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清明帰国する

約100年前、古来よりのあやかしを震え上がらせていた一人の対魔士がいた。だが、自分の力の衰えを感じ新たな力を得る為にエクソシストの力を求めた。その名は清明阿倍野せいめいあべの決してあの有名な陰陽師の子孫ではない。  はずだ…

 桜が舞う季節、白装束にロザリオという出で立ちの清明が日本に帰国する。

「ふぅ、やっと戻ってこれたか…しかし、本当にここは大日本帝国なのか? 持ってでた紙幣は使えず、下働きで身銭を得ることになろうとは…」

 もちろん、清明の言う紙幣とは昔の1円札紙幣などである。もちろん、古銭商に売ればよかったのだがそんなことは全く知らないのだった。

「さて…早速あやかしどもを退治して生計を立てるか…」

 駅前で手相占いのような格好をし依頼人を待つ。何度か「占ってください」という客が来たがもちろん追い返している。

「なぜだ…昔は町屋でもあやかしどもが闊歩しておったというのに…もしや!」

 清明があることに気がつき、すっと立ち上がる。

「きっと我の力が強すぎて近ずいてこれないのだ! それほど我の力は強くなったか!」

 勝ち誇っているところに、一人やってきたので、笑いを止め咳払いを行い向き合う。

「拝み屋とは珍しい…一軒かたずけて欲しいものがあるのだが…」

「対魔士だ! で? おぬしもあやかしとお見受けするが?」

「ほう…日本ということで油断しておった…私はデーモン。日本で言うところの鬼じゃな」

「私はエクソシストとしても活躍しておったからな…」

 それを聞いてデーモンが高らかに笑う。

「ますますよろしい! かたずけてほしいのはここから近くのあの建物におる…ほれ、これが前金だ」

 そういうと、手にしていたバックから、札束を一つ差し出す。

「無用! 昔から5文と決めておるからの! ひとまずごめん!」

 そういうと、その示された建物へ走り出す。久しぶりの仕事に清明の心は躍っていた。そして、いざ決戦の場所へ!

「たのもう!」

「いらっしゃいませ、ご旅行ですか? それとも、物件ですか? いいところそろえてますよ」

「…へ?」

 そこは、こじんまりとした旅行代理店だった。挨拶してきたのは少し頭が退行した店主であり、清明が歩み寄ると口を開く。

「ここにあやかしが住んでおろう? 我が退治する! 速やかに引き渡されよ」

 その言葉に、ビクッとする店主の反応に対魔士としての勘が働く。

「貴様がそうか…我としあえ! だが猶予をやろう…牛の刻か? いつでも良いぞ?」

「で…では、営業時間が終わるまでお待ちください…お茶をお持ちしますので…」

 びくびくしながら店主がおくに下がり、がたがた震えながらお茶を出す。

「ところで、お名前を伺っても?」

「ふふふ・・・聞いて驚け! 我は清明阿倍野!」

 それを聞いて、店主はぽかんとしている。以前なら、慌てふためき衝撃のあまり、小便を漏らしながら許しを請うものもいたのだが…

「失礼ですが…あなた様には、そういった力が全く感じられないのですが?」

「ははは! 分るか? 我も気にはなっていたのだが、エクソシストとやらの修行をしていてな! いつのころからか我自身力の波動が感じられなくなったのだ! もはや、我の力は測定不能なまでに高められておるのだな!」

「おそらくですが清明様? 対魔士としての力とエクソシストとしての力がお互いを相殺し弱くなっているのではないでしょうか?」

 店主の言葉に、怒りを覚え叫び懐から古びた札をだす。

「戯れを! 挨拶代わりだ! 我ここに汝を召還する! いでよ!朱雀!」

 一瞬激しい光が辺りを覆うがすぐに煙とともに札が燃えあがる。

「あちち! 貴様! ここには結界が施されているのか? 卑怯なやつめ!」

「やはりですか…私は地縛霊のたもつと申します。私を退治するのはおそらく無理だと思われますのでどうかお引取りを…」

「冗談ではない! 依頼を受けたからには後にはひけん! 我がここで…確か保と申したか? 貴様を監視する!」

「では、ここにサインを…部屋と3食とお給料を多少差し上げますので…」

 こうして、勘違い対魔士と地縛霊との奇妙な生活が始まった。

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