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弱小国と言われて驚いた。

確かに、国としてはそれほど大きい国ではなかった。

正直言ってうちの国よりは小さい。

しかし、見たことも無い武器を扱っていた。

今まで、私達獣人族だからこそ高い身体能力を持っているから、あまり武器は好まず己の肉体で戦ってきていた。

しかし、同じ獣人族の国であるはずこの国は遠距離からも攻撃できる武器を扱い、こちらを、撹乱してきた。

故に、今までのようには行かず、戦争が長引いているのだ。

力だけならば我が国はそれこそ最強だが、しかし、知識、知能は及ばないことがこの戦でよく分かった。

分かったところですぐに対応できるはずがなく、どうにか対抗している所だったのだが。



「んー?あの武器だって、うちの国では数年前に流行っていた武器だが、正直もう時代遅れだぞ。」


「えっ?」


「それこそ、あれはあまり強い素材で出来ていないのだから、間合いにこそ入ってしまえば、すぐに蹂躙することができるだろう?」


「しかし、その間合いに入れなくて。」


「なんでだ?あんたの足ならば入れるだろう?それこそ、獅子族の女性は隊を組んだら、厄介な相手だろう?それをなぜ、こんなにバラバラにしてるんだ?獅子族同士で組ませた方がいいだろう?連携だってとりやすいはずのに。」


「そっ、それは。」



確かに彼女の言う通りだ。

獅子族同士の方が連携だってとりやすいが、隊の参謀が、獅子族は強いからこそバラバラにした方が良いといい聞かなかった。

そうではなく、一緒にした方がと年上の獅子族の女性が言ったそうだが、聞き入れて貰えなかったそうだ。

獅子族の男性ならば、聞き入れて貰えたかもしれないが、男性の場合、単独で動くことが多い。

それこそ、前に立ち、己が道を切り開いていく方が多く、隊をまとめてなど考えが出なかったようだ。

寧ろ、アホらしいとさえ思われていたようだ。



「はぁ?本当にそれ、参謀か?あたま空っぽじゃないのか?はぁー、帰ったらちぃっと、兵の中を見ないといかなー。」


「えっ?帰ったらって?」


「ん?今すぐこの戦を止めてやって、さっさと、ゴミ掃除しないとな!」



そう言った彼女は、私を連れて、そのまま敵陣に乗り込みました。

そして、一瞬で矢を打ち込み、相手に攻撃する暇を与えず、どんどんと進んでいきました。



「すっ凄すぎる!!」


「んー?いやー、流石に1人じゃ、ここまで簡単にはいかんけども、君がいるから簡単にこれた。」


「私、ですか?」


「嗚呼、流石の足だね。それに勘がいいし、攻撃力も抜群だね。」


「そっ、そんな。それはあなたが援護してくれるからで。」



そうだ、的確に補助してくているからこそ、今の動きができるのだ。

私一人では、あの武器に恐れて前になどなかなか出られない。

防ぐことを考え、今のようには動けない。



「それだけではないさ。君は、もともと勘がいいし、頭もいい。」


「えっ?」


「だからこそ、なかなか前に出れなかったんだろうね。確かにあの武器は君にとっては天敵のように思えるかもしれないが、なーんてことないものなんだよ。アレは。ただの小細工程度しかない。けど君は、前衛で後衛を守らなければならないと考えていたから、だから、今のように動けなかったんだろうね。優しすぎだな。君は。ほっておけばいいのにね。そうすりゃ、勝手に自滅して、君の動きやすいようになってたのに。」


「そっ、そんな!そんなこと!!」


「ハハッ、自分を第1に考えたらそれが1番だろう?これは戦争だからね、自分を1番に、考えて何が悪い?他の奴らは考えていただろう?なんというか、お人好しだね。君は。でも、そんな君のことを気に入ったのさ。」


「気に入った?」


「嗚呼、そういうお人好しをここまで貫けるならばそれは賞賛にあたいするね。ただのお人好しではないからね。だから、呼び方を変えたのさ。アンタから君にね。」



そう言われて気が付いた。

そう言えば、いつの間にかアンタから君呼びに変わっていた。

それに少し話し方が丸くなったような気がする。

これって気に入られたからなのか。



「あっ、あの、あなたの名前は?」


「んー、それはこの戦争を無事終わらせたらだね。」


「えっ?」


「だから死ぬんじゃないよ。死ぬ気で生きな!私の名前が知りたきゃね!」



そう言われて、なんて馬鹿なって思ったけども、そのお陰で死ぬ気で生きようって思えたんだ。

生きるためにメキメキと成長して、まさか、国1番の戦士とまで呼ばれることになるとは思いもしなかったし、そのせいで国の妃までなるはめになるとは一切思いもしなかった。

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