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Wデート

 最初にレナーテお勧めの雑貨店に行った。カーラ帝国色の強い派手な彩色の大ぶりな飾りの小物が多くて、インディア国にはないデザインに大喜びで私は購入した。

 ハンカチーフやブラシや手鏡など友達とお屋敷に残してきた侍女達の分とと選んでいたら随分な数になってしまった。

 途中アーサーが持ってくれたけど、それでもあふれてしまってレオにまで持たせてしまった。


 大漁大漁。ホクホク顔で馬車に積み込む。

 

 次は宝飾店でお父様とお母様へのお土産を買わなくちゃ。

 雑貨店では私一人だけ買い物してレオやアーサーは何も買わなかった。


「二人はお土産買わないで良いの?」

「そうだね、次の店で良いのがあれば弟とルーカスに買ってあげようかな」

 そうね、ルーカスには買ってあげた方が良いと思うわ。身代わり大変だと思うもの。


「アーサーは?」

「騎士団のやつらにさっきの店のバラの手鏡だの花柄の花瓶だの似合うと思うか?」

 筋肉マッチョの皆様の顔が思い浮かんで慌てて打ち消した。


 うん、すっごい違和感。


「あいつらには適当に強い酒を選んで買っていくから良い。なんならここで買わなくて国内で買っていっても強い酒ならあいつらは喜ぶ」


 そうね、騎士団のお姉様方もお酒大好きだものね。


「ご両親には?」

「ルーカスとお前を無事に帰国させることが土産になるからいい」


 そんなものなのね。でもなんだかそれも味気ないから、今度私からアーサーのお母様にお礼としてカーラ帝国の紅茶を渡しておこう。


 馬車は次にレナーテ御用達の宝飾店についた。店内はとても広かった。

 1Fだけじゃなく2Fまで商品が並び、3Fは特別室らしかったけど自分の目で見て選びたかったから遠慮した。

 

 あ、このネックレス可愛い。こっちのイヤリングも素敵。

 この指輪もゴージャス!


 インディア国にはないデザインの物が多くて目移りしてしまう。

 レナーテも大喜びで装飾品を物色している。

 てっきり自分のを選んでいるのかと思ったら「これもレオン様に似合いそう、ま、こっちも素敵」と言っていたから、どうやらレオにプレゼントするつもりらしい。


 レオもアーサーも姿が見えないからどこかでお土産を選んでいるのだろう。


 とりあえず私はここで全てのお土産は買い終わった。満足して後は皆が来るのを待っていたら、ふと横のケースの中の物が目に入り、店員さんを呼んでそれも包んで貰った。

 

 皆良い物が買えたようで満足げに店を後にした。

 この後は武器屋よねと馬車が止まっている場所に歩いて行こうとしたら、レナーテに袖を引っ張られた。


「どうしたの?」

「これじゃあ買い物弾丸ツアーじゃない。全然ムードがないわ。これから皆で散歩でもしましょうよ」

 あ、そっか。レナーテはWデートしたいんだっけ。

 忘れてた。


「皆様、この先に公園がありますのよ。今国家の花でもあるピオニーが丁度咲いておりますの。それは見事ですから皆様少しご覧になりませんこと?」


 レナーテ、公園デートしたいのね。

 時間もまだあることだし、案内人のレナーテお勧めということもあり皆でそちらに歩いて行くことにした。

 もちろんレナーテはレオの隣をがっちりキープしている。


 Wデートかぁ。でもそもそもWデートって何するの?

 遊園地とか映画館とかこちらの世界にはないし。

 そもそもこちらの世界でデートなんてしたこともないし、この世界のカップルって普通何してるのかしら?


「ねえ、アーサー」

 レオとレナーテの後ろをテクテク歩きながら、横にいるアーサーに話しかけた。

「なんだ?」

「手でも繋ぐ?」

「は?」

 いやぁ、Wデートというからには形から入ってみようかと思って。 

 公園をただ歩くだけだとただの健康散歩って感じだし。

 ちょっと甘い雰囲気を出してみようかと思ったんだけど。

 ちゃっかりレナーテはレオの腕に手を絡めてるし。


「疲れたのか?」

 ほらとアーサーは腕を出した。

 違うんだよなぁ。まあ、この世界はエスコートは腕だからアーサーの行動はあってるんだけど。


「そうじゃなくてこっち」

 私はアーサーの大きな掌を握った。 

 アーサーの手は剣をいつも振っているからごつくて固い。

 多分何度も何度も豆を潰してこんなに固くなったんだろうな。


 アーサーは私の突然の行動に驚いた顔をして、その後プッと吹き出した。

「お前これじゃあ迷子の子供を連れてるみたいじゃないか」


 誰が迷子よ。引っ掻いてやろうかしら。


「やるならこうだろ」

 そう言ってアーサーは握手のように握っていた私の手を離して指と指を絡めた握り方をしてきた。


 これは!恋人握り!!


 カァっと顔が赤くなる。チラッとアーサーを見たらアーサーは横を向いていて顔が見えなかったけれど、バッチリ耳が赤くなっていた。

 何よ、やっぱりアーサーも恥ずかしいんじゃない。

 レナーテに見つかって冷やかされるのも嫌だし、そっと手を離そうとしたらギュッと強く握られた。


 アーサー?


「まあ、たまにはこんなエスコートもいいだろ」

 ポリポリと頬をかいて誤魔化してるけど、耳赤いままだからね。


 すれ違った老夫婦が、

「あらあら初々しい恋人同士ねぇ」

 と私たちを見て微笑んでいた。


「初々しいんですって」

 私がアーサーの耳元で言うと、

「普通引っかかるのは恋人同士の言葉の方だろ」

 と訂正された。

  

 そっか。

 私たち恋人同士に見えるんですって。

 今まで二人で歩いていてもそんな風に言われた事なんて一度もなかったのに。手を繋いだだけでそう見えるなんて不思議ね。


 しかしその後前を歩くレナーテに遅いわよーと叫ばれて、普通に腕を組んで歩くことにした。

 気がついたら歩くのが遅くなっていたみたい。

 変ね。




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