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「その、ミミ。」


「ん?なんですか?旦那様、何かお困り事でも?」


「いや、困り事という程では無いのだけども、そのだな、君の妹のことでな。」


「リディアがなにかしましたか!?」


「いや!いや!!そうじゃない!!そうじゃない!!そのリディなんだが、ミミ、君には言っていると言っていたが、その獣人族に恋をしたとか。」


「あら、あらあらあら!なんということでしょう!旦那様にはお話したのね!リディったら!」


「嗚呼、内緒だと言いながらも、話してくれたんだが、そのリディは俺の事知らないはずだよな?」


「えっ?えぇ、その旦那様の秘密、ですよね?それはえぇ、あの子は今まで1度も領地から出たことがない子ですし。」


「そうだよなぁ。」



思わず聞いてしまったのは、何故、ミミの妹であり、俺の義妹であるリディがそんな大事な話を義兄でしかない俺に話したのかが不思議だったからだ。

ミミの実家に来てから、数日、本当に色々あった。

義母には、睨まれ、義弟には怪しまれ、義父には穏やかや目で見られと、正直言って、まぁ、自業自得なのだが、そんな目線ばかりで、義父以外には好意的には見られない。

その事をエレナに話せば「そりゃあ、当然でしょう!」と、突き放され。

まぁ、エレナはミミが屋敷に来るまでこの家で一緒に数ヶ月暮らしていたから、義母達のことをよく知っているので、義母達の方についてしまう。

義父も理解はしてくれているが、けども、俺が自分の愛する娘を利用したことは、許し難いことでもあるので、俺の味方をしてくれることはない。

そんな周囲敵ばかりな状態の俺に唯一懐いてくれたのが義妹のリディだ。

王都の話、いや、領地の外の話を好み、何度も何度もやって来ては話を聞きに来る。

正直言って、そんなにいい所ではない王都だが、領地の中しか知らないリディにとってはとても魅力的だったようだ。

最初から好意的だったリディはさらに懐いてきて、王都の話にミミの話を聞きたがり、また今までのミミの話もしてくれるようになった。

正直、ミミの話をしている時はお互い熱くなりすぎて、誰かに止められるまで終わらなくなり、王都の話もそこそこになってしまうのだが。

だからか、俺の少ない知識でもまだ、王都について話すことはあるのだが、何故そんなにも気になるのか聞けば、まさかの答え。



「リディが獣人族の方を好きになるなんて。」


「姉としては複雑かい?」


「いいえ、まさかリディもとは思いましたが、とっても良い方そうなので良かったとも思いました。ただ。」


「ただ?」


「リディの想い人も、直ぐに会えるような方ではないことが、とても気になって。リディには幸せになってもらいたいのですが、その。」



そう言って、悲しげな表情をするミミを、そっと抱きしめる。

嗚呼、そうか。

そうだよな。


「自分のようになったらって心配?」


「えぇ。私の場合、特殊でしたし、その、なかなか無いことではあるとは思うんですけどね。」



ミミにとって、トラウマとなっているよな。

あの野郎とのことは。



「とっても素敵な思い出ですし、後悔はしてません。でも、待っている間の虚しさはあって。その、そんなこと、リディはないとは思うんですけどね。」


「相手のことはちゃんと調べているって言っていたな。」


「えぇ、リディはとっても賢い子ですから。あの子の周りにはとっても頼りになる大人が沢山いますしね。」


「青薔薇だったけ、商人をしていると聞いたが。」


「えぇ、ウチの領地の特産物を売ってくれていたり、逆に他所からの物を取り寄せてくれている方たちなんですけども、外に出向くことも多いので、色んな情報も仕入れてくれているみたいです。なので、今回のお相手もその方達から情報を頂いてるみたいです。」


「そうか、青薔薇、どこかで聞いたような。」


「あら、そうですか?ふふふ、王都の方にも出向くことはあるそうなので、もしかしたら、お会いしたこともあるのかもしれませんね。」



青薔薇、どこか聞いたことがあるが、それが商人だったのか?

いや、なんか違ったような。

職場の部下達が、いや、隊長達か?

いやいや、そんな訳ないよな。

ミミ達の領地の者ということはミミ達の大事な領民であり、俺も守っていかなければならない人々だ。

それを疑うなんてな。



「それで、リディは旦那様になんて?」


「いや、ミミの初恋の相手について気まずそうに話してくれていた。まぁ、俺が知っていることを話せばスラスラと話してくれて、それで、不安に思っていることも伝えてくれた。」


「不安、ですか?」


「あぁ、リディは俺の事をただの人だと思っているからな。ミミが初恋の獣人族に恋破れ、その後、俺と出会い恋をしたが、自分も獣人族の者を、愛したが、それが相手にとっても自分にとっても幸せになれるのかっと。そう思っているそうだ。」


「まぁ、そんな。」


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