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Episode-8 膠着のホシ

 かつての特撮番組においてはUFO、つまり空飛ぶ円盤はノロノロと飛びまわったのち防衛軍に撃墜されるというのがお決まりだった。そしてそこに乗っていた怪獣やら異星人やらが巨大化して暴れる。一種の様式美だ。


 しかし今となってはそれも過去のこと。


 渡邊の操縦するこのUFOはわけが違う。エウロパから木星までを一瞬で飛んでしまった。


 大気圏を突破し、分厚い雲を突き破り、木星の大地が眼下に広がる。VIPルームの一同もこれには大盛り上がりだ。


「うおおおお! 介さん見てみろよ、うおおおお!」

「興奮してるのは分かるが意味不明だ」

 はしゃぐ者とたしなめる者。いいコンビである。


 UFOはそのまま少しずつ高度を落としていく。

 ほどなくしてスター損保のガレージに到着した。ここにいるスタッフが修理をしてくれるらしい。わざわざ外部に頼まない分安くできるのだろう。


「これから修理に入りますが何かご注文はございますか?」

 渡邊が尋ねる。その後ろに修理スタッフがずらりと控えている。


「えと。そろそろ適当な火器を搭載したいと思うのですが、いくらくらいかかるものですかね?」


 ブルー号は元帥がかつて有り金をはたいて購入したものなのだが型が古く、隕石を破壊する程度の火器も搭載していない。また敵に遭遇したときのことを考えると丸腰はあまりにも危険だ。


「なるほど。OKEYAの皆さんはその手のライセンスを持っていますもんね。それで、最近の相場なのですが……」


 渡邊の口から飛び出した金額を聞いて官房長官が派手にずっこける。変に絵になる。


「元帥。とてもではありませんが手が出ませんよ……」


 火星での服部ミッションと先ほどの敵から巻き上げた金品だけでは当然ながら足りない。


 これは仕方がない。頭をかく元帥。

「とりあえず火器はあとにします」


「そうですか。修理には今日明日かかるので木星の観光でもなさっていてください」


「分かりました。ちょうど用事もあるので」


 ガレージをあとにするOKEYA一行。木星に来た目的を果たさなければならない。アンテナで出会った例の刺客を追いかけるのだ。


「会計、発信器の反応はどうだ?」

「木星に留まっているようです。ここからは離れているので何か足が必要かと」


 ブルー号がない今、別の移動手段がほしいところ。


「レンタカーでも借りるかね」

「元帥運転できるんですか!?」


 驚く艦長。何やら風呂敷を背負っている。


「ハワイでおかんに教わったんだよ」

 ここでもハワイ万能説だ。


「そういえば庶務と監察官が空港で待ってるんだよな。まずは二人と合流するか」


 とりあえず安いエアバスで空港を目指すことに。



☆★☆



 かつてガリレオ=ガリレイが発見したガリレオ衛星。先ほどのエウロパの他にあと三つ存在する。


 その一つ、イオに突如黒塗りの宇宙船がワープしてきた。宇宙船というよりその形態は戦闘機に近いその宇宙船はそのまま手頃な場所に着陸した。


 中から現れたのは夏目。秘書は伴っていない。

「思っていたより厄介な連中だな」


「ホントですよ!」

 いつの間にかミャットンがその後ろにいる。リラとルドゥムグも一緒だ。エウロパから近くのイオに移動したらしい。


「船団は統率を失い、最下級とはいえ遊撃隊も散り散りか……他に被害は?」


 戦いを映像で見ていたガウスから連絡を受けていた夏目だがOKEYAの粘りは意外だったようだ。


「一人カツアゲされてました。私もぶったぎられそうになりましたし何なんですかあいつら!」

 ぷりぷりと怒るミャットン。リラと同じくらいの低身長のせいで子どもが駄々をこねているようにしか見えない。


「なるほどなるほど。中将が仰っていたようなお遊びクラブじゃないということか。リラはどう思う?」


「あのまま戦っていれば私たちが勝てたと思います。たしかにただ者ではないかもしれませんが、だからといって銀河軍ほどの実力もないでしょうし」


 冷静なリラ。こういうところはミャットンと対称的だ。


 そして夏目はルドゥムグに目をやる。


「久しぶりに会った桶屋はどうだった?」


「あの頃からまったく変わらないよ。ボクたちのことを憎んでいるのは間違いないだろうけどね」


 夏目、ルドゥムグらは元帥と何らかの因縁があるようだ。


「まさかあいつが息を吹き返して我々に歯向かってくるとはな。火星での一件といい、悪運の強い奴だ」


「帰還命令がなければあのままやっちゃったのになあ」

 懐の拳銃を触る。地球産にはない禍々しさがある逸品だ。


「これからの作戦を説明する」

 夏目には更なるプランがあるらしい。


「OKEYAはおそらく木星で例の刺客を探すだろう。彼がどうなろうが知らないが、再びのチャンスだ」

「その瞬間、隙をついてまとめて殺っちゃおうってことですね!」

 妙に張り切っているミャットン。


 対するリラは落ち着いている。

「ルドゥムグさん、どこにアタリをつけますか?」

「そうだね。刺客の彼はもともと土星の人間だから、最終的にはそっちへ逃げるんじゃないかな。でも、木星に立ち寄ったということは……」


 何故それを知っているのかは定かでないが、土星を目指すとなると宇宙船の整備とエネルギーの調達が必要になる。直接土星に行かないということはそのあたりが関係しているのだろう。


「できればOKEYAより先に彼を見つけて監視するんだ。あとは隙を見て一網打尽。早速向かってくれ」


 夏目のコマンドは絶対だ。


「はい!」

「分かりました」

「りょうかーい」

 言うがはやいか走り去る。


 岩場の影に隠してあった宇宙船に乗り込み木星を目指す三人。見送る夏目。


「OKEYA、桶屋か……ますます興味深い」

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