Act2 嵐の転入生
理事長室での挨拶と事務手続きを終えて、龍輝と薫と共に2-Aの教室へと向かっていた。
廊下を歩く二人の姿は否応なしに周囲の生徒たちの目を引く。
「おい、ヒメ……これ(制服)、肩凝って仕方ねえんだけど?動きにくいし」
龍輝きが窮屈そうに襟元を引っ張ると、薫は嬉しそうに首を傾げた。
「__我慢して。私の隣に立つのに、作業着を着るつもり?番犬さん」
「……チッ」
「じゃあ、後でね、宜しく」
ヒメはそのまま2-Aの教室へと向かった。
2-Aの教室。組長の佐藤 研斗は教室後方窓際で本を読むヒメの機嫌を伺うようにそっと近づいた。
「姫神さん、お早うございます。今日はずいぶんと早いですね?何か心躍るような予定でもあるのですか?」
「__別に。静かに本を読ませて、佐藤君」
ヒメは視線を本に落としたまま、冷たく突き放す。
研斗はその拒絶さえも「気高い」と受け取り、「失礼しました」と頭を下げて、自分の席に戻った。
ホームルームの時間、担任の教師が入って来ると、教室の空気が一変した。
研斗は最前列でその少年を捉え__息をのんだ。
(何だ?……この違和感)
担任がタッチパネルを操作すると前のホワイトボードが鮮やかなモニターへと切り替わり、学園のロゴが浮かび上がった。
「担任の合図とともに電子モニターに巨大な文字がタイピングされる音と共に浮かび上がった」
【編入生 : 加納 龍輝】
そのフォントの鋭ささえも、研斗の心臓を突きさす刃に見えた。
(__加納 龍輝だって⁈)
研斗の脳内で、「本家」から共有されていた秘匿データがフラッシュバックする。本家の血を引きながら、制御不能の「欠陥品」として野に放たれていたはずの男。
(嘘だ……。なぜ本家はこの僕に何も知らせずに、よりによって僕の「聖域」に?)
研斗が驚愕で固まっている中、モニターに表示された無機質な「名前」が、実態となって研斗の目の前に降り立つ。ターゲットが制服を着崩して今、自分の目の前にいる。
龍輝は、教卓の前で止まることもなく、悠々と歩きだした。その際、モニターの名前を凝視して顔を真っ青にしている研斗と一瞬だけ視線が交差する。
(……あ?こいつ、誰だっけ。……ああ、航聖が言っていた奴か。……にしても、何だその顔。……うわ、キモっ)
龍輝の野生の直感は、研斗の「エリートの皮を被った粘着質な性格」を瞬時に見抜いた。挨拶すら交わさず、龍輝は研斗の横をすり抜け、迷わず後ろの薫の横へと座った。
「……よぉ。窮屈な場所だが、約束通り来たぜ」
「ええ、歓迎するわ、龍輝。……さあ始めましょう。私たちの『学園生活』を」
ヒメは研斗には決して見せない、慈愛に満ちた深い微笑みを龍輝に注いだ。
組み立てだけでも大変ですね。正月潰れました。
なろうの作家様、リスペクトです。




