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「セッカ、いい加減にしなさい。」


「しかしっ!!」


「いいから、黙りなさいっ!これ以上、この屋敷の方達を貶すようなことを言うようならば、私は一生あなたと話しません。」


「おっお嬢様!?」


「いいですね。」


「はっはいっ!!もう、言いません。」



セッカはようやく黙りました。

ふぅ、もう、私は一切気にしていないと言うのに、私の事を大切に思ってくれているからの行動だとは思うのですがね。



「本当にすみません。皆さんを貶すようなことをこの子が言ってしまって。」


「おっ奥様!?そんな、そんな!そんなことで頭をさげないでくださいっ!それに彼女が言ったことは事実ですし。奥様は騙されたと怒っても良いのです。こんな、屋敷に。」



まぁ、まぁ、皆さん、どこかしょんぼりしてますね。

私は一切気にしてなどいないのに。



「私は皆さんが、獣人族でも関係ありません。私はこの屋敷に来て皆さんに優しくして頂いたのですよ?ただの貧乏貴族な私に。私はそんな皆さんをとても好きになりました。嫁いだのがこの屋敷でよかったと心の底から思えたのです。この気持ちはセッカ、あなたと出会って知った時とおんなじなんです。私の大事なセッカ。分かってくれますね?」



私とセッカの出会いは到底素敵なものとは言えないものですが、それからセッカと過ごした日々はとても素敵で愛おしいものです。

それは獣人族であるからといって、否定できるものではありません。

獣人族だから、一体なんだというのです?

それは1番セッカが分かっているはずなのに。



「私は、お嬢様が大切です。お嬢様を御守りすることが生き甲斐なのです。」


「ふふっ知っているわ。ありがとう、セッカ。だから、心配で着いてきてしまっていることも知っているわ。」


「お嬢様。私はお嬢様が幸せならば良いのです。でも、本当にこの屋敷で幸せになれるのですか?」



じっと見つめてくるセッカ。

その瞳は真剣そのもので、本当に私を心配していることが分かる。

だから、こそ私は笑う。



「幸せになれるかは分からないわ。でも、今、私は幸せよ?それじゃあ、答えにならないかしら?」


「お嬢様。」



そう言えば、セッカは苦笑する。

ふふふ、いつもセッカを困らせてばかりね。

でも、優しい子だもの、きっとわかってくれるわね。

セッカは1つため息を付き、私から目線を外し、エレナさん達を見る。



「お嬢様がこういうのならば、今回は私は引きましょう。でもお忘れなく、もし、お嬢様が悲しみでくれるようならば、私はどんなことをしてもお嬢様をこの屋敷から連れ出し、もう二度と外になど出しません。」



そう言いきると、セッカは一瞬で体を変化させ、真っ黒な烏に変わり、窓から飛び立つ。

1度鳴いてから、星が瞬く空へと姿を消した。



「ふぅ、本当にお騒がせしました。」


「いっ、いいえ、奥様。大丈夫です。」


「しかし、この様な大事になってしまってわ、旦那様に報告しないと。」


「いいえいいえ!奥様が態々せずとも構いません。私が説明しておきます。」


「しかし。」



私がというか、私のうちのものが、騒ぎを起こしたのに。

でも、私が旦那様に逢いに行くこと自体が不快に思われるかもしれないですね。

ここはエレナさんに説明してもらう方がいいのでしょう。



「では、すみませんがよろしくお願いします。」


「はいっ。」



その後、エレナさん達は丁寧に挨拶をしてから部屋から出ていった。

しかし、セッカには困ったものだわ。



「まさか、ずーっと着いてきてたなんて。」



セッカは私が金さんと出会って1年もしないうちに出会った子。

元々隣国にいたそうだが、何者かに追われていてこの国に逃げてきたそうだけど、結局そのまま、私達の元で暮らすことになった。

セッカの様子から、きっとあの子は特殊な一族とかじゃないのかと思ってはいる。

気配を消すと全然分からなくなるもの。

でも、セッカ自身はとっても優しくて頑張り屋さん。

お給金もいらないと言うぐらいだもの。

まぁ、大したお給金はあげられないのだけども。

でも、こんな貧乏な私たちに忠誠を誓って、今なんとか私達がこうやっていられるのもセッカのおかげな所もあるのよね。



「なんでか知らないけど、しばらく傍からいなくなったと思ったら大金を持って帰ってきたりするのよね。」



それはセッカが稼いだお金じゃないって受け取らなかったのだけど、何かしら困っているときに持って帰ってくるからなんだかんだでそのお金に助けられちゃうのよね。

セッカが、いつの間にかその困っていることに対してお金を使って解決してしまうの。

そしてセッカは笑うの。

これでまたお嬢様達と一緒に過ごせますって。



「そんなことを言われるともう何も言えないのよね。」



本当に優しすぎる私の家族。

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