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後ろを振り返ろうとした瞬間、プージャ様に背中を押されました。

そしてそのままぐっと力が込められました。



「走るよ!」


「えっ!?」


「いいから!」


「なっ!待ちなさい!」



押されるまま走り出す。

腕はプージャ様に掴まれて、どんどんスピードが上がる。



「でっでっ殿下!!」


「ちっ、まさかこんなに多いとはね。」



追ってくる足音は5人だ。

姫の声は聞こえないから、どうやらあの場にいるのだろう。

もしくは、追ってきている?

まぁ、姫様の体力では、追いつけないからこそ、兵を使って追わせてるのでしょう。

しかし、プージャ様、とっても早い。



「ハハッ!凄いね。ミシェルちゃん。私に着いてこられるなんて。」


「ハッハッ、着いてこられてるのでは、ハッハッありません。」


「そう?」



本当について行っているわけではありません。

プージャ様に取られた腕かあるからこそです。

それに多分、プージャ様は本気では無いはずです。

私に合わせて手を抜かれているはず。

だから、兵達が追えてるんです。

本来ならば獅子族のプージャ様です。

足はとっても早く、それこそ一瞬で逃げ切ることが出来るはず。

私も普通の令嬢よりは体力はあるはずですけども、プージャ様に比べれば全くです。

そりゃあ、野生の動物を追いかけて狩りをすることもあったので、速度もまあまああるとは思いますが、プージャ様に褒められるほどでもないと思っています。



「おっ、いい所に!」


「えっ?」



目の前に見えるのは開かれた大きな窓。

それを見てプージャ様はとてもいい笑顔を浮かべていますけど、もしかして、いい所にってあれのことですか!?



「行くよ、ミシェルちゃん!」


「えっえっえっ!!」


「飛べ!!!」


「ええええーーーーー!!!」



勢いそのまま窓から飛び出しました。

飛べと言われて思わず、飛びましたが、ここそう言えば城の3階では!?

階段を3回登った記憶があって、さっき1回降りたから多分ここは3階なはず。



「大丈夫!ちゃんと支えるからっ!」


「うひゃっ!」



その言葉通り、プージャ様が上手く支えたくださったので、何とか着地することが出来ました。

いや、本当にひんやりしました。



「でっ殿下。」


「あっはっは!流石は姐さんの孫だっ!」


「わっ私、とっ飛んで!!」


「そうだ!飛んだ!凄いぞっ!本当に凄い!ちゃーんと自分で着地できるなんてな!」



いや、着地出来たのはプージャ様が支えてくださったからですが。

はぁ、もう嬉しそうに笑うプージャ様にこれ以上何も言えません。



「なっ、なっ、何で!そんな所にっ!?」


「えっ?」



声がしたと思えば4階の窓から姫様が見えました。

わぁ、改めて高いですね、これ。



「有り得ない!有り得ない!有り得ない!!!」



混乱した姫様の声に、内心納得です。

本当に有り得ないことをしでかしてますよ、プージャ様。

横を見れば、満面の笑みのプージャ様。

はぁ、もう。

何を言ってもダメそうだってことはよく分かりました。



「なんでよ、なんでなんで!」


「わぁお、錯乱状態だね。嫁殿は。」



楽しそうに笑うプージャ様を横目に見ながら、内心姫に同情してしまう。

勿論、こんな状況に追い込まれたことに関しては怒りがないということはありえませんが、まさか普通の令嬢だと思っていたものが数十人の追っ手から逃げ切り、まさか最後には3階から飛び降りるなんて思いつくはずがないですから。

それを目にした姫が錯乱状態になるのも仕方がないかと。

私が同じ立場ならば混乱するでしょうし。

しかし、あの状態の姫はよくないかと思うんですが。

窓際で、あんなに取り乱していれば、落ちてしまうかも知れません。

しかも、隣には誰も見えないということは、姫が1人なのではないでしょうか。

それで落ちたりしたら、誰も助けることが出来ないですよね。

あれ。



「えっ!?」


「あっ。」


「きゃあああ!!!」



嗚呼、もう!!

今さっき考えたことが目の前で起きてしまった。

錯乱状態の姫が手を滑らせて、窓から落ちてしまった。

なんとか、窓柵を掴めて、今、ぶら下がっている状態の姫だが、このままでは落ちてしまう。

下にいた兵たち急いで登ろうとしているが、姫の手はもう震えている。



「ちっ、困ったな。足場があればすぐに行けるのに。」


「殿下!?足場とは!?足場があれば助けられるのですか!?」


「んっ?嗚呼!そうだ!ミシェルちゃん、君姐さんとおんなじで弓は出来るかい?」


「はっはいっ!出来ます!!」


「そうか!ならば、これを!」



プージャ様は右手の親指にしていた指輪を抜き去り、小さく何かを呟いたと思うと、目の前に一瞬で弓と矢が現れた。



「こっ、これは!?」


「説明は後だ!いいかい、あそことあそこ、そしてあそこにあそことあそこ!矢をいってくれ。今言った場所に足場ができれば助けることができる!」


「本当ですか!?」


「嗚呼!!」

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