ユニコーンと会話
「分かるの!?」
私が転生者だって。
『魂の色が他の者と違うからの。我の力はこの世界にしか及ばぬ。我が自身にかけた幻術が効かぬということは、そなたがこの世界から外れた人間だからであろう』
はぁ、なんかどうもスミマセン。
それにしてもなぜ学園の馬小屋に神馬がいるのか。
神馬のくせにやたらとここに馴染んでいるし。さっきも餌貰って喜んでたし。
「もしかしていつもここで老馬のフリしているの?」
気づく資格のある人間が現れるまで?
『まさか、気が向いた時にこうして地上に降りているだけよ。我の力を使えば人の意識などいかようにも操作出来るのでな。今回降り立ったのはかれこれ700年ぶりかの』
うわぁ、長生き。
年齢から考えたら老馬の姿の方が正しそう。
『今何か失礼なことを考えなかったかの?』
ギクッ!
「いいえ、何も。じゃあ今回私が出会えたのはすごい偶然だったのねぇ」
慌てて話題を変える。
『そうとも言えぬの。多分我はそなたと出会う為に今回地上に降り立ったのだろうよ』
ほえ?
なんで私?
『それが世界の理というものだからの。物事は全て必然から成り立っておる。なればこそ今そなたと出会うたことが運命であろうよ』
うーん、何言ってるのかさっぱり分かりません!
とりあえず出会ったのは運命ってことでOK?
前世の世界では袖振り合うも多生の縁っていうものね。
異世界人の私が神馬と知り合ったのも何かのご縁があるってことよね。
何の縁なのかは分からないけれど。
「あの、クラウディア様はどちらの馬に乗られるかお決めになりましたか?」
クラスメートの一人が私に聞いてきた。
神馬と話していたせいで他の馬を見ていなかった。
私が1番に決めないと他の生徒が遠慮して決められないのに、私ったら。
「ごめんなさい、いますぐ決めるわね」
そう言って歩き出そうとした私の制服を神馬が噛んだ。
「・・・」
ていっと手で振り払うがまた噛まれる。
ていっ、ガブ。ていっ、ガブ。
ムカ。
ていっ、ていっ、ていっ、ていっ、ていっ、ていっ、ていっ!ぜーはー。
「・・・これにします」
根負けして神馬を選んだ。
周囲は私と馬の攻防に若干引いていた。
「あ、はい。じゃあクラウディア様はそちらの馬?で」
馬の部分で疑問符をもたれるって皆の目には一体どんな姿に見えているのやら。
ふんふんふーん♪と勝ち誇って鼻面を上げている神馬を見上げる。
「なんで私なのよ。神馬に乗るのはヒロインでしょうが」
『我の姿が見えぬものに我は乗れぬ。また我が見えているにも関わらず他の馬を選ぼうとするのは何事かの』
だって私ヒロインじゃないし。ライバル令嬢だし。
見えちゃったのもたまたま私が転生者だったっていうだけだし。
私に神馬に乗る資格はないと思うんだけどなぁ。
でもまぁ乗れというなら乗りますけどね。
ちょっとヒロイン気分が味わえちゃうし。新しい乗馬服も引っ張り出しちゃおうっと。
んふふふふと鼻歌を歌いながら私は教室に戻った。
後日クラウディア様は他の生徒の為に自ら貧馬を選んだ聖女のようにお優しいお方だという謎な噂と、いや実はクラウディア様は馬の趣味が悪いから男の趣味も悪いのかも知れないという甚だ不名誉な噂が一緒に広まった。
馬の趣味が悪いはまだ許せるけど、なぜそこから男の趣味が悪いに繋がるのよ。
おかげでレオから、
「クラウディア、ゲテモノ好きって噂を聞いたんだけど本当かい?」
って変な心配までされちゃったわよ。
なんで私がゲテモノ好きなのよ。私は馬の趣味も男の趣味も一流よ!(自称)
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神馬の回は1部を書いていた時から構想してたので、今回書けて嬉しいです。^^