Act6 加納家の兄弟たち __加納刹那(せつな)の飢餓
加納家本家から切り離された別宅。そこには加納家という巨大システムの「汚れ仕事」を専門に引き受ける(外腹)の次男刹那が住んでいた。
部屋を照らすのは数台のモニターのブルーライトだけ。刹那は「敢えて」脆弱性を残した外部ポートをハッキングして、瑞穂学園の監視ログを盗み見ていた。
「見つけだぞ……航聖。お前の隙を……」
画面に映し出されたのは、つい先刻の廊下の映像だ。
かつて、自分には何も教えてくれなかった「先生」こと玉木 航聖が、自分よりも年下だが、本家の「朔夜」を無能扱いしたのだ。そしてあろうことか、自分と同じ腹違いの弟「龍輝」に肩入れしている。
スピーカーからは、航聖の冷たい声が流れる。
「……加納家の刹那君も、所詮は独学の野良ですよ。龍輝よりも先に生まれていたが、あの二人は教育されていなかった……まあ、龍輝の方が素材としては可能性が見られる。見ていて面白いですね」
その瞬間、刹那の瞳に濁った熱が宿った。刹那は龍輝よりも先に生まれ、先に加納家の地獄を味わってきた。自分が最初の犠牲者であり、最強の仕事人であるという自信があった。
だが、5年前に、本家で出会った航聖は、朔夜とは交流があったものの、自分と龍輝には何もしてくれなかった……その上、明らかに今の龍輝に何かを見出している。
モニターの薫が追い打ちをかける。
「……でしょ?誰かさんのように欲しがるだけでは、何も響かないものよ。システム外だわ」
刹那は、握りしめたキーボードをミリミリと軋ませた。
刹那が欲しかったのは、自由だけではない。
龍輝が思わずして手に入れた、航聖と薫という「魂の居場所」そのものだったのだ。
「システム外だって?だったら航聖、お前のその『完璧なシステム』ごと破壊してやるよ。……龍輝を殺して、俺がその欠けた歯車に収まってやる……俺の方が、お前の論理を美しく証明できるってことを教えてやるよ……航聖センセ」
刹那は立ち上がり、武器を手に取った。
航聖が意図的に流したログという名の「招待状」……刹那はそれを喜んで受け取ることを決めたのだった。
ドロドロ加納家四兄弟の区別がつかない(笑)龍輝だけは気に入ってます。
長男 耀心 次男 刹那 三男 龍輝 四男 朔夜
メモ書きです。




