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なるほど、なるほど。

そーいうことか。

まさか、姉様が想い人と会っていたとはね。

そうかもしれないとは思っていたけども、本当に会っていたとは。

しかも、姉様を、忘れていただなんて。

迎えに来ないことから、薄情な奴だと思っていたが、まさか女神のような姉様を忘れることがあるなんて。



「根性語り無さすぎるわ!!」


「頭ー、急に現れて、急に暴れ始めないでくれよー。ここ、結構脆いんだからな。」


「うるさい、ジョイッ!!」


「無理っすよ、今の頭は怒りで周り見てねーっすからー。」



なんか周りがうるさいけど知らないわ!

姉様の口から直接聞いた話は、衝撃すぎたわ。

迎えに来ないやつなんてって思っていたけども、まさか忘れていたなんて。

姉様は仕方がないことだと言っていたし、もう大丈夫だとも言っていたけども。



「あんなに姉様に愛されていて、忘れるなんて!!」



腹立ち過ぎて、姉様との話もそこそこでまた出てきてしまった。

本当ならもう少し姉様の話を聞こうって思ってたのに。

あのままあの場に居たら、計画を壊してしまうところだった。

先はまだまだ長いのに。



「でも、何故、姉様がお義兄様を愛しているのかはよく分かったわ。」


「えっ、やっぱり女神様、公爵様を!?」


「えぇ。そうね、今の姉様はお義兄様のこと、本当に愛しているみたい。多分、あんた達が調べてきたあの夜会に来てたんでしょうね。姉様の想い人が。でも、姉様を裏切った。嗚呼、腹の立つことだわ。でも、いくら怒りが募ろうと、もう奴はこの国にはいないし、なにより姉様のことを覚えてもいないし、姉様もそいつに害をなすことは望んでいないからね。はああ。」


「おっ、流石は頭。女神様から話が聞けたんだな!!」


「あったりまえよ!!」



何のためにここまで計画したのだがっ!

計画は念入りにしたのだから!

私に想い人ができたと聞けば、姉様も口が軽くなるはずだからと思い、できたことにした。

実際、そんな人はいないのだけども。

でも、調べられてもいいように、実際数日コイツらと共に出かけて行ったし、姉様に言ったように獣人族の方にも会ったわ。

でも、言ったような想い人は、いない。

確かに出会った獣人族の方の中に、そういう特徴をもった方々はいたわ。

そう方々よ。

複数の特徴を合わせて作った私の想い人よ。

正直、私に想い人ができるなんてなかなかないこと。

だって、私の1番は姉様だし、次に理想としているのは父様だから。

それ以上に出会わなければ、無理でしょうね。

それでも想い人を作らなければならなかったから、空想で作ったわけだけども。

何故獣人族だったかと言われれば、私はこの領地内でしか過ごすことが出来ない。

だから出会う人は領民やいつも来る商人とか決まった人だ。

適当に言っても、誰かに当てはまるかもしれないし、逆にそんな人はいないとバレてしまうかもしれない。

なにより獣人族ならば、元姉様の想い人だから、境遇的にも似ているし、なにより姉様だって、よく知らない人々だから。

領地内のことならば、姉様だってよく知っているからね。

バレないようにする為にも、獣人族の方の方がいいと思ったのよ。

獣人族の方はかなりの種族も居るし、私達も知らない種族の方もいるってセッカが言っていたの。

それこそセッカはなかなか知られることの無い種族だからと聞いていたからね。

少し特徴が違っても、そういう方がいるのかもしれないと思うでしょ?

だから、私の想い人は、獣人族の方にしたのだけども。



「まさか、姉様を裏切りやがってるとわね。」


「頭、話が戻ってるッス。」


「しょうがないじゃないっ!!はぁ。もしかしてとは思っていたけども、あの夜会で出会ったのならば、国の重鎮ということなのよね。あの夜会に参加したということは。姉様は忘れているって、でもそれでいいって言っていたけども、それって本当に?って思ってしまうのよね。だって、今の立場を捨てて、姉様を迎えに行こうだなんて考えずに、そのまま忘れてしまった事にした方がいいからしたのじゃないかと思わない?私は、そんな立場捨てでも姉様は迎えに行くのは当たり前だけども、でも、そんな人ばかりじゃないのだと、父様も言っていたわ。姉様の想い人だから、そんな人じゃないって思っていたけども。でも、でも、でも!そんな最低野郎だったじゃないかって!!」


「頭。」


「ショック、だったんだな。」



えぇ!!

えぇ!!!そうよ、ショックだったわ!!

いつまでも迎えにこないクソ野郎だって思っていたけども、まさか相手が偉い人で、でも姉様を忘れていたなんて!!

そんなことあるなんて思ってもみなかったのよ。



「だって、姉様、本当に、本当にその人のこと愛していたのよ。とってもとっても大事にしていたのよ。彼との思い出を。」

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