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目の前の出来事は夢ではないだろうか。

これは本当に現実だろうか。

頬を抓っても痛くない。

やはり夢か?

しかし、こんな願っても見れるはずがない夢を見られるなんて、それこそありえないのでは?

いや、だって、確かにミミを好きになったと自覚した日からずっとずっと願っていたさ。

ミミが、ミシェルが俺を愛してくれることを。

でも、始まりが最悪すぎて、なかなか難しいことはよく分かっていた。

それこそエレナ達にどれほどいわれたことか。

どれほどミシェルが優しい女性でも、あれはありえない、最悪だ。

スタート地点はゼロではない、マイナススタートだと、何度も何度も言われたさ。

その事を重々承知していたさ。

だから、今目の前の出来事は夢でしかありえない。

そうでしかないのだ。



「あの、旦那様?」


「えっ、あっ、えっ??」


「あっあの、もしかして、ご迷惑でしたか?その、旦那様には以前その好きって言ってくださいましたが、もしかしてもう他に好きな方ができたとか、その。」


「そんなことはない!!一切、ない!!俺が愛しているのはミシェル!君だけだ!!」



嗚呼、なんていうことだ。

ミシェルに悲しそうな表情を浮かばせるなんて。

夢であってもさせてはダメだ。

あの日、誓ったのだ。

絶対に俺はミシェルに、あんなに辛そうな表情を浮かばせないって。

ミシェルにとって、どれほど辛かっただろうかと思い、もう二度とそんな思いはさせたくないと誓った。

正直言って、プージャ様、あの人を、ここに入れたくはなかった。

聞かれたのだ。

何度も、ミシェルとコールド殿の関係を。

なにもないと言い続けていたが、彼女の感は凄いもので、自分で考えて、当ててしまった。

そこで、俺は動揺してしまった。

そこから芋づる式に俺たちの出会い、つまり契約結婚のことも知られてしまった。

その時のプージャ様は恐ろしいほど怒っていた。

そして、止める暇なく、屋敷に向かわれた。

まさか、侵入までできるとは思わなかった。

しかし、彼女は侵入し、ミシェルにあった。

その事をクリスが急いで知らせてくれたのですぐに知ることが出来た。

しかし、すぐに追おうとしたが、まさかラートム殿までもが止めるとは。

足止めにまさか、殿下が出てくるとは。

それに陛下も出てきたから、困った。

陛下とプージャ様はどうやら兄妹弟子だったようで、それはそれは仲が良い。

今回の異様とも言えようプージャ様の内密の来国も、この2人の仲ならばありえてしまう。

そして、プージャ様から話を聞いた陛下はそれはそれは協力的だった。

ミシェルがあの、ミシェルだと知ってからはそれはそれは態度が違う。

絶対に大切にしなければならないと言われたが、それこそ今更だろう。

あなたの娘が大層、あなたの大切な師匠の孫に対して失礼なことを働いていましたが?

そう言えば、落ち込み、その間に出てきた。

しかし、時遅く、もうプージャ様は居らず、居たのは目を腫らしたミシェルだけだった。

聞けば、なんとも悲劇としか言いようのない出来事が彼等を引き離したのだ。

それこそ、演劇のような悲劇だ。

もし、その出来事がなければ、彼は約束通りミシェルを迎えに行っていただろう。

俺に会うことなく、ミシェルは彼と幸せになったはずだ。

そうだ、そうだったはずだ。

しかし、今、ミシェルは俺の妻としてここにいる。

ここに居るのだ。



「ふふふ、もう、そんなに必死にならなくても。」


「なるさ!ミシェル、君に勘違いされたくないんだ!俺は、確かに間違えてしまったが、今はちゃんと君を見て、愛しているんだ。君以外を愛することができないくらい君しか見えないんだ。ミシェル。」


「もう、旦那様。」



照れたように笑うミシェルが本当に愛おしい。

嗚呼、本当に、喜んではいけないだろうが、彼にとっては悲劇かも知れないが、俺にとっては、奇跡ような出会いであり、幸福の始まりだ。

だからこそ、ミシェルが彼の元に行きたいと言っても、手放すことなど、出来ず、嫌われても離さず、それこそこの屋敷にずっと囲っておこうかと思っていたのに。

それなのに、まさかこれ以上の幸福があるだなんて。

ミシェルが自分から離れないと言ってくれて、そして、好きかもしれないと言ってくれるなんて。

俺はなんて幸福過ぎるのだ。

嗚呼、嗚呼。



「幸福すぎて死にそうだ。」


「えっ、旦那様。」


「いや、死ねない、死ぬ訳にはいけない。愛おしいミミを置いて、死ねるわけが無い。嗚呼、そうだ、俺を愛してくれるミミを残して、死ねるわけが無い!!」


「だっ、旦那様、その、まだ、旦那様と同じかどうかは、その。」


「ゆっくりでいいよ、ゆっくりで。大丈夫、まだまだ時間はあるのだから、ねっ。」

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