなくなったある魚人族が、知恵を得て力を蓄え、仲間を増やし、今まで居た王族を退け、今の穏やかな国へと変わっていった。
しかし、この数百年前の中でも、今の現状に満足できない存在がいた。
「それが旧王族達。」
「武力こそが唯一であり、全てを破壊することを目的としているね。」
「なるほど、でもなぜその、旧王族が今になって?それこそ前回の戦争もあったはずだけど、トマッティア国は関係一切なかったはずよ?」
「その頃の王族の方が強かったのよ。だから黙っているしかなかったのだけど、今は違うわ。今のトマッティア国の王族はかなり力が落ちている。というか、どうやら四大貴族と呼ばれる公爵家の方が力を持っていて、それこそ旧王族よりも力を持っているはずなんだけども、それがね、今のトマッティア国の皇太子が婚約破棄したり、魔性の女と言われている存在が居てね、それが引っ掻き回したおかげで相当、国の中が混乱していて、王族も四大貴族も仲が悪くなっているとかで、今が絶好のチャンスなんだとか。そんな醜態を近隣の国に知られる訳にはいけないから緘口令を出して、秘密にしているみたい。」
「そんな状況だから、旧王族が動き始めたと?」
「そうみたいね。いやー、今回たまたま魚人族の繋がりのある奴が居たから聞けたけど、本来だったら知りえない情報だったのよね。運が良かったわ。」
「そうね…。」
確かに、こんな情報、普通じゃ入ってこないわよね。
でも、これってたまたまなのかしら。
このタイミングでお祖母様から依頼が入るって、もしかして。
「このこと、お祖母様は知っていたのでは?だから、リディ達に依頼してきたんじゃ。」
「えっ?」
「じゃなきゃ、今まで1度も何も言ってこなこったお祖母様が急に依頼なんてしてくるかしら?」
「確かに、でも、私達でも知らなかった情報なのに、なぜお祖母様が知って。」
「お祖母様はそういう方よ。」
お祖母様は弓の名手だけではないのよ。
リディ。
お祖母様の1番怖いのは、彼女自身の人を惹きつける能力。
どんな人だってお祖母様に惹き付けられ、お祖母様の望むように動いてしまう。
それこそ国だって動かせるほど。
誰かが言ってたっけ、お祖母様が野心家でないことが今の平和に繋がっているって。
もしお祖母様が野心家でそれこそ国を世界をっと望んだら、それこそ魔王と言われる存在になっただろうって。
まぁ、でもそれを聞いて思ったのは、そんな野心家ならば、誰も惹き付けられしないだろうなって。
今のお祖母様だから、のらりくらりと海月のように漂い、しかし強い影響力があるお祖母様だからこそ、人が惹き付けられる。




