1話 異世界に召喚されました
「よーし、学校楽しむぞー!」
俺は天草優真、15歳まで殺し屋をしていた元殺し屋で、現在は普通の男子高校生をやっている。
そして俺は学校がとても好きなのだ。
殺し屋をやっていると、お金のためにやりたくもない汚れ仕事をやらなければならないのである。しかも、殺し屋の仕事は国家公認ではなく、黙認されている仕事で、殺しの依頼を達成する度に報酬を貰えるシステムだから全く収入が安定していない。
それに、殺しの仕事だから、もちろん命がいくつあっても足りないような依頼ばかりた。
例えば、国の不利益になる人間を、お偉いさんから依頼を受けて始末したり、とある研究材料が欲しいから盗んできて欲しいと言われて盗人の真似事などもしていた。あとは、偶に内戦を止めて欲しいと言われて大量虐殺をした事もある。
これだけで、殺し屋が如何に下らない仕事か、良く分かるだろう。
「まぁー、殺し屋をして後悔した事ないけどなぁ。お金は沢山貰えるし、最初は人を殺すだけで、こんなにお金が貰えるのか!とか思っていたしな.......それに、もう殺し屋は辞めたから自由に、これからは普通の男子高校生と同じように友達作ってたくさん遊べるぜ!あとは貯めたお金でたくさん漫画と小説買おっと。ついでに高校では.......普通のか、彼女とか出来るかもしれないしな!」
しかし、今年の4月に高校に入学して3ヶ月ほど経つが、彼女も出来たことないし、友達すら出来たことがない。.......俺、意外とメンタル弱いから泣いてもいいよね?
優真は見た目も性格も良いし、運動も勉強も出来る完璧に近い人間だが、それ故に周りの人間は近づき難くなっているのだ。もちろん、優真は普通の学生が、どんな人たちなのかも理解出来ていないので、そんな事には全く気づいていない。
彼女を作ろうと思えば簡単に作れるが、俺は殺しの時に女を油断させる方法しか知らないので、それは却下だ。俺は普通の学生と同じように、普通の恋愛がしたいのだ。そう.......あの少女漫画のような!
こんな感じで、どこかズレた事を考えながら、優真は友達と彼女の作り方を考え、学校へ向かうのだった。
◇
「学校についたぞー!」
教室に着いた直後、優真は両手を上げながら大声で叫んだ。それを見たクラスメイトたちは、一瞬だけ優真のことを見て「毎日それやって飽きないのか?」と、言いたげな目で優真を見つめた後、自分と話していた友達や恋人に目線を戻した。
そして、いつも通り先生に怒られてしまった。
「天草君うるさいですよ。何度言ったら分かるんですか?」
「いやー、ついつい」
と言って、優真は全く反省の態度を示さず、頬を描きながら目線を逸らした。
そして、このチンチクリン.......ではなく、彼女は高橋姫。1年2組の担任の先生である。そして身長とお胸が、とても小さい。
「天草君ちょっと変なこと考えてない?」
「考えてるわけないじゃん。相変わらず身長と胸が小さいなって思っただけだよ。」
「考えてるじゃないですか!」
「別に先生可愛いからいいじゃん」
「!?.......べ、別に褒めたって何も出ませんよ/////ちなみにどの辺が可愛いですか?」
思った事をそのまま言ったら、姫先生は頬に手を当てながら体をクネクネさせ、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いていた。
見た目も良いし、子供っぽいから顔を真っ赤にさせたりすると可愛くて弄りたくなるが、体をクネクネさせるのは少し気持ち悪い.......しかし、それを差し引いても姫先生は可愛い!
姫先生にどの辺が可愛いのか聞かれたので、俺は素直に答えた。
「顔が丸くて小さかったりとか、目が大きいとことか、黒髪のショートヘアーとか…」
「えへへー、もーやめてくださいよー…」
そしてこのやり取りを見たクラスメイト達からは「イケメン爆ぜろ」「天草のヤロークタバレ!」「羨ましすぎる…」「さすが天草、貧乳は最高だよな」など様々な事を言った。
みんなからの視線が痛いな。.......最後のは無視だ。
「天草君おはよう!」
「天草君おはよう。相変わらず先生と仲がいいね。」
「また夫婦漫才か?ウハハハハ!」
「天草またやってんの?」
彼女たちはクラスの人気者の奴らだ。名前は1番上から姫野彩、運動もスポーツも出来る。しかも我が校の誇る3大女神の1人である。2番目は天童輝、最初に同じく運動もスポーツも出来る。そして正義感も強く無駄にイケメンである。3番目は才剛元太、とてもガタイがよく目が鋭いからよく不良に間違われるがとても優しい。最後は天野静香、家が剣の道場で小さい頃から剣術を習ってるから凄く強い。そして3大女神でもある。ちなみに3大女神の最後の1人は姫先生だ。
「へー、天草君ってやっぱり先生と仲がいいんだねー。」
何故か姫野からの視線が痛い.......しかも微妙に殺気も混じってるし.......
「そーかなー。」
だが、俺は気にせず、普通に返事をした。
「周りから見たらそう見えるよ?そ、それと、お願いがあるんだけど、私の事は…あ、彩って…」
「うわっなにこれ!」「魔法陣!?」「異世界転移キター!」「うっひぉーキタコレっ異世界転移来たぜー!」
突然、この教室に魔法陣が出てきた。そして俺は、この異常事態の発生と同時に周りに気配が無いか確認をした。
周りにこのクラスメイト以外の気配はないな…まさか本当に異世界召喚か?「ムニュッ」ん?これは…お、お、おっぱい!?あ、なるほど姫乃が抱きついてきたのか。それにしても今まで仕事で女を騙すために沢山抱いてきたけどこれはなかなか…
「天草君怖い…これなに?」
「大丈夫だよ。怖かったら目を瞑って。」
俺は姫野を安心させる為に恥ずかしいセリフを言ってしまった。だが狙い通り安心したようで、震えが収まっていた。
そして俺たち1年2組は教室から消えた。