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ピンクブロンドがいっぱい

ピンクブロンド令嬢の物語は始まらない

作者: 田舎娘
掲載日:2026/04/27

突然、思い出した前世の記憶。そして、髪は見事なピンクブロンド。

私って、ヒロイン?それとも地雷物件?

男爵令嬢に転生した私の物語です⁇

ある日、突然、前世を思い出した。

前世は、地球の日本国の首都東京で生まれ育った。

文明が発達して、物があふれていた。

前世の私は、本が好きで、とりわけ異世界ファンタジーが大好きだった。


そして、転生した今、ここは地球ではない。


「やったー。異世界転生だー。地球の知識で無双してやるわ~。」


拳を振り上げたところで、鏡に映った姿に漠然とした。


容姿は上々。顔の作りは申し分なく可愛い。

太ってもなく、どっちかと言えばスレンダー。

でも、将来は胸にも期待できそう。ウエストも引き締まっている。

これにはニンマリだ。前世とは雲泥の差だ。


だが、だが、髪が、髪が、ピンクブロンドだった。

あまりのショックに手と膝をついてうなだれている。


「なんでピンクブロンド?私って、もしかして庶子?」


家は男爵家。これもまずい。

前世の知識では、男爵家でピンクブロンドは庶子が定番。

定番中の定番、地雷物件だ。


しばしの膝つきから抜け出し、両親に出生時のことを聞き出そうと・・・。


「お嬢様って言ってもねえ。

「そうよね。旦那様がメイドに産ませた子でしょ。」

「奥様も、お可哀そうに。」

「でも、貴族なんだから仕方ないんじゃない。」

「お子様をお産みできなかったんですものね。」


メイドのうわさ話に遭遇した。

聞きに行くまでもなく問題解決だ。


「解決なんてしてないわ。

 どうする私。

 逆ハーしちゃう。

 私が、ヒロイン‼」

学院の入学は13歳からで、あと2年。

「入学前にイベントとかあるのかしら。

 聖女認定されちゃったりして。」

妄想が爆走している。

ひそかに『ヒール』を唱えてみた。成功するはずが無い。

誰も病気もケガもしていない。そもそも、ここに私一人だけだ。

指をちょっと切ってみる?痛いから嫌だ。

メイドにたのんで・・・。駄目よね。


暇だし、孤児院にでも慰問に行ってみる。

私って、魅了の魔法も使えるの。

さらに妄想が爆発している。


取り合えず、落ち着くため、お茶を頼む。

頼んだメイドのつぶやきが・・・

「庶子のくせに・・・。」

これが決定打だ。

私は、庶子決定ね。

あんなに、お母様は優しいのに。

きっと、陰で……。


色々とうんうん唸っていたら、

「お嬢様、お茶をお持ちしました。」

さっき頼んだメイドじゃあない。

「ありがとう。

 そうだ。ねえ、ピンクブロンドの人って私以外にもいるの。」

「結構いますね。私の妹もピンクブロンドです。

 それに、巷でピンクブロンドの女性を主人公にした小説が流行ってます。」

「どんな話なの?」

「貴族学院を舞台に、男爵家の庶子が色々にぎわすんです。

 みんな、当家がモデルだとキャッキャしてますよ。」

「やっぱり……。」

「お嬢様は、間違いなくご夫妻のお子様ですし、残念がる子もいるんです。」

「エッ、」

「中には、本に添って芝居ごっこまでする始末ですよ。」


「私って、庶子じゃあないの?」

「違います。もしかして、ごっこをお聞きになりました。

 私は、お嬢様がお生まれになった時を存じております。」

「そう……。」

「お嬢様は、奥様のお子様です。全く、クビ案件ですよ。

 奥様にご報告いたしてきます。

 失礼します。」


一人になったピンクブロンドの私。

「ピンクブロンドの人って、いっぱいいるんだ。

 私は、お母様の血の繋がった子供。それは、嬉しい。

 でも、私って、

 ただ異世界に転生しただけ?

 王子さまは?

 聖女認定は?

 モテモテ期は?」


「お嬢様。何ブツブツおっしゃっているんですか。」

いつの間にか戻ってきたらしい。


「魔王は? 勇者は?」

「魔王様ならいますよ。魔王国の王様です。

 どこの国とも友好的な国ですよ。

 勇者様? どんな方ですか。」

「聖女は?」

「聖女様なんていませんよ。」


魔王はいるけど、勇者も聖女もいない。

私の転生特典は…… 無い!!


「お嬢様。床に手をついて座ったらドレスが汚れますよ。」

二度目のうなだれ姿勢だ。

「私は、ただの男爵令嬢。」

再確認をする。


「普通が良いのよ。普通が…。

 高望みや妄想は禁止よ。」


物語は、始まる前に終わった。

そもそも、始まってもいない。




 



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