リインカーネイション
よろしくお願いします。
そして願わくば…来世も歌と音楽に溢れた世界に生まれたいな
意識が浮上してくるのを感じる。
まるで、長い夢から覚める時のように…
閉じていた瞳を開けると、そこは教会の様な場所だった。
正面にある大きなステンドグラスからは、柔らかな光が差し込み、美しく輝いていた。
周りにはたくさんの人々が手を胸のあたりで組み、木製の長椅子と長椅子の間の通路に膝をつき、一心に歌を唄っている。
それは、何かを願うように…祈るような歌声だった。
私は、この歌を知っている?
ううん、違う…あの暗闇の中で良く似た歌を聞いたんだ。
あれ、私は…誰?ここは何処だったかな?何をしてるんだろう?
思考が混乱してくる。
周りを囲む異様に大きな人たち。
ふと視線を下に向けると自分の手が目に入る。そして、違和感を感じた。
記憶にあるよりも小さい。これでは子供の手みたいだ。
子供の手……これは……私が縮んでるのかな…?
だんだんと頭の痛みも感じるようになり、両手で顔を覆う。
落ち着いて…大丈夫。ゆっくり深呼吸して。吸って吐いて。
何度か繰り返すがあまり意味はなく、だんだんと呼吸が浅く速くなる。
ふらついてきた体を支える為、目の前の木製の長椅子に手を着く。
私の様子に気づいた隣の人が、声を掛けてくれているのを感じる。
しかし、頭痛と混乱に支配されていて反応することが出来ない。
あぁ、そう、そうだ…思い出した。
子供の手でいいんだ。
だって私は…生まれ変わったんだから
私の脳は考えることを放棄しブラックアウトした。
寝ているのに考えている。
この状況に違和感を感じないのは、まだ眠りの中から覚醒していない為だろうか?
あと少しで眠りから覚めそうな感覚はあるけど、まだ意識は夢の中。
「人は寝ている間に記憶の整理をしている」と言うのを聞いたことがある。
まぁ…これは何かが違う様な気がするけど。
私は…そう…あの時死んでいる。
リインカーネイション…転生と言われるもの。
まさか、本当に存在するなんて思いもしなかった。
それか…これは酷い妄想か…
さすがに、5歳でこんな妄想を考えている子供は嫌だな。
うん。転生したんだと信じよう。
経験したはずのないことも、あの時感じた感情も考えも覚えているしね。
覚えていても、それは何処か薄い膜を隔てて人ごとの様に今は感じる。
さっきまでは、つい一瞬前までその人物になっていた様だったのに。
それでも、「前世の私」と「現世のわたし」が混じり合い、「昨日までのわたし」とは変わってしまったと…そう思う。
それでも今の私は、この世界に生きていて…異世界の記憶を持つ5歳になったばかりの
シュカレイン・リスティアナ
に違いわないのだから…
ありがとうございました。
感想などがとても気になるのですが、キチンハート過ぎて…