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夏のバカンスがばれちゃった。

「ディア、おはよう」

 翌朝馬車乗り場から降りるとレオとアーサーがいた。


「おはよう、二人とも早いのね」

 

「ディアと会える時間は貴重だからね。待っていたんだよ」


 レオより身長の低い私に目線を向けると自然とレオの長い睫毛が瞳に影を付けて目元から色気が立ちのぼる。

 凄いわ、目線一つで村1つくらい滅ぼせそう。

 1ミリの狂いもない繊細な美貌ってレオの事を言うのね。 

 改めてレオの美貌に感心していると、


「この間言っていた街でデートするって話なんだけど」

 とレオは話を続けてきた。

 三人で街に遊びに行くだけなのに、レオはあくまでデートだと言い張っている。


「もうすぐ学園が長期休暇に入るから、その時にでもどうかなと思って」

「そうかそう言えばもうすぐね。でも・・・」

 私が説明する前にアーサーが止めた。

「待て、その前にお前の頭にくっついているこの鳥はなんだ?」


 神馬(ユニコーン)です。とは言えないから誤魔化す。


「ペットよ。最近飼い始めたの」


「ペットは学園持ち込み禁止だろう。というか、この鳥お前の頭の上で口開けて大の字で寝てるぞ。珍しいな、鳥は立って寝るとばかり思っていた」


 アーサーがまじまじと私の上の神馬(小鳥)を見る。

 バカ神馬~。いくらなんでも気を抜き過ぎよっ。

 自分の頭の上で寝ている神馬(小鳥)をむんずと掴んで鞄に放り込む。


「ギャッ」

 っと文句を言われたが無視!


「大丈夫よ、教室入ったらちゃんと外に放すわ。賢い子だから私が授業終わるまで近くの木にでも止まって待ってるわよ」

 神馬が迷子になることはさすがにないでしょう。


「それでディア、長期休暇の話なんだけど」

 レオが話を戻してくる。

 そうだった、そうだった。


「長期休暇は多分私最初と最後くらいしか予定が空いていないと思うわ」

「どこかに行くのか?」

 神馬を掴んだせいで立ってしまった私の髪を長い指で絡ませながらアーサーが尋ねてくる。


「カーラ帝国よ。お母様と一緒に休暇の間避暑に行くことにしたの」

 私がそう答えるとレオの瞳の奥がキラッと光って鋭くなった。


「カーラ帝国とうちでは大して暑さが変わらないでしょう。ディアたちはカーラ帝国のどこに行く気なのかな?」


 鋭い。


「あー、帝都・・・かな」

 レオの瞳が見れなくて視線を逸らしてしまう。


「なるほど」

 レオの一段低い声が聞こえてきた。


 バレた?


「エストラル侯爵夫人に謝罪に行った際随分と簡単に許されたと不思議に思っていたものですが、実は許されていなかったという事ですね。夫人の怒りを甘くみていたな」

 え、お母様に謝罪に行ってたの?いつの間に?そしてなぜ?


「行くのはディアと侯爵夫人だけ?」

「え、ええ、お父様はお仕事があるもの」

「そう、分かった。ちなみに聞くけどディアはカーラ帝国に行くことは乗り気なの?」

「え、まぁ一度は行ってみたいかなって思っていた国ではあるけれど」

 でもたぶんレオの言っている意味ってそういうことじゃないわよね。


「さっきから何の話をしているんだ?二人して。ディアがカーラ帝国に行くことになにか不都合でもあるのか?」

 うん、私アーサーのそういう鈍感な部分好きよ。


「アーサー、君もディアが好きならば少しは頭を使ったらどうだい?君ならどう思う?夏の夜会にいきなりディアみたいな少女が他国から現れたとしたら。カーラ帝国の男はディアを見て何を考えると思う?」


 レオに言われてアーサーが目を見開き息を飲んで私を見る。

 え、なに?どういうこと?

 アーサーがガシッと私の両肩を掴んできた。


「クラウディア、嘘でも良いから俺と婚約してからカーラ帝国に行け」

 いきなりなんなの!?


「婚約者がいると言えばむやみに手を出して来る男もいないだろう。保険に俺を使え。もちろんそのまま本当に婚約しても構わないけどな。俺の嫁になれよ、ディア」

 だから耳元囁き攻撃は止めて!腰が砕けるから。

 

 囁いた瞬間片手で私の腰を支えてくるってことは、私がアーサーの声に弱いって分かってやってるでしょ、もうっ。

 しかも離れる際に耳にキスしていったわね。

 鏡で見なくとも自分の顔が赤くなっているのが分かる。


 なんだか最近アーサーの攻撃が激しくてうまく対処ができない。

 抗議しようと思ってもそれ以上にアーサーの色気にやられてしまって口から文句が出てこない。

 ゲームでも恋人同士になるとアーサーは甘かったけれど、現実はそれ以上に甘くて頭がショートしてしまいそうだ。


 こんな時はレオがいつも割って入って冷静に戻してくれるのに、今日は考え込んだままアーサーに文句も言ってこない。


 なんだか不気味。


 私がそう思っていると、丁度レオは考え込んでいた頭を上げた。

「今日は私は予定があるので、王宮に戻るとするよ」

「え、もう?」

 学園に来たばかりなのに?

「うん、ディアの顔も見れたことだしね。じゃあまたね」

 レオは私に微笑みかけると、ついでに私の頭の上に置いてあったアーサーの手を叩き落とし、私の頭にキスをして去って行った。


「レオ今忙しいの?」

 私がアーサーに尋ねると、アーサーは首を傾げた。


「いや、俺は何も聞いてないけどな」 

ブックマーク登録&評価をして下さった皆様ありがとうございます(*^_^*)


誤字連絡&感想を下さった皆様ありがとうございます。(*^_^*)


下の勝手にランキングを押して下さっている皆様ありがとうございます(*^_^*)


本当に皆様の温かなご支援でこうして書けております。ありがとうございます<m(__)m>

8月ももう終盤ですね。夏休みと言えば思い出す。夏休みの宿題。

自由研究のネタ探しに苦労した思い出。笑

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