表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義理だと分かったら、妹がガチの恋愛脳になった。〜妹が妹じゃなくなれば、最強ヒロインができあがる  作者: 白井 緒望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/108

第107話 冷たい後輩が眼鏡を外した。

 鈴音の誕生日プレゼント、どうしよう。


 あれっ、靴とか指輪とか、誕生日プレゼントだった気がするぞ?


 鈴音に聞けば分かるんだけれど。確認が必要なくらいに曖昧なこと自体が、既に重罪だったりする。


 んー。それに靴は壊れちゃったし、指輪はバイトのご褒美だったんだ。


 何かに『人の記憶はご都合主義』って書いてあったけれど、どうやら本当らしい。



 誰か女性に相談したいところだが、あいにく気軽に相談できる女友達がいない。


 蛍? 朱音?


 聞いたら、別の問題が続出しそうだ。


 

 

 飛び込みで店に行ってみるか。

 見ているうちに、何か思いつくかもしれない。


 俺は近くのショッピングモールに出かけることにした。目についた雑貨屋に入ってみる。


 お香の匂い。


 和風雑貨の店らしく、棚には、水引の髪飾りや友禅の小皿が並んでいる。店の奥には、木製の水筒やお弁当箱が陳列されていた。俺は弁当箱を手に取った。

 

 「これ渡したら、鈴音にお弁当をおねだりしてるみたいじゃん……」   


 マジで分からない。


 店に行けば思いつくとか言ったやつ誰だよ。

 余計に分からなくなったぞ。


 俺は、途方にくれるしかなかった。



 すると、背後で女性の声がした。

 「あっ。シスコンお兄さん」


 (誰だよ。失礼なやつだな)


 振り返ると、黒髪おさげに黒縁メガネ。

 奥二重で、地味目な隠れ美人。


 飯田 愛良(いいだ あいら)だ。

 写真撮影の時以来だったから、一瞬、分からなかった。


 「愛良じゃん。偶然」


 「そうですね。イヤな偶然です」

 相変わらず、そっけない。

 でも、俺のことを認識はしてくれているみたいだ。


 「そう? 俺は愛良に会えて良かったけど」


 鈴音から程よい距離感のニュートラルさ。

 そして女子。理想的な相談相手。


 この出会いは、天が与えたもうた奇跡に違いない。


 愛良は身構えた。

 「あの、なんで呼び捨てなんですか? 馴れ馴れしい。しかも下の名前呼び」


 えっ? そうだっけ?

 前にどう呼んでいたかすら覚えていない。


 「じゃあ、飯島さんでいい?」


 愛良は眼鏡を掛け直した。

 「あのー、わたし飯田なんですけど」


 やべっ。素で間違えた。

 ここで機嫌を損ねたら、アドバイスがもらえなくなってしまう。


 「じゃあ、愛良さん」


 「名字忘れてるくせに名前だけ覚えてるとか、まじで引くんですけど。それに今更『サン』つけられても」


 「……じゃあ、愛良ちゃんで」


 「今朝、テレビで見たんですけど、最近は『ちゃん付け』は、なんとかハラスメントなんですよ?」


 それは職場での話だろう。

 ええい、面倒くさい。


 「じゃあ、なんて呼べば良いか指定してよ」


 「わたし、一応、後輩ですし。自分で呼び方を指定するのとか滑稽じゃないですか。だから、別に呼び捨てでいいです」


 結局は愛良でいいらしい。


 これだけやり取りして最初の呼び方に戻るとか。なんなのこの人。


 「それで、愛良は何してるの?」


 「和装部の小物を買いに。悠真は?」


 自分は普通に呼び捨てかよ。

 俺は『一応』先輩なんですけどぉ?


 ま、いいや。


 「俺は妹の誕生日プレゼントを選びに」


 「シスコン」


 「え?」


 「なんでもないです。それで、わたしに一緒に選べと?」


 「いや、まだ何も言ってないんだが」


 「だって、こうやって嫌いな男子と偶然会った場合って、この後、いかにも口実なプレゼント選びに付き合わされるんですよ。そして、少し好きになってラストでキスをするんです。そういうのラノベ的『お約束』って言うんです。ま、ヘタレなシスコンには無理でしょうけど」


 さりげに『嫌い』宣言されたんだが。

 それに、俺は結構色々読んでいるが、そこまでご都合主義なラノベには出会ったことがない。


 女の子の方も、嫌いな相手とプレゼント選びなんて行かないでしょ、普通。


 何かのフラグか?

 そんなに挑発するならやってやろーじゃねーの。


 「愛良。プレゼント選びに付き合って」

  

 ふんっ。言ってやったぜ。

 さあ、誹謗中傷して断るがいい。


 愛良は立ち止まった。

 天井を見上げて、何かを呟く。


 おもむろに眼鏡を外してバッグに入れた。


 そして答えた。

 「……はい」


 え?

 そして、なんでメガネを外したの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ