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4話 知恵

「これは.......平均的なステータスだな」

「えっと.......そうっすね」


  やめて!そんな哀れんだ瞳を向けないで!他の皆はチート持ちなのに俺だけ凡人とか理不尽だ!

  表面上は全く動じていないように見えるが、心の中では発狂しそうになる程のショックを受けていた。


「普通は少しのバラつきがあるものだが.......ビックリするほど平均的じゃな」


 珍獣でも見るとうな目を向けるな!失礼だろ。

 今日中に暗殺してやろうか?元殺し屋ナメんなよ!


「お主、名はなんと言う?」


 国王は申し訳なさそうな顔をしながら、俺の名を聞いてきた。

 こちらの都合で勝手に召喚したことで罪悪感を持っているのだろう。

 俺からしたら「そんなこと知るか!」と言いたいところだが、相手の懐の中では言葉を選ばなければならない。

 新人時代は、それで苦労したもんだ.......俺と組んでいたパートナーがな。


 くっ.......俺と国王しかいなかったら、文句を言ってやるところだったぞ。


「はい。天草 優真と申します」

「お主には神からの加護が与えられなかったようだが.......これからどうする?」


 その質問に、俺は無責任だなと思った。

 つか、神からの加護が与えられたかったって何だよ。

 いきなり謎キーワードが出てきたぞ。

 よし、やっぱり暗殺するか。


 やはり、面倒くさくなってきたら、相手を殺めてしまいたくなるのは元殺し屋の性かもな.......いや、それは俺だけか。


「ここに残ってクラスメイト達と一緒に魔王軍と戦うのか.......という事ですか?」


 物騒な考えが表に出ないよう、出来る限り爽やかな笑みを浮かべ、穏やかな口調で返事をした。


「そうだ。もちろん、こちらの都合で勝手に召喚したから、さっきも言ったように衣食住は保証する」

「なるほど.......」


 衣食住を保証すれば、許すとでも思っているのだろうか.......考えが浅すぎる。

 国のトップとして大丈夫なのか心配になってしまうくらいだ。

 心の中で、相手を小馬鹿にしたような事を考えながら、これから自分がすべき事をイメージしていた。

 まぁ、やることは決まっているんだけどな。


「.......それは魅力的な提案ですが、訓練を受けてから決めてもいいですか?まずは自分の身を守れるくらいにはなりたいので」


 やっぱり、異世界に来たんだから魔法とか使ってみたいよな!使えなかったら本気で泣くぞ。


「うむ。それがいいだろう。この世界には魔族以外にも魔物や盗賊と言った危険な存在もいるからな」


 向こうの世界じゃ、それなりに名が知られてたし、諦めるのは早いだろう。

 平凡な能力値でも足掻いてみるか。


「突然、知らない土地に連れて来られて疲れているだろう。メイド達に客間へ案内させるから、ゆっくりと休んでくれ」


 国王はメイド達を呼んで、勇者達を部屋に案内させた。



 メイド達に案内されて客室に着いた後、ベッドに飛び込んでステータスを確認する事にした。


「もう一回ステータスを見てみるか.......なにか思い付くかもしれないし」


天草優真

男 16歳

HP100

MP100

筋力100

防御100

俊敏100


固有スキル

???・・・強くイメージした能力を一つ貰える。


成長促進 限界突破


スキル

鑑定Lv1・・・物や人の能力を見る事が出来る。Lvに応じて見れる事が増える。


称号

異世界人


 もう一度、自分のステータスを見てみたが、ビックリするほど平均的な能力値だった。

 しかし、一つ気になる項目を見つけた。


「えっと.......イメージした能力を一つ貰える.......ヤバくね?」


 何でもってアレだよな?何でもってことだよな。

 平均的な能力値に意識が向いてしまい、スキルなどは全く目を通していなかったので気づかなかったが、貰うスキルによっては天童を越えられるだろう。

 いや、確実に越えられるな。


「ふぅ.......ここは慎重に考えないとな」


 間違えてクソスキルを取得しちまったら、この世界での異世界ライフは終わったと思った方がいい。

 俺みたいな凡人が元の世界に帰る方法を探すには相当な苦労が必要だし、もう努力なんてしたくないのだよ。

 俺は楽して強くなりたいのだ!


「でも.......そんなこと出来るわけねえよなぁ。前の世界では体術を覚えるだけで三年も使ったし.......しかも食事以外は全部訓練とか頭おかしいだろ」


 思い出すだけで吐き気が.......うぅ.......嫌なことを思い出してしまった。

 でも、あの頃は色々なことを学べたな。

 やはり、殺し屋時代の時に一番大事だと思った事は知恵だった。


「.......知恵?.......そうだ!俺が必要な力は知恵だ。"知識は力"なりって言葉があるしな」


 そして、俺は"知恵"が欲しいと強く念じ、ついでにチートステータスを貰えなかったお詫びとして、何かサービスして欲しいと神様に願った。


『受諾されました。固有スキル 叡智之神を取得しました』


 あら、なんか凄そうなの貰っちゃった。

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