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勘違いから始まる吸血姫と聖騎士の珍道中  作者: 一色孝太郎
花乙女の旅路

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第三章第27話 ツィンシャの大密林

「ポイズンウルフが 5 頭でござる!」

「任せてくださいっ!」


ルーちゃんが矢を番えるのを見た私は急いで自分の身を守るための結界を張る。


パシッ、キャウン


パシッ、グルルルル


ガキン


ふう。やはり転ばぬ先の結界だ。二発は命中したが一発は真後ろの私に向かって飛んできた。


相変わらずの誤射フレンドリーファイア率だが、何故私のほうにばかり飛んでくるのか。


しかし、今のルーちゃんの二射で警戒したらしいポイズンウルフは私たちから距離を取っている。岩の影や木の陰に隠れてこちらの隙を伺っているようだ。


「結構賢い魔物なんですね」

「狼系の魔物は総じて賢いものです。フィーネ様が私と最初にお会いした森で手懐けられていたシルバーウルフも相当賢い魔物ですからね」

「うん? なんでしたっけ?」

「え? ほら、あの森でお会いしたときに……」

「あ! ああ! あのモフモフ! 思い出しました。あのモフモフ、魔物だったんですね。知りませんでした」


てへっ、と可愛く笑ってみた。


「フィーネ様、あなたという方は、全く。流石です」

「フィーネ殿は魔物を手懐けられるでござるか? それならあのポイズンウルフ達も手懐けられるのでござるか?」

「うーん、無理じゃないですかね? 目と目を合わせてじっくり話し合いをしなきゃダメですから。それにこっちから攻撃してしまっているので怒ってるんじゃないですかね?」


本当は【魅了】を使って一時的に協力してもらっただけだけどね。


「そうでござるか。では仕方ないでござるな」


そう言ってシズクさんは油断なく刀を構える。今回は黒い靄を纏った獣ではないため愛刀のキリナギを使っている。クリスさんもいつもの聖剣だ。


「このままだと睨み合いで埒が明かなそうなのでちょっと牽制してみましょう。浄化!」


私は効果がないことを承知で浄化の魔法を木の陰に隠れているポイズンウルフに対して打ち込んだ。ほんの僅かに手応えのようなものは感じたが、やはり黒い靄を纏った獣の時と同様にしっかりと浄化できた時のような手ごたえはない。


だが効果は十分にあった。私の浄化の光に驚いたポイズンウルフは慌てて木の陰から飛び出した。そこをルーちゃんが狙撃して一撃で頭を撃ち抜く。そしてそのポイズンウルフはそのまま動かなくなった。


「ルーちゃん、ナイス!」


ルーちゃんはイエイ、とピースサインを私に送る。


この世界でもその仕草あるのね。


その様子を見ていた無傷のポイズンウルフ二頭はそのまま逃げていった。


最初にルーちゃんが撃ち抜いたポイズンウルフ二頭もクリスさんとシズクさんがいつの間にかトドメを刺していた。


「まだ森に入って少ししか経っていないのにいきなり襲撃ですか。やはり町の人たちの言っていた通り、この森は魔物が多いみたいですね」

「そうでござるな。毒沼もあるそうでござるし、この森の一帯はもしかすると瘴気溜まりなのかもしれないでござるな」

「瘴気溜まり、ですか?」

「瘴気が溜まりやすい場所のことでござる。瘴気の多い場所は魔物が多かったり毒が自然に発生したりする、と言われているでござるよ」

「瘴気と魔物の関係はホワイトムーン王国でも言われています。インゴールヴィーナ様からフィーネ様への恵みの花乙女としての依頼の件と併せて考えると、毒と瘴気も関係があるのかもしれません」

「なるほど。ところで、このポイズンウルフはお金になりますか?」

「魔石ぐらいでござるな。毛皮はあまり高値で売れないでござるな」

「じゃあ、魔石だけ回収しましょう」


私たちは三体のポイズンウルフを浄化してから魔石を取り出すと、死骸を土に埋めた。そしてゾンビ化防止のためにもう一度浄化をして出発した。


そして 5 分くらい歩くと、今度は巨大な猪の魔物に襲われた。狩猟祭りでみた猪よりも遥かに巨大だ。正面から見ても私の背丈の数倍はあるだろう。これはもはや巨大な岩だ。


「姉さまっ! あれはビッグボアーです! あの魔物はものすごく美味しいんです! 是非食べましょう!」


ルーちゃんがものすごい食い気味に私に言ってきた。


「魔物の肉って食べても大丈夫なんですか?」

「内臓を食べなければ大丈夫ですっ!」

「ビッグボアーはほとんど獣と変わらないでござるからな。ご馳走でござるよ」


シズクさんも食べる気満々だ。クリスさんは何も言わないが心なしか頬が緩んでいる気がする。


「じゃあ、倒したら今日はステーキですね」

「やったぁ!」


無邪気に喜んでいるが、あんな巨大な猪を倒せるのだろうか?


そしてビッグボアーはその巨体で私たちに突進してくる。その巨躯に似合わず凄まじいスピードだ!


「ぼ、防壁!」


私の防壁がビッグボアーの巨大な質量を受け止める。防壁にぶつかった轟音と共にゴキッという鈍くて嫌な音がした。


ビッグボアーはその場にへたり込み動かなくなっている。


まさかあれで死んだ?


いや、ピクピクと震えている。息はあるようだ。


「あの、ええと、これは?」

「多分、首の骨をやったでござるな。拙者も数多くの魔物を倒してきたでござるが、この倒し方を見るのははじめてでござるな」

「ええぇ」


そんな話をしているうちにビッグボアーは動かなくなった。


その後、ビッグボアーは切り身と毛皮になり私の収納に収まったのだった。


南無南無。


ちなみにビッグボアーの魔石はその巨体に似合わず私の小指の爪よりも小さなサイズだった。使い物にならないそうなので浄化魔法を付与してポイ捨てしておいた。


まあ、害のあるものじゃないし、大丈夫なはずだ。たぶん。


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