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兄弟

そのままタクシー乗り場まで一緒に行った


彼はあれから無言のままだった


「そう言えば急用って?」


「いえ、彼女の顔が見たかっただけですから」


ーーー彼女ーーー


何故か胸が痛い


女はずるくて器用な生き物だと思った


自分が欲しい言葉は「彼女」ではない


「好き」という言葉だと確信した


それがない限り予定は進めて行くつもり


その日


最後まで彼は欲しい言葉を言ってくれなかった




帰宅後、お見合いの服装の準備をしていた


携帯電話が鳴る


知らない番号だったが、きっと翼くんだ



「はい」



「無事に着いた??」


安否確認だったようだ


そんな些細な事が、嬉しい


どれだけ女という仕事をサボってきたのか


どれだけ女という仕事をしてこなかったのか


彼といれば分かる。痛いほど分かる。



「うん。ありがとう」


「明日………休み?」


「うん、もう予定はあるけどね」


好きだと言われてないからと


何度も何度も自分に言い聞かせた


だから、先に行く手を阻む


「何時以降なら、いけますか?」


1日2人の男性と会う気力なんてもうない


休日は寝て過ごしたい程体は老いている


それなのに明日は寝不足のお見合い


初対面で気疲れするのが予想出来るのに


彼と会う約束なんて到底出来ない


「分からないの、遅くなりそう。」


「そうですか……もし、もし早く終わったら連絡ください、待ってますから」


そしておやすみなさいと通話を切断された





約束通りの時間に指定のお店へ着いた


そこにいた彼は……



どこか、見覚えのある顔だった





「はじめまして」



挨拶をして微笑んだ顔を見て、ゾッとした


翼くんに、そっくりだった


顔もスタイルも匂いも、仕草や爽やかさすらも


さすがに困惑した



ただ、彼はとても丁寧な言葉を選んできた



初対面の時の翼くんとはもはや真逆だ



趣味はジムだと言う


血液型はA型だと言う


誕生日は4月だと言う




もうこれ以上は怖くて聞けなかった


弟さんがいるかどうかなんて絶対聞けなかった


もし仮に居ててそれが翼くんだった場合


兄弟ハンター扱いされてもおかしくないからだ



冷静になり、彼を知ろうと思った

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