Act 4 断絶の対峙__姫神 正雄の「正義」
姫神会最上部の豪華な書斎。重厚なデスクの向こう側で、姫神 正雄は不機嫌そうに書類を放り出した。
「薫。お前が学校で『加納の出来損ない』とつるんでいるという報告が入っている。……あんな逃亡犯、放っておけば野垂れ死ぬだけのゴミだ。なぜ瑞穂学園にまで引き入れた?」
正雄の瞳には、娘への愛情ではなく、自分の「所有物」が汚されたことへの不快感だけがあった。
「あら、お父様。彼にはまだ利用価値があると思っただけよ。加納家の血筋はたとえゴミであっても腐りはしないわ」
「お前がなぜそこまで手間をかける理由が分からん。潜伏先のアパートを焼いたのは、私なりの警告だ。加納家の『外腹の末路』など、路地裏で死ぬのがお似合いだろう」
正雄は嘲笑った。龍輝が逃亡者であり、住む場所も失った弱みに付け込み、自分たちの駒として再利用しようと考えていた。
「……お父様、焼け出された彼を拾ったのは私よ。今は協力者の元で私の管理下に置いているわ」
「ふん、まあいい。奴の母親が我が会にいる限り、奴は私には牙をむくことはできん。……今回の大会、奴をリングに上げろ。我が神牙の強さを際立たせるための噛ませ犬としてな」
「__ええ、分かりましたわ」
薫は静かに微笑む。
(待っていなさい、お父様)




