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駆け引き

お見合い相手の情報が入った


4歳年上の32歳で金融会社の部長


のみ


顔やスタイルの情報はなし


まあ30歳になって独身って事は


それなりに遊んできたか


まあ整っていないか、訳あり、癖ありか、


あまりいいイメージは、ない




ただ相手が指定してきた場所は


なかなかセンスの良いお店で


ちょっとポイントはあがったの



それから翼くんとは毎日メールしている


ただお見合いの話はするつもりもないし


交際の真相も問い詰める気はない



わざわざ後日になって、しかも部下に


「あの時付き合おうって言ったじゃん」


なんて惨めな役は買うつもりは無い


そしてそれがめんどくさいと言われる事も


もう知っている



付き合おうとは言われたが好きとは言われてない


そしてこっちも好きと言っていない


ただメールが来るから返すだけ


お見合いは親との約束だと言うし


付き合ってると思ってなかったと言おう



自分の中で都合よく解決してメールを返す




お見合い前日


明日は13時にお店で待ち合わせ


今日の業後にお時間ありませんか?


そう翼くんからメールが届いた



今日は明日の休みの分


やっておきたい作業が多い


おそらく日付けが回る予定


そこから翼くんと会って


明日お見合いだと


さすがにハードな気がする


「急用?」


一旦内容次第かなと保留にして作業に戻った



そして23時


やっとある程度が片付いた時


ふとメールを思い出した


返事していない


パソコンを開けると


「急用ですのでお待ちしております」


どこで待ってるのよ!!


いつから待ってるのよ!!


名簿データから彼の番号を出してかける


本当はイケない事だけど


4コール程で知ってる声がした


「お疲れ様でございます」


ふふっと笑ったような言い方だった


「誰だか分かってるの?」


私の番号なんて知らないはずなのに


「かかってくるだろうなと思ってました」


「ごめんね、いまメール見て……」


「はい、ただ僕の部署はもう閉まってて真っ暗で寒い廊下で待っていますので……部長室に入れて頂けないでしょうか?」


まあ入れる事は構わない


何故ならロックが部屋にはかけられていて


カメラもないから心配はない


出入りの瞬間さえ見られなければ問題ない


そしてもう機械で確認する限り


居残り部署もいない


おそらく会社でふたりっきりだから。



「どうぞ」


ロックを解除すると寒そうな彼が立っていた



暖かいコーヒーと毛布を渡して


ソファで座ってるよう指示をした



私は残りの仕事を片付ける事にした



「自分への興味って薄れてきましたか?」


突然彼がいう



「どうして?」



「初期の頃ほどガツガツこないなあーって思いまして」



「がつがつって!!」



「でもそんな気がしてます」



お見合いが過ぎる


でも彼自身は私の欲しいモノ



「寂しいの?」


ちょっと甘い声で言ってみた


まあ恋の駆け引きは必要だもの


すると彼は突然立ち上がり近付いてきた


「はいって言ったら……何かしてくれますか?」


彼は真剣な瞳で私を見つめている


「逆に何を……期待してるのかな……?」


ちょっと怖い


彼はゆっくり私の顎を指先で引き上げる


高身長の彼を見上げるしかできない


「誘ってるんですか?」


彼は少し目を逸らす


「誘ってなんかないわよ」


彼の手を振りほどいて作業に戻る



すると突然後ろから抱きつかれた


「ちょ、ちょっと、ここ会社よ!」


「会社じゃなければ、いいんすか?」


「そういう事じゃないけど……」



数分の沈黙


何故か動けない私


高身長で案外筋肉もあってがっちりしてる


それが背中から伝わる


そしてとても落ち着く匂い


綺麗な手


耳元で囁くように話す声



浸っていた



もう時刻は0時半だった



通常なら明日早いからって言って帰る


でも久しぶりに男性にハグをされて


とてつもなく満たされていたの



沈黙を破ったのは、彼だった



「ねえ……いかないで。」


私にはそうはっきり聞こえた


「え?!」


それ以降彼は首を横に振り何も言わなかった




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