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義理だと分かったら、妹がガチの恋愛脳になった。〜妹が妹じゃなくなれば、最強ヒロインができあがる  作者: 白井 緒望


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105/108

第105話 旅の終わり。

 居間に戻ると、昼食を準備してくれていた。


 「悠真。どうだった?」

 鈴音も心配そうだ。


 「うん。ありがとう。たぶん、澪母さんも喜んでくれたと思う」


 「そっか。良かった」

 

 俺は玉江さん(祖母)のところに行って、正座した。


 「部屋をそのままにしてくれて、ありがとうございます。澪母さんのこと、なんとなく肌で感じることができました。それと、色打掛なんですけど、もう少しだけ、預かっていただいても良いですか?」


 「あぁ。わかったよ」

 玉江さんは答えた。

 

 「使う時には、また受け取りに来ますんで」


 「そうかい。じゃあ、また悠真に会えるのを楽しみにしておくよ。わたしが死ぬ前にはよろしくな」

 玉江さんは、口を綻ばせた。


 テーブルには、ちらし寿司とポテトサラダと鳥の唐揚げが山盛りになっている。

  

 ちらし寿司には淡い桃色の刺身。地魚だろうか。


 光希さんが玉江さんに取り分け、仏壇にも小さなお椀でお供えした。その後、俺たちはテーブルを囲んだ。


 玉江さんがベッドから言った。


 「この金目鯛は、澪の好物なのよ。では、いただきましょう」


 鈴音と風夏はすぐに打ち解けた。

 風夏も部活を頑張っているらしく、鈴音と話が合うようだ。


 鈴音が耳打ちしてきた。


 「風夏ちゃん、かわいいねぇ。まさか……口説いたりしてないよね?」


 「おまえな。俺をどんだけチャラいと思ってるんだよ。従姉妹だぞ? んなわけないだろ」


 「ふぅん。ま、血縁だもんね。さすがに大丈夫か」


 なんかトゲがあるな。


 風夏が言った。

 「鈴音ちゃんたち、旅籠遊里に泊まったんでしょ? あそこの娘は、わたしのクラスメイトなんだ」


 「あっ、凛ちゃんね。悠真に口説かれていたみたいだけど」


 鈴音と風夏は、目を細めて俺を見た。


 「わたし、せっかく増えた従兄弟がチャラ男だなんて、ちょっとへこむんだけど」

 風夏は、そう言って目を更に細めた。


 それにしても、あのポンコツ仲居さんが風夏の友達とは。世の中は狭い。


 その後は、澪母さんの好物だったという猪の形のお菓子をもらって、解散になった。


 玄関口で風夏が手を振ってくれた。

 俺が手を振りかえすと、風夏が言った。


 「鈴音ちゃん。今度、鈴音ちゃんの家に遊びに行って良い? あと、うちにも遊びに来て。悠真くんなしでもいいから!」


 どうやら、俺に手を振ってくれたわけではないらしい。鈴音と風夏が仲良くなってくれるのは嬉しい。


 でも、俺は実従兄弟なのに……。

 

 鈴音が俺の方をみた。

 「悠真。どうかしたの?」


 「いや、俺だって従兄弟なのに。俺なしでいいとか、血縁の絆、脆すぎだろ」 

    

 鈴音は頬をいじった。

 「それは、まぁ。風夏ちゃんに悠真のこと聞かれて、『悠真は血縁がないと燃えない男の子』だって言ったからかな……」


 「は?」


 「いや、だってそうだし。わたしだって朱音ちゃんだって親戚だし。蛍は例外中の例外」


 「他には何か言ったのか?」


 「アタシのことどう思ってるかなぁ? って言われたから、『小麦色のふくらはぎが可愛い』って言ってたと伝えたくらい……かな」

 

 『かな』じゃあないよ!

 悪意しか感じない。それで急に風夏がよそよそしくなったのか。


 ……まぁ、ふくらはぎを見てそう思ったのは事実だが、鈴音には話していない。なんで分かるんだろう。


 帰りの車の中で俺が首を傾げていると、鈴音が顔を覗き込んできた。


 「怒った?」


 俺は声を落とした。

 「怒らないよ。ごめんな、心配をかけて。鈴音が一番だから。あっ、もらったお菓子を食べてみようぜ」


 「うんっ」

 鈴音は口を綻ばせた。


 俺は猪のお菓子を一口かじった。

 皮が砕けてパリッと音がする。


 「うまいな、これ」


 澪母さんが好きだったお菓子は、中に黒糖味の餡が入っていて、少しだけほろ苦かった。

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