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驚いているリディを横目に、青薔薇達に仕事を頼もうとしたが、流石はリディというかなんというか、意識を戻して、また割って入ってきたな。
嗚呼、もう、リディにバレるとめんどくさいだろうなっとは思っていたが、やっぱりな。
ただでさえ、今、面倒臭いことしているなって思っていたが、別にそこまで危ないことでもないだろうからと見て見ぬふりをしていたのだがな。
それで、内密にこの仕事を頼めたらなって思っていたが、そう上手くはいかないか。
「なになになに??兄様ったら、婆様と繋がっていたの!?」
「いや、今の今までは全く連絡なんて取り合ってないさ。」
「じゃあ!なんでっ!?」
「さぁ?流石はと言うべきか、末恐ろしいと言うべきか分からないが、何故か、今、ウチの領地内で腕のいい情報屋があること、そしてそれを率いているのが、俺とリディ、お前であることを知られていてな、どうやら、それで俺の方に連絡してきたんだよ。」
「なっ、なにそれ。」
リディが驚いているが、俺も、連絡が来た時相当驚いた。
何故、その情報をこの地にいない婆様が知っているのか?
考えても、何かしらと謎の深い婆様だ。
考えても分からないのと早々に諦め、婆様の依頼を早急に進めないとと思いやってきたが、話が進まない。
「まぁ、婆様だから別に不思議に思わなくてもいいと思え。それで、青薔薇達なんだが、隣国の情報を小さなことでもいいから、集めて欲しいんだが。」
「隣国というと?」
「パセラ国だ。昔、隣国に戦争を仕掛けて、多大な損失をだし、今では小国となった、あのパセラ国だ。」
「嗚呼、もう噂程度でしかないですが、その昔の戦争の時、若達のお祖母様達が、裏で活躍したという。」
「そうだ、実際どうだったかは、今はよく分からない。あの時のことは婆様も教えてくれないし、情報としては残っていないんだ。しかし、婆様が色々な地を転々として、色々な人に慕われているのはこの時の戦争で活躍したからこそなんだが、表立って勲章などを与えられたというのもないんだよなぁ。」
この領地だって、元々爺様が代々受け継いだ地位と領地だし、婆様がその戦争で活躍していたら何かしらあるはずだが、父上もそのことはなんにも言わないし、何よりうちは俺が産まれる前から貧乏だ。
元々そんなに裕福では無かったが、数十年前の大災害で、領民を守るためにと行った政策で貧乏になったが。
まぁ、それに関しては父上が愚かだったとかではなく、その時はそれしか無かったし、領民を見捨てるような者だったら、俺は父上を軽蔑していただろう。
だから、その事に関して不満は無いし、少しずつは回復していったし、姉様が公爵家に嫁に行き、うちを援助してくれたのをキッカケに今では、元よりも裕福になっている。
嗚呼、話が脱線したな。
まぁ、だから、噂では関わりがあったという婆様だが、実際、こんな風に情報を集めて欲しいと言われるとは思わなかった。
「今まで、私達には絶対に話してはくれなかったし、隠そうとしていたのに!なのに、なんで、今になって、弱小国となっている国のことなんか。」
「リディ、忘れたのか?どうやら、その小国のパセラが、不穏な動きがあるって言ったのを。」
「覚えているわよ。確か、かなり離れているはずの大国と交流をしはじめて、それが何故かって。でも、うちはあのバカ姫がお隣に嫁に行って、結束が深まっている様子を知ったから早々に馬鹿なことはしはじめないって。」
「それが、どうやらそうじゃないみたいだな。」
「えっ?」
「少なくとも婆様はそう考えてないらしい。」
連絡が来て、驚いて昔の戦争についても調べたが、昔も隙をつくのが上手く、だからあれだけ大きなものになってしまったのだと感じた。
今回もそうなのかもしれないと思い、直ぐに婆様達は動いているのだと思えば。
「俺たちに出来ることは少ない。でも、何も出来ないわけじゃないだろう?」
「えぇ、私達は世間体的にはまだまだ子どもだわ。でも、青薔薇達のお陰で情報は集めることはできるわ。でも、本当なのかしら?本当に、そう、なるのかしら?」
「分からない。でも、備えているのは悪いことじゃない。今は、母上も大事な時期で、それを支えている姉上にも知られたくはないだろう?」
「えぇ。もうすぐ産まれてくるのよ?私の素敵な弟が!邪魔はさせないわっ!青薔薇達!お願いできる!?」
「嗚呼、勿論。」
「大丈夫ッス!」
よし、とりあえず婆様の依頼はなんとかなりそうだな。
しかし、何故、今の時期に。
いや、元々動きはあったのは、父上も知っていて、最近は動けない状態が暫く続いていたな。
「よしっ!なら、お義兄様を理想の旦那様計画も急いでしないと!」
「...えっ?今、なんて言った?」
「あっ。」
「リディ、その話はよーくよーーーく聞かせてもらわないと、なっ?」




