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7話 訓練2

「それでは訓練を始める。まずは俺との模擬戦だ。勇者の天童!前に出て来い!」

「はい!」


 相当気合いが入っているのか、爽やかな笑みを浮かべながら前に出る。

 そして、いくつも並べられている武器の中から、迷わずに片手で持てる程度の剣を取った。


「使う武器は剣か.......俺に1発でも入れられたら、お前の勝ちだ。いつでも来い」


 さすがに戦いの素人には負けないと思っているようで、グラドは余裕の表情をしている。


「では.......行きます!」


 天童は素早い動きで距離を詰めた。

 召喚される前の倍くらいのスピードだ。


 そして剣を振り下ろし"キィーン!"という、剣と剣がぶつかり合う時の音が訓練場全体に鳴り響いてきた。


「やはり止められましたか.......」


 天童が振り下ろした剣を、グラドは剣を振り上げて止めた。


 さすがに止められる事くらいは予想できていたようであり、驚かないで直ぐに次の攻撃へと切り替える。


「だったら、これはどうですか?」


 後ろに回り込んで、グラドの胴体を狙って剣を横に一閃。

 異世界転移の影響でアホみたいに強化された身体能力を活かし、素早く相手の隙をついた見事な攻撃である。


 しかし、グラドは素手で掴んで止めてみせた。

 視線すら向けてもらえていたい時点で、天童とグラドの実力差は素人目にも、はっきり分かるだろう。


「筋は中々よかったが実践経験が足りないな。剣術でも習ってたのか?」

「静香が僕の幼馴染で、たまに剣術を教えてもらってたんです」

「ほぉ.......なるほど。静香ってのは天野の事か。なら次は天野だ!前に出て来い!」


 天道が後ろに下げた後、グラドは天野を呼んだ。


「分かりました」


 天野は訓練用の細剣を鞘に納め、腰を低くして抜刀の構えを取った。

 その構えに何か感じ取ったのか、グラドも両手に剣を構えて攻撃に備えている。


 共に数十秒見つめ合っていると、天野は目にも留まらぬ速度で走り出し、グラドとの距離を一気に詰めた。

 

 そして、グラドの額に向かって剣を振り下ろしす。


「ぐぅぅっ.......!!重い一撃だ。どれだけ鍛錬を積んできたのか、よく分かる一撃だな」


 天野は速度型の剣士だと思ったが、パワーもそれなりにあるようで、グラドを唸らせる程の一撃を放った。


「でまだまだ行きますよ!はぁぁっ!」


 そして天野は、剣を振る速度を更に上げ、相手を追い詰めていった。

 しかし.......


「俺は騎士団の団長だから負ける訳にはいかないんでね。大人気ないが.......終わりにするぞ!」


 グラドは大剣を地面に振り下ろし、たった一振の風圧で天野を壁に吹き飛ばした。

 そして壁まで吹き飛ばされた天野は、苦しそうな声を漏らして地面に倒れた。


「はぁはぁはぁ.......行けると思ったのに」

「確かに剣術の腕は俺よりも上だったが、ステータスは俺の方が上だからな。だが、このまま強くなれば俺よりも確実に強くなる筈だ。これからも精進しろ」

「ありがとうございます」


 と言って、天野は額に流れている汗を自分の服の袖て拭き取った。


「ハハハ!おう!頑張れ!それじゃあ次だ!」


 と、グラドが言った直後、才剛が前に出て来た。


「よっしゃー!次は俺だな!ぜってぇ勝つぜ!」


 と言った後、才剛は拳を構えて何の考えも無しで、グラドに突っ込んで行った。

 そして才剛は攻撃を簡単に逸らされてしまう。


「おいおいおい.......そんな真正面から突っ込んだら当たらないに決まってるだろ.......次だ!」


 グラドは才剛の腹に向かって突きを放った。しかし、その攻撃が当たった後、才剛はグラドの腕を掴んで捕まえた。


「ガァっ!痛てぇ.......だが捕まえたぜ!オラァー!」


 才剛は捨て身の攻撃をグラド団長の顔面に向かって放った。


「やるな.......だが今のは訓練でやるなよ。危ないからな。」


 さすが王国騎士団団長と言うべきなのか、全くダメージにはなっていない。


「よっしゃー!勝ったぜ!」


 まぁ、そんな様子は気にもなっていないようだが.......。


 だ才剛はグラドの忠告を無視して、1人で喜んでいた。


 そして、才剛が勝つところを見た俺は、かなり驚いている。


 まじかよ.......あいつ本当に勝ちやがった.......あの団長かなりのバケモンなのに。


グラド

男 42歳 人族

HP300000

MP150000

筋力300000

防御270000

俊敏240000


固有スキル

限界突破


スキル

身体強化Lv8 腕力強化Lv8 剛力Lv8


俊足Lv6 HP自動回復Lv8 物理耐性Lv8


称号

フィーナ王国最強剣士 フィーナ王国騎士団団長


 ほらな化け物だろ.......って誰に言ってるんだろ。

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