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「はぁー。」


「奥様?」



嗚呼、思わずため息が付いてしまった。

しかし、つかずにはいられないでしょう。



「何故、旦那様は、最近、よく帰ってくるのでしょうか?」


「あっ、嗚呼。なるほど。」



エレナはうんざりしたような表情で、宙を見ている。

本当になんででしょう?

セッカが出てきた日、その次の日の朝から、エレナ達がクリスに説明をして、その後クリスが旦那様に話をしてくれたようで、その後何も言われることもなかったのですが。

何故か、あの日以来、1週間に2度ぐらい帰ってくるんです。

以前は全く帰ってこなかったのに!!

帰ってくる度に一緒にご飯を食べるんですが、全然味がしないんです。

もうご飯は美味しく食べたいのに。

しかも、会話ゼロ。



「エレナ、今日は?」


「大丈夫ですよ、奥様。今日は、帰ってくるとは聞いておりませんので。」



旦那様が帰ってこない、その言葉を聞いてホッとしてしまう。

嗚呼、普通なら帰ってこないことを聞かない限り帰ってくるはずなんですが、この屋敷の旦那様は逆で、帰ってくる時に伝わるんですよね。

だから、本当に一安心。

今日は美味しくご飯が食べれそうです。



「本当に興味本意なら近づかないで頂きたいです。」


「エレナ?」


「なんでもありません。奥様。」



時折、エレナは何か小声で言うことがあるのですが、全然聞き取れません。



「それにしても、奥様。最近は私たちの名前をつまらずにちゃーんと呼んでくださってとても嬉しいです。」


「へっ?」


「今もスムーズにエレナと。」



嗚呼、そういえば、この数日で慣れたようで。

セッカが訪れた日、次の日に、エレナ達に言われたんですよね。

何故、同じ立場のセッカは、さん付けでないのかって。

いや、元々セッカとは長い間一緒に致し、それこそ幼い頃からだから敬語も使ってはいなかったのですが、どうやらそれがエレナさん達は気になったようで。

私達も敬称はなしで、敬語もなしでと言われたんですよね。

それ以来、さん付けで呼ぼうとしたら違うと言われ、それを知ったクリスにも言われ、いつの間にやら、この屋敷の皆にそうするように言われ。

最初は本当に慣れなかったのですが、ようやく慣れて普通に言えるようになれました。

でも、それをまさか、嬉しそうに言われるなんて。



「変なエレナ。」


「ふふふ、変で構いません。奥様。」


「もうっ。」


「そうです、奥様。またご実家から荷物が届いておりますよ。確か、野菜等が。」


「あら、そう!?」



もうそんな時期なのね。

なんの野菜かしら。

まぁ、私の実家の野菜はとても美味しいし、また料理長達に料理してもらいましょう。

とりあえずは、私の部屋に運んで貰えるように頼んでっと。



「大丈夫です。奥様、後で届けてくれます。」


「あらあら、流石はエレナね。」



頼まなくてももう、そうしてくれるなんて。

流石は優秀なエレナさんです。



「今回もちゃんとじっくり、見ておりますので。」


「あっ、あははっ。」



あー、あの、セッカ荷物紛れ込み事件から荷物は念入りに検査されるようになった。

特に私の実家からの荷物は。

またセッカが紛れ込んでいないかと疑ってだけど。



「もう、セッカも荷物に紛れ込んでなんてしないと思うけど。」


「いいえいいえ、またするかもしれません!!油断は禁物ですっ!!」



もう、エレナ達はとても慎重になってるけども。

多分、セッカは同じ手は2度も使わないわ。

次もし、やってくるなら他の方法だと思うのよね。

あの子、本当に賢いし。

そうは思うが、打倒セッカに燃えているエレナ達には何も言えず苦笑を浮かべるばかり。



「さーさー、奥様。今日はダンスのレッスンですよー!」


「えっ、今日は畑仕事。」


「いいえ、今日はダンスのレッスンです。ミラ先生がやって来てくれてますよ!!」



うぅ、私にダンスなんて披露する場ないのに。

なのに、何故かセッカ事件から2日もしないうちに、ダンスの先生がやって来るようになりました。

しかも、クリスの知り合いの方で、普段は温厚なのですが、ダンスのレッスンとなると、とてもスパルタになるというミラ先生。

いや、こんなに練習しなくてもって思うんですが、クリス達が公爵家の奥様には必要と言われ。

渋々、従っているのですが。



「うぅ、今日は筋肉痛です。」


「なにを、奥様は普段の畑仕事のお陰で足腰がしっかりしているとミラ先生は言ってましたよ!!」


「足腰はしっかりしてても、使う筋肉は全然違うんですよ!!!」



本当に、あのレッスンを受けた次の日はくる痛みが恐ろしくて仕方がありません。

ぶつくさ言ってはいるものの、もう来ているミラ先生を待たせることもできず、渋々受け、ボロボロになった私がいるのでした。

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