中編
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それでは奴隷契約の儀式が始まります。
「それでは主人と奴隷の入場です」
ファンファーレと共に謁見の間の扉が開き、白いウェディングドレスのような衣裳を着たZZZが俺をお姫様抱っこしたまま儀式の式場となった謁見の間に入る。
俺もタキシードを身に付け正装させられていた。
恥ずかしいから下してくれと俺はテイルにお願いしたのだが、隙を見て逃亡するつもりじゃろうと、ロリばばあが冗談半分に言うモノだから、それを真に受けたテイルは逃げられることのないように俺をヒッシと抱え込んでいた。
「それでは、これからテイルとショータの契約の儀式を行う」
神官のような正装をしているロリばばあが、口角をニヤリと上げながら儀式の開始を宣言する。
「ショータよ、汝はテイルを主君として、健やかなる時も病める時も、また喜びの時も悲しみの時も、そして富める時も貧しき時も、これを愛し、これを慰め、これを助け、死が二人を分かつ時まで、一生奉仕し続けることを誓うか」
「……」
奴隷契約の儀式と聞いて何かオカルト的な物を想像していた俺だったが、何か違う様な感じがして拍子抜けすると共に、ロリばばあが仕掛けくる罠を回避すべく周りの様子をキョロキョロと伺う。
「イテッ」
ロリばばあの誓いの問いに俺が即答しなかったので、テイルが俺のお尻を抓ってきた。
悲鳴と共に俺を抱き抱えているテイルを見上げると、ドス黒いオーラを放ちながら頬を引き攣らせて無言で俺を睨みつけている。
やばい本気で怒ってそうだ。
「私語は慎むのじゃ。一生奉仕し続けることを誓うか?」
「……誓います」
俺が恐れ戦いてしまったのをロリばばあが見咎め一喝し、この場は何とか治まったが、こうなると、ロリばばあの問いに俺はYESと答えるしか術はなかった。
「テイル、汝はテイルを奴隷として、健やかなる時も病める時も、また喜びの時も悲しみの時も、そして富める時も貧しき時も、これを愛し、これを慰め、これを助け、死が二人を分かつ時まで一生傍に置くことを誓うか」
「誓います!片時も手放すことはいたしません!」
一方、テイルは国王の問いに大広間に響くような大きな声で返事をする。
興奮の余り、ちょっと目が殺気立っているね。
「分かった。分かった。それでは指輪の交換じゃ。例の指輪を持って参れ」
テイルの気迫に押されてたじろいたロリばばあだったが、気を取り直して指輪を持って来るように催促した。
大臣が恭しく、その指輪を持って来る。
落ち着いた感じの装飾が施された銀色の指輪だ。俺達はお互いの左手の薬指にその指輪を嵌めた。
「この指輪はとある魔法が掛けられているのじゃ」
「?」
ウットリとした表情で指輪を見つめているテイルに、口角を上げて含み笑いをしているロリばばあが指輪の説明をし始めた。
「まず第一に、この指輪は嵌めた者が外さぬ限り、取ることができない」
「なるぼど」
ロリばばあは人差し指を立てて、したり顔で指輪の秘密を俺達に説明する。
確かに指輪を外そうとしたが取れなかった。
俺の指輪を取るにはテイルに取って貰わなければならないようだ。
「次の魔法が特に重要なのじゃ。テイルよ、指輪に向かって『ショータの浮気者』と呟いてみるといい」
「ショータの浮気者」
「痛い!痛い!」
ロリばばあは自慢げに指輪の説明を続ける。
何やら合言葉あるようだ。しかし浮気者とは失礼な合言葉だ。
俺は少し憤慨して、ソッポをむくが、テイルが自分の薬指に嵌めた指輪に合言葉を呟いた瞬間、そんな余裕はなくなった。
俺の薬指に付けた指輪が急に締め付けられたのだ。堪らず、俺は悲鳴を上げる。
「このように、合言葉を自分の指輪に呟いて念ずれば、相手の指輪を締め付けることができるという代物じゃ。大切にするのじゃぞ」
「はい!」
痛がっている俺を気に掛ける様子もなく、ロリばばあは指輪の説明を終え、テイルはニッコリと微笑んで元気よく返事をしている。
「ところで、こっちからテイルの指輪を締め付けることはできないのですか?」
「いいところに気が付いたのう。確かにこの指輪は対になることで魔法が発動できる。ソチの指輪からテイルの指輪を制御することも可能じゃ」
俺は締め付けられた指を摩りながら指輪の合言葉を、ロリばばあに聞くと、自慢げに指輪の秘密をしゃべり始める。
そうか、こっちからも反撃できるんだな。
俺は身を乗り出してロリばばあの話に食い入った。
「じゃが、しかーし!その合言葉は教えん。奴隷のソチには必要ないからのう」
「大丈夫、安心して。浮気なんてしないから。奴隷はショータ様一人と決めているから」
ロリばばあは人差し指を俺の顔の前に立て、チッチッチッと舌打ちすると、合言葉は教えないと意地悪なことを言い放ち俺にデコピンしてきた。
確かに主人にお灸をすえる奴隷なんていないよな。
俺はがっくりと肩を落とすが、テイルがギュッと抱きしめながら幸せそうに微笑んできた。 いや、テイルの浮気が心配なのではなく、テイルに対抗する手段が欲しかったのだけどね。 そんなテイルの笑顔を見ていると俺は心が癒される感じがするとともに、テイルが痛がる顔や泣き顔は見たくないから、そんな合言葉は知らない方がいいと思えてくるのだった。
「さてフィナーレは、誓いのキスじゃ!」
ロリばばあが場を仕切るように誓いのキスを宣言する。
大広間の観衆からどよめきや口笛が聞こえてきた。
なんか砕けた感じの儀式になってきたぞ。
俺はそう思いながらテイルをチラ見すると、しおらしく目を閉じて俺が口付けするのを待っていた。
「ちゅっ」
テイルに抱き抱えられている俺は首に抱き付くような格好でキスをした。
そしてテイルを見ると、顔を真っ赤にしてはにかんで目を合わせてくれない。
そんなテイルの表情を見た俺もつられて赤面してしまった。
それを見たロリばばあが下衆な笑みを浮かべている。
「立会人の衆もしかと見届けたと思うが如何かのう?この契約の儀式に異存はあるまいな?であれば、ここにショータとテイルの奴隷契約の成立を宣言し、儀式は終了とする」
俺とテイルとのキスを見届けた、ロリばばあは万事順調に終了したと言ったようにほくそ笑みながら口角を上げると儀式の終わりを告げた。
大広間の観衆はゾロゾロと謁見の間から退出していく。最後に残った俺達だったが、興奮冷めやらぬZZZがロリばばあを抱きしめながら、感謝の言葉を怒涛の滝の如く浴びせており、こればかりはさすがのロリばばあも困り果てたようで、放せ、暑苦しいなどと喚き散らしていた。
俺はザマアみろと心の中で毒吐いて憂さを晴らすのだった。
次話で物語は完結です。
新しい小説を投稿しました。
異世界逆セクハラ物語
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一読頂ければ幸いです。