119
「私も必ず着いていきます!!」
「あら、エレナ?」
旦那様の部屋を出てずっとエレナが待っていたようで、直ぐに声をかけられた。
さっきまでは、セッカに対して睨んでいたし、何やら対決をし始めるし。
それが、また私のいい所をどちらがより多く知っているかと言う、恥ずかしすぎる勝負だったので、その場をささっと離れたのだけども。
「セッカは?」
「一度、帰られました。」
「あら、そうなの?まぁ、セッカなら変身して、飛んでいけるから、2日ぐらいで着くものね。」
私達では1週間も掛かる道のりでも、鴉に変身することが出来るあの子は飛んでいけるから、とっても早いのよね。
以前来た時も、母からセッカが帰ってきたのは3日後だと聞いたし。
あの子、とっても強いから大丈夫よね。
ふふふ、セッカが小さい頃は、よく私の後ろに隠れていたのに、今では立派な大人よね。
でも、セッカが素直に帰るなんて。
「何か、セッカ言ってたかしら?」
「また1ヶ月後にくるとのことです。」
「あら、そうなの。」
一緒に行くつもりなのかしら?
だから、絶対に行くってエレナが言っているわけね。
「でも、エレナが居ないと大変じゃない?」
「大丈夫でしょう。他のみんなでなんとかなるでしょうし、何よりクリスさんがいますから。」
「えっ?居ませんよ。」
「えっ?」
「私も行きますよ、奥様。」
いつの間に後ろに居たの、クリス!
旦那様とお話ししていると思っていたのに!
「旦那様なら、善は急げと今、お城に向かいましたよ。」
「えぇ!?」
「本当に、止める暇なく行かれました。」
「もうっ、旦那様ったら。」
本当にいいのかしらって思ってたし、それこそ冗談かなって思って居たけども、まさかこんなに早くも動かれるなんて。
「でも、クリス、あなたも来るの?」
「駄目ですか?」
「いっいいえ、大丈夫よ。でも、あなたもエレナも来たら御屋敷が。」
「大丈夫です。奥様。私たちがいなくとも、御屋敷は回ります。一応、他からも優秀だと言われるものばかりですから。」
「そうですそうです!まぁ、癖は強いですけども、仕事のことに関しては優秀ですから!」
まっまぁ、それならいいのだけども。
ただ、私の実家の方が大丈夫かしら?
その、正直、公爵家の御屋敷よりもとっても小さいし、それにボロいし。
うぅ、旦那様も一度来られたと思うけど、それほど長く居られたわけじゃないから。
大丈夫かしら?
「ってえ???」
「ん?どうした?ミミ??」
「えっ、これって、一体、本当に私の家ですか?」
あっという間に時が過ぎ、旦那様も一緒に4ヶ月実家の方に行くことになりました。
あの日帰られた時とっても疲れた様子が見られましたが、なんとか休みがとれたと。
そして、エレナとクリスも一緒にやって来て、そして、その時もついて行きたいという子達が多すぎてこまったことにもなりましたが、無事帰宅することが出来ました。
しかし、ついてビックリ!
目の前に広がる綺麗な庭園に、とっても美しい屋敷。
大きさも大きくなっている?
あれ、ここは本当に私のお家???
「えっえっえっ??」
「あら、ミミ、おかえりなさい。」
「おっおっお母様!!ここは、これは!!?」
「あらー、公爵様、いらっしゃいませ。結婚式依頼ですわねー!」
「ご無沙汰しております、お義母様。」
「ふふふ、公爵様がまさか、一緒に来るとは思いもしませんでしたわー。」
「あっ、すみません。仕事が忙しくて。」
「そうですよねー、なんたって、公爵様ですものねー。とってもとってもお忙しいですわよねーーー。」
えっと、お母様は一体、何故、怒ってらっしゃるの??
そして、何故、そのお怒りが旦那様に向いているの??
確実にあの笑顔は、怒っている。
昔、私が無茶をした時にもあの笑顔を浮かべていたわ。
しかし、なぜ?
「ふふふー、うちの大事な大事な娘をお嫁に出したのにー、最初のご挨拶以外では結婚式以来、お会いすることがなかった公爵様ですものねー。うちの優秀なメイドもお邪魔させて頂いて、よーくよーく知っておりますが、うちの娘は、お人形さんではないのですがねーー。」
「おっ、おっお母様!もっもしかして、セッカから何か聞いたのですか??」
「ふふふっ、えぇ、えぇ。可笑しいとは思っていたのよ。うちの子はうちの旦那様によく似て、笑顔はとっても可愛らしいし、いい子だけども、それほど目立つ方ではないと思っていたのだけども、その良いところを見てくれる方が現れたのねって感激してたけども、まさか、社交界では色々な意味で有名な方だったとはね。」




