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わっ、わっ、私と旦那様!?
ええっと、どれぐらい好きだったら結婚していいかなんて、その、私達は契約結婚だから、その、どれぐらい好きとかもないのだけども。
でも、リディは私と旦那様が大恋愛の末の結婚したと思っているのよね。
嗚呼、正直に話した方がいいのかしら。
「どうしたの?姉様。」
「えっ、いや、そのね、リディ。私と旦那様はね。」
「ふふふ、そうよね、とっても好きで結婚したのよね!私ったらバカね。だって、姉様はあれだけ愛していた方が居たけども、その方を忘れるぐらい好きになったから旦那様と結婚したんだものね!」
嗚呼、言えない。
言うことなんてできないわ!!
だって、こんなにもキラキラしてるのに!!
これが家を助けようと思って、お金のために結婚しただなんて言えば、リディ、絶対傷ついてしまう。
リディを、大事な妹を傷つけてしまいたくない。
例え、いつか話さなくちゃいけない時が来ようとも、それは今じゃないわ!
「ふふふ、ねぇ、姉様。姉様はお義兄様のどんな所が好きなの?」
「旦那様の好きなところ?」
「うん!お顔?とっても綺麗な顔してるし!」
「うーん、そうねぇ、旦那様はとってもイケメンさんよね。」
「あれ?違うの??」
「うーーん、そうねぇ。今、旦那様のことを愛しているから、旦那様のお顔もとっても好きよ。愛している旦那様だから。でも、正直言って、顔は最初は興味無かったわ。」
「そうなの?じゃあ、どんな所に惹かれたの?」
「そうね、私が旦那様に対して惹かれたのは、優しさ?かしら?」
「優しさ?どんなどんな!!ねね!姉様、お義兄様ってどんな風に??」
あらら、リディったらとっても興味をもってるのね。
でも、どこまで話せばいいのかしら。
ううん、リディってとっても賢い子だから、嘘を言ってもバレそうよね。
何より、私、あんまり嘘が上手じゃないから。
「んーとね、そのね、リディには前お話した方がいたでしょう。」
「姉様の想い人さん?獣人族の。」
「そう、その方よ。実はね、その方とお会いすることができたの。」
「えっ?」
「でもね、相手は私のことを忘れてしまっていたのよ。」
「はっ?」
えっ、リディったら真顔。
美人の真顔って、怖いって聞いてたけども、本当ね。
「あっ、ごめんごめん。ビックリしちゃった。でも、姉様を忘れるなんて!!」
「嗚呼、そっか、そうよね。そう思ったのね。でも違うの、彼がね、忘れてしまったのは仕方がないの。私を忘れることで生きるとこができたのだから、それは良かったことなのよ。」
「えっ?えっ?どういうこと??」
「んー、そうねぇ、相手のことだから深く話せないのよね。でも、忘れられた事に関して、姉様はね、全然悲しくないの。良かったって安心しているの。」
ふふふ、リディったら納得してないようね。
でも、空気の読める子だから、これ以上聞いてこないわ。
「確かに、最初はショックだったし、事情も知らなかったから、ただただ忘れられてしまったんだと思ったから、悲しかったわ。でもね、リディ。そんな時にね、旦那様が傍に寄り添ってくれて、こんなに酷い私を好きだって言ってくれたのよ。どれほど、彼を愛していようとも受け止めるって。ふふ、愚かな私の初恋も受け止めるって。そんな旦那様の優しさにね、私は救われたの。その後、色々事情があったことを知って、その事に関して、もう悲しみなんてないのよ。でもね、そんな時に旦那様に支えられたことが、私にとって、とってもとっても嬉しくて、この人の隣に入れることが幸せなことなんだって、感じてしまったのよね。ふふふ、そこからかしら。こんなにも旦那様を愛してしまったのわ。」
「お義兄様が、そんなことを。」
「えぇ。それまでも沢山、愛を囁いてくれていたけども、どこか信じられない私がいたのよね。こんな何の取り柄もない私だから。」
「そっそんなことない!!姉様は本当とってもとっても素敵な人よ!!私の女神様なんだから!!!」
「ふふふ、ありがとう。リディ。」
もうリディったら。
でも、昔からリディ達はそう言ってくれるのよね。
勿論、私だって、リディ達、2人ともとっても素敵な弟、妹だと思っているけどね。
「でも、お義兄様もちゃーんと姉様がどれほど素敵な人かってことよーくよーく分かっているのね!」
「そうね、そう言ってくれているわ。ふふふ、聞いていてとても恥ずかしくなるぐらいだし、私はそんなに凄くないって思えるのだけども、でも、旦那様が心からそう思ってくれていることは、よく分かっているからね。だから、その事を否定したり、嫌がったりすることはそう思ってくださる旦那様にとても失礼だから、恥ずかしいけども、ちゃんと受け止めているつもりよ。」




