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孤独
「退屈!」
軍用のコートを着た少女が文句を車を運転するメガネの男にぶつけた。
「俺もだよ」
眠たそうな目でそう応えると車を止めた。
「ちょっと休憩、お前は寝てろ」
付けていたメガネを外し目を閉じ、少女に寝るよう言うと目を閉じた。
車は孤独に道路にポツンと止まっている
周りには道を照らす街灯の光だけだった
地球の人口が増えていくにつれ食料不足が大きな問題になった世界は崩壊を迎えた。
この国は食料の大半を輸入に頼ってきていたため、あっけなく文明は消えてなくなった。
他の国ではわずかな食料を得るために戦争をする国もあれば、国民が異国の地に逃げたり餓死して地図から消えた国も少なくはない。100年続けた平和主義のこの国は後者の方で人口は極限にまで落ち込んだ。
少女とメガネの男はその中の生き残りで今日も生きようとしている。