Act1 テイクアウトの勝利飯
本当はここで牛丼屋だったのですが、真夜中なので食べには行けません高校生(爆笑)
ビルを脱出した直後、ヒメ(姫神 薫)は手配したスモークガラスのリムジンにボロボロの二人を回収した。車内では航聖(玉木 航聖)が慣れない手つきで二人の怪我に応急処置を施している。
「__ハァ……腹、腹減ったなぁ。」
龍輝がシートに深く沈み込み、空腹を訴える。
希も激しく同意する。
「……あたしも……お腹ペコペコ」
「こんな時間に私たちが食べに行けるところなんてないでしょ?あなたたちみたいな恰好で男女歩いてたら、即補導よ」
「……。」
「……航聖、そこにある保温ボックス開けてみて」
広い車内、航聖が足元の保温ボックスを開けると、そこにはチェーン店の牛丼……ではなく、ヒメが注文した料亭の特製のお重が入っていた。
「……げ、こんなん見たことねーぞ」
「……あたしも」
「…最高級和牛よ。頑張ったご褒美ね。ここなら補導される心配はないわ。」
ヒメは、嬉しそうに微笑んだ。
「航聖もよ。みんなで食べてちょうだい」
「あ……僕は後処理のデータ入力があるので……」
「コーセイ!一緒に食べようよっ、……ねっ?食べよ!」
希の屈託のない笑顔に、航聖は逆らうことが出来なかった。
「……はい」
車内で三人嬉しそうに食事するのを、助手席から楽しそうに眺めるヒメだった。
その賑やかな食事の最中に姫の膝上のタブレットに無慈悲な監視カメラの画像が入る。
「__龍輝。あなたのアパート、……やられたわ。……燃えてる、特定されたみたい」
「……え?」
龍輝の手が止まる。希、航聖も手を置いた。
「……龍輝、とりあえず今夜は、『樹道場』へ行きなさい。……希、おじい様には話を通してあるから。__いつかはこうなると分かっていたもの」
ヒメが意味ありげに話す。
「……へっ?あたしん家?__龍輝のアパート?__やられた?……龍輝!あんた一体何やったの?__もしかして警察のご厄介に……」
「馬鹿ッ!!……ちっ、ちげーよっ!」
龍輝は顔を真っ赤にして、持っていた箸を希の方へ突き出した。
「俺が何したって言うんだよ?燃やしたのは俺じゃなくて……その俺を追いかけてるっつーか、……しつけー連中がいるんだよっ!」
「しつこい連中って、借金取り?それとも昔の喧嘩仲間?……どっちにしてもアパート燃やされるなんて普通じゃないよ。学校どうすんのよ?」
「学校どころじゃねえっつの!……っつか、お前、さっきまで一緒に死線潜り抜けてただろ!なんでそんな『ご近所のトラブルです』みたいなトーンで説教してんだよっ!」
二人がいい争っているうちに、航聖がタブレットを叩いている。
「心配いりませんよ。すでに処理済みです。住民票は希の家に、転校届はうちの高校で決まりです。
罹災証明やその他もろもろ、ヒメの意向でどうにでもなりますから」
助手席からヒメが笑う。
「ちょうど『いい番犬』が欲しかったのよ」
「あんた、『番犬』だって」
「お前もだろ?」
一通りお互いを罵った後に__希と龍輝は二人、ため息をついた。
チャプター1 終了です。わーい!




