Act8 衝撃の再会 その2
薫が耀心の言葉を切り捨てた。
__それからしばらくして、航聖の城(生徒会室横 演算室)のドアが再び開く。だが今度は、乱暴な侵入者としてではない。
「……一体何の騒ぎだ?『航聖の部屋』は立ち入り禁止のはず……⁈」
「……龍輝……か……」
「…………耀心……」
耀心と龍輝。互いの眼に、信じられないものを見たという驚愕が走る。
かつての親友の傍には、自分が最も忌み嫌う「加納家の恥さらし(龍輝)」が当然のような顔をして立っている。
「龍輝……。貴様、なぜここにいる⁈……航聖、まさかお前、こんな男に守られているのか?一族があれほど嫌い、遠ざけた野蛮で低俗な暴力に」
航聖は、耀心の叫びを「感情のない瞳」で見つめていた。
以前の彼なら耀心の怒りに震え、思考停止のままだったであろう。
だが今は、薫と龍輝が「航聖の矛と盾」として__物理的な境界線として存在している。
「……耀心。君のいう「世界」には……もう僕の居場所は無いんだよ」
航聖の声は静かだが、明確な拒絶を孕んでいた。
「君は僕に『純粋な知能である』ことを望んだ。だが、どこで道を間違えたのか、先に手を出してきたのが『加納家』だ。……薫は僕に『加納家を壊す権利』をくれた……加納が排除した僕と龍輝……今の僕には君はもう『不確定要素』でしかない」
耀心は航聖にとっての不安材料だと言ってのけたのだ。
「聞こえたかしら?……耀心さん」
薫は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「……これが、航聖の出した結論よ。私の命令ではないわ……貴方とは違う」
耀心の耳元で、インカムが悲鳴のようなノイズと共に報告を受けた。
「__耀心様、申し訳ありません……!外の護衛が、女子高生一人の素手に、次々と……っ!」
「何だと……⁈」
耀心の端正な顔が驚愕に歪む。
その隙を見逃さずに、航聖は震える指先でメインモニターを起動させた。
青白い光の中に映し出されたのは、外での惨状だった。
そこには制服姿の少女、希がいた。彼女は武器も持たずに、流れるような古武術の体捌きで大男の重心を奪い、鋭い正拳突きでプロの意識を刈り取っていく……それはまるでストリートダンスを大勢で楽しんでいる普通の女子高生のような感覚で、笑いながら次々と男たちをなぎ倒していった。
「……希……?」
航聖の眼に僅かな光が宿る。パニックでバラバラにになりかけていた彼の思考が再び繋がっていく。
耀心はその光景を忌々しげに睨みつけ、再び航聖を支配しようと一歩を踏み出す。
だが、その肩に重い、岩のような手が置かれた。
「……昔、航聖があんたの脳だったかどうかは知らんが、今は『俺たちのものだ』」
龍輝だった。
彼も「仲間」という言葉は知らない。ただ、「奪わせない」という絶対的な意思を耀心に示したのだった。
「__あら、捨てたものに執着するなんて。みっともないわねえ」
薫が言葉の援護射撃を放つ。
「もうそろそろ撤収しないと、警察が来るんじゃない?」
なんだか難しい局面になって、遅筆になっています(笑)
消さないように気を付けないと!




