第三話: 村の危機とスキルの進化
村長の家で一晩過ごした翌朝、俺は村人たちに囲まれて目覚めた。昨日の盗賊退治が広まって、朝から感謝の嵐だ。子供たちが「ヒーロー! またやって!」って騒ぐし、おばさんには手作りのパンを押し付けられるし。ちょっと照れるけど、この異世界での初日としては上々の滑り出しだ。
「なぁ、お前さん。実は頼みたいことがあってな……」
朝食のスープを飲みながら、村長が神妙な顔で切り出した。どうやら昨日の盗賊はただの前触れで、本隊が近くに潜んでるらしい。村の外れにある森で、数十人規模の盗賊団がキャンプを張ってるって話だ。
「本隊が来たら、この村は終わりだ。お前さんの力なら、何とかできるんじゃないか?」
村長の懇願する目に、俺は少し迷った。確かに【ゴミ拾い】は便利だけど、数十人相手じゃ分が悪いかもしれない。でも、ここで村を見捨てたら居場所を失うし、何よりこの人たちの感謝が気持ちいい。
「分かりました。俺に任せてください」
そう言って立ち上がると、村人たちが一斉に拍手してくれた。まるでRPGの主人公になった気分だ。
森の奥に近づくと、確かに盗賊たちのキャンプが見えた。焚き火を囲んで酒を飲んでる奴、武器を磨いてる奴、全部で30人くらいか。ボスっぽいデカい男が真ん中で命令を吠えてる。
「よし、村を襲うぞ! 金も食料も全部いただきだ!」
その声を聞いて、俺は腹が立ってきた。この人たち、ただのクズじゃん。スキルを使えば勝てるかどうかは分からないけど、やるしかない。
「行くぞ、俺のゴミ軍団!」
周囲に散らばる小石、枝、落ち葉を一気に「ゴミ」と意識して浮かせる。数十個の物体が俺の周りを旋回し始めて、まるで小さな嵐みたいだ。深呼吸して、キャンプに向かって突っ込んだ。
「おい、誰かいるぞ!」
盗賊の一人が俺に気づいて叫んだ瞬間、浮かんでた小石を一斉にぶつける。バシッ! ゴツン! 顔や体に当たって、何人かが倒れた。でも、数が多い。すぐに剣や弓を持った盗賊たちが反撃してきた。
「くそっ、矢が飛んでくる!」
慌てて近くの壊れた木箱の破片を浮かせて盾みたいに使う。矢がガツンと当たって跳ね返った。なんとか防げたけど、このままじゃジリ貧だ。もっとでかいものを操れないか?
視線を巡らせると、キャンプの端に放置された古い荷馬車があった。ボロボロでタイヤも外れてる、まさに「ゴミ」だ。あれを動かせれば……!
「ゴミだ! 動け!」
全力で意識を集中すると、荷馬車がガタガタ震えて浮かび上がった。重いけど、なんとか持ち上がる。盗賊たちが目を丸くしてる隙に、俺は叫んだ。
「くらえー!」
荷馬車を盗賊のど真ん中に叩きつける。ドカーン! ってすごい音がして、キャンプが大混乱。ボスっぽい男が荷馬車の下敷きになって「うぐぅ!」って呻いてる。他の盗賊たちはパニックになって逃げ出した。
「やった……勝った!」
息を切らしながらその場に座り込むと、ステータスウィンドウがポップアップ。
名前: 佐藤悠斗
レベル: 5(↑3)
職業: なし
スキル: 【ゴミ拾い】→【ゴミ支配】
効果: 周囲の「ゴミ」を自由に操る。操作可能な重量と範囲が拡大。
「スキルが進化した!? しかもレベルも一気に上がってる!」
どうやら大量の敵を倒したことで経験値が跳ね上がったらしい。【ゴミ支配】って名前もかっこいいし、これならもっと大きなものも操れるかも。
村に戻ると、俺は英雄扱いだった。盗賊団を壊滅させたって話が広まって、村人たちがお祭り騒ぎ。酒や料理を振る舞われて、子供たちには肩車までさせられた。
「悠斗殿、この村にずっと住んでくれ!」
村長にそう頼まれたけど、俺は少し考えた。この村もいいけど、もっと広い世界を見てみたい。スキルの可能性も試したい。
「しばらくはお世話になります。でも、そのうち旅に出ようかと」
村長は残念そうだったけど、笑って頷いてくれた。
その夜、星空を見ながら俺は思った。この異世界、案外俺に合ってるかもしれない。




