表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/109

前世でも知り合いデシタ

 それにしてもテクニックでメロメロかぁ。いいなぁ。

 今世では初キスもまだなんだから、前世がテクニシャンだったってことよね。

 私なんて前世は1人しか付き合ったことないのに。

 

「なに、その目?」 


「んー、レナーテは前世でもモテたみたいなのに、なんでレオにはまったのかなって思って」


 なんだ、そんな事とレナーテは前に来ていた髪をバサッと後ろにやってドヤ顔をした。


「自分で言うのもなんだけど、確かに前世でも私はモテたわ。今ほどじゃないけどそこそこ美人の部類だったのよ。告白だって何回もされたしね」


 おー、凄い。羨ましい。パチパチパチ。


「ふふ、まあね。・・・でもね、さっきも言った通り私言葉のチョイスが物凄く下手なのよ。悪気はないのにすぐ人を傷つけちゃって。それで何度も男にフラれたのよ」


 あれ、なんか雲行きが怪しくなってきたわ。


「酷い人なんて告白してOKしたその3時間後に振って来たわよ。なんか想像してた人と違うからゴメンって。何よ、想像って。どんな女を想像してたのよ。知らないわよそんなの。勝手に頭の中で私を美化しておいて話してみたら違っていたから振るって何なのよ。こっちだってそんなに好きじゃないけど、あんまり熱心に告白してくるからまぁいいかなってOKしたのに。なんで私が振られなきゃいけないのよ。なんでなのよー!」


 なんでなんでしょー!


「まあ、でもいいの。その男の事は。どの道私も大して好きじゃなかったし。一番ショックだったのは社会人になって初めて出来た彼氏よ。私のこのやっかいな性格も分かってくれて、一番長く続いていたわ。このままこの人と結婚出来たらいいなーなんて思っていた矢先よ。ある日ファミレスに呼び出されて突然別れて欲しいって言われて、なんでなのか理由を聞いたら、実は私の親友と出来てたのよ。親友が妊娠したから別れてくれって。私こんな性格だから女友達もものすごく少なくて、その親友は唯一私の小学校からの付き合いで、私の性格も分かってくれていて。本当に大好きで。大好きな二人を紹介したくて引き合わせたら、いつの間にかその二人がくっついてしまっていたのよ。私は一気に親友と彼氏を失ったのよ。分かる!?この気持ち」


 それは、切ないわ!

 親友さんも彼氏さんも酷い!!


「もうボロボロになって泣きながら一升瓶抱えてヤケ酒してて、もう人生嫌になったからどうにでもなれーって思って携帯で復讐だの転職だの自分探しの旅だの検索しまくってて、そんな中虹恋のアプリの宣伝が入ったのよ。やるつもりなかったんだけど、酔っ払ってたから手が滑っちゃってポチって押したら始まっちゃって、どうでもいいやーって適当に名前入れて始めたらレオン様が出てきて、優しく語りかけてくれたの」


 酔っ払いから始まった恋なのね。


「心が荒んでたから全部適当にボタン押してたのに、どれを押してもレオン様は優しく微笑んで『ありがとう、嬉しいよ』って言ってくれて。最初はバーカ、こんなの適当だよーって思ってたんだけど、段々レオン様の笑顔と優しい言葉に癒されていって、レオン様の攻略が終わる頃には元彼のことも親友のことも祝福は出来ないけど許せるくらいにはなっていたわ。レオン様はどん底だったあの頃の私を救って下さった救世主なの」


 そっか、ゲームをやっていた時はなんでこんな初心者用の攻略対象者を入れるんだろうって疑問だったけど、レナーテみたいに現実の恋に疲れた人にとってはレオンは救いの神だったのね。

 伊達にゲーム内人気No.1だった訳じゃないのね。


「だから私は私を救ってくださったお礼にレオン様に貢ぎまくったわ。レオン様にはキングの座が相応しいもの。キャラランキングだって1番になるように投票を買いまくったし、レオン様に似合う服が出れば購入し、レオン様に相応しい指輪が出れば課金したわ」


 あー、なんかデジャブ。


「それなのに、忘れもしないあの第3回人気キャラランキングであろうことかアーサー派に抜かされて、レオン様が2位に転落してしまったのよ」


 プルプルとレナーテが震える。

 あー、あったあった。そうそう、アーサーが初首位ゲットしたのよ。やー、あれはかなり課金したわ。


「それまでレオン様が首位独走していたのに、最終日にいきなりアーサー派の一人が重課金して票を買って抜いたのよ。未だに忘れもしないあの名前。弓桜って女よ!」

 

 ん?


 弓桜・・・?


 ダラダラと冷や汗が流れる。

 

「あら、どうしたの?顔色悪いわよ」

 レナーテが顔を覗き込んでくる。


 おずおずと私は手を挙げた。


「・・・弓桜です」


「はああああ?!」

 うわーん、ごめんなさいっ!


「本名佐倉由美(さくらゆみ)だったから、ひっくり返して弓桜ってキャラ名にしてたの」


 おほほほほ、世間て狭いわね。


「あんたが弓桜だったのねぇ~」

 恨み百倍とでも言いたげにレナーテがゆらりと立ち上がる。

 ひー、いつの間にかあんた呼びになってる!!


「落ち着いて、落ち着いて。ねっ、もう過去のことだから」


 メデューサみたいになってるわよ、あなた仮にも聖女でしょ!


「ふぅ、まあね。その分第4回の人気キャラランキングはレオン様の圧勝で終わったからまあ許してあげるわよ」


 あー、やっぱりレオン派の圧勝だったのかぁ、私その途中で死んじゃったもんなぁ。


「あなた死んじゃってたのね。だから途中で票入れるの止まったんだ。アーサー派がいきなり勢いなくしたから変だなと思っていたのよ」


「うん、なんで死んだのか分からないんだけどね」

「あなたがいなくなってからレオン様の圧勝で毎回終わるからどんどん人が辞めていっちゃってね。実は虹恋アプリも終了しちゃったのよ」


 えー、嘘ー。ショック。


「あなたがいた時は本当に憎たらしいって思ってたけど、今考えるとレオン様とアーサーの票が接戦していた時が一番燃えて楽しかったわ。あ、私秋穂(あきほ)って本名でやってたんだけど知らない?」

「知ってる!レオン派の筆頭だった人じゃない!」

「あら、アーサー派の筆頭に覚えていてもらえたなんて嬉しいわね」


 現実ではあくまでネットの向こう側の人だったのに、異世界で顔を突き合わせるなんてすごい偶然。


「偶然?これは偶然じゃないわ、きっと必然よ」


 必然? 何の?


「決まってるでしょ、私とレオン様のラブストーリーのよ!」


 あ、結局そこに落ち着くわけね。さすがブレないわね。




ブクマ&評価&感想ありがとうございます(*^_^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ