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「おっ、俺も行く!!」


「えっ?」



思わず出た言葉だが、しっくりきた。

そうだ、一緒に行けばいいのだ。

嗚呼、そうだそうだ!

そうすれば解決するではないか!!



「えっと、旦那様?」



困惑しているミミを見ながらも、いい案だと思うから撤回はしない。

ミミが実家に帰るというのならば、俺も一緒に行けばいいのだ。

ミミの実家はそれこそ王都から5日は掛かる場所にある。

そんな所に行ってしまえば、なかなか会うことなどできないだろう。

そんなの嫌だ。

1日足りともミミと会えないのは俺の精神がもたない!!



「いや、それは無理では?」


「いや、大丈夫だ!!」


「えぇ、でも、その4ヶ月もお仕事をおやすみする訳には。」


「4ヶ月も離れられるわけが無い!!」



そうだ、4ヶ月もだぞ!!

4ヶ月もミミに会えないとは拷問でしかない!!!

産まれるまでの2ヶ月に、産まれたあと落ち着くまでの2ヶ月も実家に帰るというのだから、長すぎる。

そりゃあ、ミミがお義母様を心配する気持ちも分かるし、幼い兄弟の為にと思う気持ちはとても素晴らしいと思うさ。

ミミのいい所だし、止めることなどできない。

でも、ミミに会えないのは俺が耐えられない。

だから、俺が行けばいいのだ!!



「できるわけがないでしょう。」


「なんだ、クリス!!するぞ!!絶対に!!」


「それは、殿下達もお許しにならないでしょう。」


「大丈夫だ!俺が居なくても大丈夫なはずだ!それこそ、辞めても大丈夫だろう!!」


「そんな訳ないでしょう。それこそ、殿下が悲鳴を上げますよ。大旦那様が辞められる時も、それこそ陛下が悲鳴を上げたせいでなかなか辞められなかったと今でも愚痴を言ってますよ。」


「それは、時代が時代だったのもあるだろう。それこそ祖父の時代は大戦争時代だったが、それに大きな力を発揮したからこそ、その息子である父上を逃がしたくないと思ったからだろう。今は、それこそ平和な時代が続いている。それに、俺はそれほど力を持っている訳では無いさ。故に、それほど重要な地位にも着いていない。」


「それは、旦那様が姫に片想いをしていたからでしょう?故に、旦那様は大旦那様よりもなかなか地位を与えられなかったんです。」



まぁ、それはそうだ。

殿下は特によく知っていたから、俺に直接聞くことは無かったが、それほど重要な位置に俺を置かなかった。

それがどうやら、不満だったようでようやく上げられると言われたが、それを今度は俺が拒否しているのだ。

何が嬉しくてなかなか自宅に帰られない地位に行きたいと思うのだ。

俺の愛しいミミとの時間をどれだけ大切だと思っているか。

それこそ、今がまさに大事な時期だと言うのに。

そんな時期に離れ離れになるわけには行かないのだ。



「それに、殿下達は姫の借りがあるはずだ。だから何も言えないはずだ。」


「その借りは奥様のでしょうが!!」


「えっと、私ですか?」



キョトンとするミミは可愛い。

そうだ、まさか、こんなに可愛らしいミミがあれほどの腕を持っているとは。

そうだ、借りとは、姫を転落事故から守ったことだ。

ミミが正確に矢をいり、それを使ってプージャ様が助けたあの事故。

2人が助けることが出来なければ、それこそ姫は大怪我をしていた事だろう。

それこそ命も。

例え命が助かろうとも、大怪我した姫をお嫁に出すことなど出来なくなってしまう。

もう婚約発表もしたというのに。

それこそ、国際問題になりかねない。

しかも理由が姫自身の悪質な計画によってなど、どこを見ても姫が悪く、うちはどんな非情なことでも受け止めなければならないようになっていたかもしれないのだ。

それを止めたのが、1人は嫁入りする所の1番正妻に近いと言われている妻と、必死に追いかけ回した被害者だというのだから。

プージャ様はミミが気にしないのならばいいのではと言っているし、被害者のミミも何も無かったのだからと許してしまっているのだ。

故に問題にはなってはいないが、王家には大きな借りがあるのだ。

まぁ、そのお陰で、無理やりにでも俺の地位をあげようとする殿下に対抗し、今の地位を守りぬいているのだが。



「旦那様、他の皆様にご迷惑をお掛けするわけにはいけませんよ?」


「迷惑など、それこそ殿下にかけられているのに!」



そうだ、あの殿下は、1部下でしかない俺を扱き使うんだ。

俺には最愛の妻が家で待っているというのに、色々と仕事を持ってきてはただの一兵でしかない俺を振り回す。

それこそこれは団長レベルでは?と思うが、その団長が仕方がないと笑い、止めないので困るのだ。

俺がどれだけ大事な時期か知らずに!!

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