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レオのバッドエンド

「ちょっと待って、何で昨日今日会ったばかりのあなたに勝手に決められないといけないの?私とレオとアーサーは小さい頃からの付き合いなのよ。そんな簡単に答えを出せるものじゃないのよ!」

 ましてや引っ込んでろなんて全く関係のないあなたに言われる筋合いはないわ。

 私たち3人の絆はそんな薄っぺらなものじゃないんだから。

 ただ付き合いが長すぎてどこからが友情でどこからが恋愛なのか、色んな感情がごちゃ混ぜになりすぎて分からないだけなのよ。


「なによ、怒ってるの?」

 怒るに決まってるでしょ。


「怒らないでよ、悪かったわよ。私前世から言葉のチョイスがちょっと下手なのよ。悪気があって言ったんじゃないのよ。どちらかと言うとあなたへの贖罪の気持ちでレオン様とは関わるなって言っているのよ」


 ? 意味が分からないわ。


「ゲームと現実が違うのは分かるわ。でも、ゲームとこの世界がまるで無関係かというとそれも違うでしょう。少なくとも私はゲームの世界で起きたことそのものがこの世界で起きてるわ。私の予言が100%当たっているのがその証拠でしょ」

 まあ、登場人物とか全員一致してるしね。


「これからなぜ私がレオン様に関わるなって言ったのかちゃんと説明するわよ。それを聞いた上であなたも判断してちょうだい」

「分かったわ」

 なんでもドンと来いよ。


 でもその前に。

「ちょっとご飯にしません?お腹すいちゃって」

 ぐぅぅぅと丁度タイミングよくお腹が鳴った。


 イングラム侯爵家の侍女さんにお願いしてこちらに二人分の夕食を運んでもらった。

 レナーテとご飯を食べながら前世の日本の話をした。

 好きだった歌や見ていたドラマなどの話に花が咲いた。

 ご飯を食べてる間位は美味しい話題が良い。


 神馬も一緒にお夕飯を食べていたけれど、レナーテに付いてきた水の精霊さんは何も食さずお行儀よく端で立っていた。


「水の精霊さんはご飯は食べないの?」

 疑問に思ってレナーテに尋ねると、

「だって精霊でしょ、人間の食べ物なんて摂取する必要なんてないわよ」

 という返事が返ってきた。


 あれ、神馬は?


 今も美味しそうにパンを嘴でつついている。

 なんで食べてるの?

 私の疑問に口の周りをパンくずだらけにしながら神馬が答えた。


『別に食べる必要はないがな、食は人間が生み出した最高の娯楽だ。やらぬのは損であろう』

 娯楽。あ、そ。なんか神馬らしい答えをありがとう。

 今度お礼に私のお茶をご馳走してあげるわね。


 すっかり食べ終え食後のティータイムを楽しんでいると、

「さてと」

 とレナーテが話を切り出してきた。


「お腹も一杯になったことだし、極秘事項のレオン様の秘密をあなたに教えてあげるわ」

 

 ゴクリと喉が鳴る。

 

「ゲームのレオン様のみの攻略にバッドエンドが存在しないことは知っていた?」


「知らないわ」


 でもあのむやみやたらの好感度爆上げ状態だったら、ないのも頷ける。本当にどの選択肢を選んでもレオンは「嬉しいよ」という返事を返して好感度がぐんぐん上がっていくのだ。もちろんその中でもより一層喜ぶものと普通に喜ぶものと少しだけ喜ぶものと分かれてはいたのだけれど。


「最低ランクの選択肢を全部選んでも行き着くのはノーマルエンドだけなのよ」

 そうだったんだ。


「でもたった一つだけレオン様の好感度を下げる方法があるのよ」

 言われて気付いた。


「そうか、ハーレムエンドね!」

「そうよ。ハーレムエンドでレオン様と他の攻略対象どちらと過ごすかの選択肢の時他の人を選び続けると、レオン様の好感度がドンドン下がって行くのよ。最低値をたたき出したところで最後誰を選ぶかでレオン様を選択するとレオン様のバッドエンドに行き着くのよ」

「でもそれってただ単にクラウディアと虹の下で結婚式をするのを見るだけじゃないの?」

 レナーテがニヤッと笑った。


「レオン様だけ違ったのよ。スチル一瞬だけパッと出てすぐ消えて、後は赤くBAD ENDの文字だけになったんだけど」


 うんうん。


「虹恋の世界が崩壊してたわ」


 は?


「レオン様ファンの一人がその一瞬を素早くスクショして掲示板にアップしてくれたんだけど、荒廃した建物の中うつろな瞳で微笑をたたえて一人気高く立ち尽くすレオン様の姿があったのよ」

 

 ええ~。何よそれ。


「私たちレオン様ファンは、そのスチルを愛する人の心が手に入らないならば、こんな世界などなくなってしまえというレオン様の意思だと読み取ったわ。これで私があなたに引っ込んでなさいって言った意味が分かるでしょう。あなたにレオン様とアーサーとどっちが良いか分からないなんて中途半端な気持ちでいられたら、行き着く先はこの世界の破滅なのよ。レオン様の愛はとても深いのよ、我々常人には図れないほどにね。その愛を受け止めるにはレオン様と同じだけレオン様を愛することが出来る人物じゃないと駄目なのよ。あなたにそれが出来る?出来ないでしょ?その点私なら他によそ見をすることもなくレオン様だけを生涯愛し続けることが出来るわ」

 レオン様の愛こそ至高の愛!と叫んでレナーテはうっとりする。


 やばいわ、生徒会長といいレナーテといいレオを好きになる人はどこか頭のネジが飛んでる気がするわ。

 レオ気の毒に。


 レオには変態を引きつけるオーラがあるのかも知れないわね。

 それともレオを好きになるから変態になっていくのかしら。


 レオ変態製造機?

 レオが聞いたら激怒しそうな事を考えていたら、レナーテに現実に戻された。


「どうせあなたとの婚約申し込みも政略的な意味が強いんでしょう?だったら私の方がより良いじゃない。私としてもいつ聖女をやめたら良いか悩んでいたし、丁度良かったわ。災厄を封じ込めたらすぐにレオン様と私の結婚式が出来るように取り計らっておきましょう」

 

 人の気持ちを確認せずに突っ走るところがこの兄妹良く似ている。

 でもちょっと待って。


「聖女様ってそもそも結婚出来るの?」

「出来るでしょ、聖職者な訳じゃないもの。ゲームは災厄を封じ込めるところで終わっちゃうからそれ以降予言なんて出来ないし、いつ辞めようかってずっと考えていたのよ。最悪災厄を封じ込めた時に全ての魔力を使い果たした事にしちゃえば良いかと思っていたのだけど、世界を平和にした後で結婚して純潔を失ったから聖女じゃなくなったっていう結末もアリよね。レオン様との結婚なら更にカーラ帝国に平和をもたらした事にもなるし。一石二鳥」


 ん?ということは、


「レナーテ、あなたその分だと初キスもまだでしょう?」

「なっ!」

 レナーテが真っ赤になる。


「しょうがないでしょう、私王女で聖女なのよ。ホイホイ男と遊べる立場じゃないのよ」

 うんうん、分かるわ。大丈夫。

 ナカーマ。


「何よっ、そんな生暖かい目で私を見ないでよ。私の初めての全てはレオン様の為に取っておいたのよ。見てなさい晴れてレオン様と恋人同士になった暁にはあれもこれもしてやるんだから。私のテクニックでレオン様もメロメロよ!」


 あ、ヤバい。変態が痴女にバージョンアップしちゃった。レオごめーん。



ブクマ&評価&感想ありがとうございます(^_^)


やっとなぜレオがチョロ男だったのか。そのチョロ男のバッドエンドは何なのかが出せました。

長かったです。。。

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