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聖女と対面

 情報を少しでも手に入れた方が良いと判断して、皇太子殿下に話しかけた。

「聖女様はいつもこういった予言をされているのでしょうか?」


「いつもという訳ではない。国を左右する大きな出来事のみ神から声を聞いている」

「どうやって神の声を聞いているのですか?」

「レナーテが言うには頭の中に声が聞こえるとのことだ」


 ふむふむ。


「予言は絶対に当たるのですか?」

「初めにレナーテが予言したのは今から10年以上前だった。それから度々予言しているが、一度たりとも外れたことはないな」


 凄いわ、的中率100%なんて。

 前世で聖女様と出会えてたら、テストの山当てして貰えたのに。


「ちなみに、私の事を聖女様はなんて予言したんでしょう?」

「そちのことを予言したわけではない。余の事を予言していたのだ。昔からレナーテは余には運命の女性がいると言っていた。そしてその女性以外伴侶にしてはいけないと。神が定めた運命を捻じ曲げるとこの国が崩壊すると予言していた」


 え、私がお嫁さんにならないとこの国が崩壊しちゃうの?何でよ!?

 

 これで皇太子殿下に婚約者がいなかった理由が分かったけれど、内容がヘビー過ぎて正直責任が持てない。

 だって私今のところクリストフ皇太子殿下と結婚する意思なんてないもの。

 そりゃお母様から誰か良い人がいたらゲットしていらっしゃいって言われたけれど、探す間もなく皇太子殿下が出てきちゃったし、なんだかそれどころじゃなくなって来ちゃってるし。


 お母様、私が悪いんじゃありませんからね!

 不可抗力です。不可抗力!


 皇太子殿下と共に宮殿の長い渡り廊下を歩き終え、他とは色彩の違う塔に来た。

 宮殿はカーラ帝国らしく全体的に極彩色だったけれど、ここは白一色で統一されていた。

 そして1つの白い材木で出来た繊細な彫模様の入ったドアの前で皇太子殿下は立ち止まり、ノックをした。

 まず侍女が現れ、皇太子殿下と私を見ると部屋の中へ通してくれた。


「レナーテ、希望通りインディア国のクラウディア嬢を案内してきたぞ」

 クリストフ殿下が叫ぶと、奥のドアが開いて背の高い女性が現れた。


 白いベールを被った神秘的な少女だった。

 祖先の加護精霊がアナベルと同じ属性だったのか、水色の髪に水色の瞳の美少女だった。似た色彩だけれども、アナベルより聖女様の方がより水色を濃く感じた。


 そういえば精霊で思い出したけれど、最近神馬が戻ってこない。

 こちらに着いてすぐに知り合いに会ってくると窓から飛び出して行ったっきりだ。

 神馬がいれば虫かなんかに化けて貰って皇宮の偵察に行ってもらえたのに。

 

 そんなことを言おうものなら、精霊の扱いを間違えておるぞ!って怒られそうだけど、使えるものは精霊でも使えってね。


 何せ前世はブラック企業のOLしてましたから。

 無料で働いた残業代払えー!それがあれば課金ももっと出来たのにぃ。悔しい。


 前世でやっていた虹恋のキャラ人気ランキングは結局誰が1位だったんだろう。私が生きていた頃はアーサー派は僅差でレオン派に負けてたから、やっぱりレオンかな。

 単純にファンの数だけならぶっち切りでレオンが1番で、次いでアーサーが2番だったんだけど、レオンファンは課金の出来ない未成年者が多くて、アーサーファンは課金バリバリのお姉さま方が多かった。

 だからキャラランキングをすると人数差が大きい割に中々良い勝負をしていたのだけれど。


 私が死んじゃったから、あの時のランキングはきっとレオン派に大差で負けたわよね。自慢じゃないけど私廃課金者でアーサー派のトップだったから。


 思わず流れで過去の記憶に浸っていたら、涼しげな声が耳に飛び込んできた。


「ありがとう、お兄様。クラウディア様と私の二人だけにして頂けるかしら」

 可愛らしくおねだりしているが、そこには聞いてもらえないはずがないと言う確証が含まれている。

 聖女様の方が立場は上というのは本当らしい。


「クラウディア嬢に付いてきた護衛がうるさいのでな。1時間で切り上げてくれ」

「ええ、分かったわ」

 レナーテが同意するとクリストフは侍女と共に部屋から出て行った。


 えーと、情報を引き出すんだったわよね。


 もしかして聖女様に会わせてもらえず、いきなり牢屋にいれられたりしたらどうしようと、失礼ながら思っていたのだけれど、どうやら杞憂だったみたいで良かった。


 聖女様と目が合うと、にっこり微笑まれ聖女様自ら紅茶を入れてくれた。

「どうぞお好きな場所にお座りくださいな」

 そう言われて部屋を見回すと、豪華で立派な一人掛け椅子にあとは3人位並んで座れる長椅子があった。


 あっちの立派な椅子は聖女様用よね?上座だし。

 そう判断した私は長椅子の端っこにちょこんと座った。


 するとお茶を持ってきた聖女様が驚いた顔で私を見ていた。


「あの、どうしてそちらにお座りに?」


「え、どこでも良いと仰られたのでここに座ったのですが、いけなかったでしょうか?」

 慌てて腰を浮かして長椅子の真中に移動した。


「いえ、そうではなくて」

 え、まだ違うの?じゃあこっち?

 更に横に移動した。

 聖女様はぽかんと私を見ていたが、

「あ、ではそこで良いです」

 と答えた。


 長椅子にも座る位置があったなんて知らなかったわ。そうか、奥に行かないと後から来た人が座れないから普通は奥に座るわよね。

 1対1だからどこでも良いかと思っちゃったわ。失敗失敗。


 聖女様は当然のように一人掛けの椅子に座った。


 さて、やっと聖女様とご対面出来たわ。一体何からお聞きしようかしら。





読んでいただきましてありがとうございます(*´ω`*)

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