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禁煙条約

それから山本くんに近付いた


業務連絡の指示といい


彼のパソコンに個人宛にメールしたり


彼が外回りの時は


その近所のカフェで待機して


偶然を装って


部長指示だと言ってお茶をした


彼は私の顔や立場に盲味せずに


はっきりモノを言う


それが何故か嬉しくて切なくて愛おしかった



男なんてたくさんいるのに



何故か彼の事ばかり考えていた



彼は未婚なのは分かっているが


彼女がいるかどうかはわからない



そしてそれだけが聞けなかった


彼は爽やかな雰囲気通りの夏生まれ


7月生まれの獅子様


私は春の4月生まれの牡羊座


彼はO型で私はA型


ひとりっこの私


兄がいる彼


趣味は作曲の彼


趣味はジムの私


そして私は喫煙者


彼は非喫煙者


何一つ共通点がない



そしてある日、彼は言った



「煙草、やめないんですか?」



「いまの所やめるつもりはないわ」



「女性は結婚したら出産もあるし、僕は煙が得意ではありません。」


「煙、だめだったんだね、ごめんなさい」


「お茶に誘ってくださるのは営業サボれるんでいいんですけど、僕の寿命縮まってるんでね。それに自分の体を大事にしてください」


いつもならはいはいと聞き流す所


でも何故か、胸が痛かった


あなたが交際してくれるなら


結婚してくれるなら


その発言をしてもいいわ


でもただの上司だもの


仮に禁煙して、何かあるの?


私は言った


「煙に関しては謝罪するわ。でもそれ以外に禁煙する理由がないの」


別に彼氏がいる訳でも


婚約者がいる訳でもない


あなたがそうなってくれるのであれば……



「理由?例えばどんな理由があれば禁煙できるのですか?」


「大好きな彼が煙がダメだと言うなら禁煙する、婚約者がいるなら、出産を控えて禁煙する」


私ひとりの体じゃなくなった時と言った



「僕と、付き合いますか?」


耳を疑った


彼は真顔だった


「え?」


彼は微笑んでこういったの


「明日から禁煙してね、僕の彼女さん」



喜んでいる自分と驚いてる自分


そして彼の笑顔が薄汚かったことを


冷静に見続ける自分


ただ、否定が出来なかった




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