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「おっ、お母様。」


「私、これでも、娘をとっても愛しているの。この子を幸せに出来ない方にお嫁に行かせるつもりは一切無かったのよ?この子はとっても優しいから、お金になる所に嫁に行けばいいとか考えていたようだけど、そんなことする気は一切なかった。それこそ爵位を返せばいいと、旦那様と話していたのよ。けど、この子がとっても嬉しそうに公爵様のお嫁になるからって言ったから、だから信じたのに。それなのに。まさか、まさかね。」


「お母様、もう、やめて、旦那様は悪くないわ!私が納得して契約したのだから!だから!」


「ミシェル、あなたは黙っていなさいっ!!あなたにも後で話すことがあるわ!でも、今は公爵様の方よ。そんな方にうちの大事なミシェルを任せられませんわ。ミシェルはうちに帰られせますわ!」


「そっそれは、りっ離婚しろってことですか!!?」



お母様のあまりの怒りに黙ってしまった。

ここまで怒るお母様は初めてだ。

それこそ、いつかの狩りに勝手に行ったあの日よりも、もっと怒っている。

今まで、黙って聞いていた旦那様が、帰らせるという言葉を聞いて、初めて言葉を発しました。



「えぇ、そうです。」


「そんな!!それだけは出来ません!!」


「何故です?あなたには他に想い人がいるのでしょう?ミシェルは必要ないでしょう!うちの子を巻き込むのは辞めてくださいっ!」


「いいえ、それだけは絶対に出来ません!私が愛しているのはミシェル!ただ1人です!手放すなんてできません!例え、ミシェルの母であるあなたに言われても!!」


「なんとっ!まだ嘘をつく気ですか!?」


「嘘ではありません!!事実です!私が愛しているのは、この世で唯一、ミシェルだけですっ!!」



必死に叫ぶ旦那様に対して、お母様は冷たい。

お母様はここまで怒るのは私の為だということはよくわかっているけども。

本当にここまでとはっと私も思ってしまう。

何故ならば、ここまでお母様が私を愛してくださっているとは思わなかったからだ。

正直、お母様は非道な時もある。

お父様がそれこそ優しすぎるから、領地を守るためにもお母様が非道になることだってあった。

領地を守るために切り捨てることもできる人だった。

それに、私との時間は少なく、小さな頃はお祖母様に連れられて色々な場所にいくことも多く、その間に弟も生まれ、妹も生まれたことで、私はあまりお母様と過ごした時間はない。

それに不満を感じている訳では無いし、確かに愛して貰っているのはわかっている。

ただ、何かあった時には私は切り捨てられるだろうって思っていた。

でも、それって貴族の娘として生まれたのならば仕方がないし、なによりウチは貧乏だから。

お母様が愛したお父様が大事にしている領地を守りたいとお母様は必ず思うはずだ。

それに私もこの領地が好きだから、この地が不幸になることは一切望まない。

だからこそ、お母様はきっと、切り捨ててくれる。

そう思っていたのに。

なのに、これほど怒るなんて。

でも、旦那様は悪くないわ。

私は納得して契約したのだから。

だから、私は。



「私は離婚をしませんっ!!」


「ミシェル!何を言っているの!?」


「私は、私なりに考えて旦那様と結婚したのよ。それに、旦那様は私をちゃんと愛してくれています!」


「そんな、だって、セッカが!!」


「落ち着きなさい。」


「あっ、あなた。」


「お父様!」


「久しぶり、ミシェル。元気そうで良かったよ。公爵様もお久しぶりですね。」


「お義父様。」


「ここではなんですから、どうぞ、屋敷に。」


「ちょっ、あっあなた!」



何かまだ言いたそうなお母様の背を押し、お父様は屋敷の中に。

私は、気まずそうな旦那様の腕を掴み、後をついて行く。



「ミッミミ。」


「大丈夫です。何を言われようとも、私は旦那様と離婚する気はありませんから。もしかして、旦那様は私と離婚する気が?」


「ないっ!絶対にないっ!!」


「ふふふっ、なら、胸をはってくださいな。お母様から何を言われても。ねっ?」


「あっ、ああ、そうだな。」



正直、何故、父が止めてくれたのか分からない。

母がこれほど全て知っているということは父も知っているはず。

でも、父は何も言わずに母をとめてくれた。

母はあれほど怒っていたのに。

優しすぎる父ならば、この事実に対して何も感じなかったことはないと思う。

領地で不幸があった時には涙を流すような人だ。

そんな父が何も言わずになんて。



「正直、お父様の方が心配なのですが。」


「お義父様か。」


「ええ。でも、両親になにを言われても私は今の生活がとても幸せであるということを話すつもりですし、理解してもらうつもりですから。」


「ミミ。」


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