表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/109

ユニコーン発見

 魔術学科に入ったはいいもののやはり自分の魔力の流れを感じるのに日々苦労していた。

 アナベルも政治経済学科を辞めて現在フリーだったので、魔術学科に誘ってみたのだけれど、


「魔術学科では将来食べていけないので遠慮しておきます」


 とすげなく断られた。

 アナベルならヒロインだからそこそこの魔力量を持っているはずなのに、本当にこの世界の人間はもったいないことをしている。


 でも私は魔女っ娘ディアになることを諦めたりしないわ!

 無事魔女っ娘になれた暁には先がクルクル回るステッキなんかも欲しいわね。(魔術とは全く関係ないが、お約束アイテムだから)

 今度レオとアーサーと街に行く約束をしたから、作ってくれそうな鍛冶屋さんを見繕っておくのも悪くないかも知れないわ。

 

 魔女っ娘ディアに夢を膨らませていると、本科の授業の始まりの鐘が鳴った。

 先生は壇上に上がるといつもならすぐに授業が始まるのに、今日は教科書を開かずに語りだした。


「えー、皆さん本日は本科の授業の前に皆さんも楽しみにしていると思われますが、来週行われる遠乗りで乗る馬をこれから選んで来たいと思います」

 生徒達から喜びの声が上がる。

 あら、そうだったわ。来週遠乗りがあるんだったわ。

 授業に遠乗りがあることがさすが貴族の学園ならではといった感じだ。

 

 座学よりも遠乗りの方が良いのか皆嬉しそうに馬小屋に移動して行く。

 私もリリと一緒に移動しながら、ふとこれってもしかして虹恋のイベントじゃなかったかしら?と思い出した。

 

 虹恋の学園でも確か遠乗りがあった。

 学園内では生徒は平等と口では言いつつも、暗黙の了解で身分の高い生徒から馬を選んでいく。

 男爵家の令嬢であるヒロインは最後の方になってしまうが、皆の目には薄汚くやつれた老馬にしか見えない馬がヒロインには光り輝いた駿馬に見えるのだ。

 なぜ皆この馬を選ばないのか不思議に思いながらヒロインはその馬を選ぶのだが、実はその馬は神馬(ユニコーン)なのだった。

 他の生徒が地面を駆ける中、神馬に乗ったヒロインは空を駆け飛んでいく。

 青空を視界一杯にして風に乗って飛んで行く映像はとても綺麗だった。

 またあの景色が良かったのよねぇ。青空の下に広がる花畑。そこに降りたって乗せてくれたお礼にユニコーンの角に花冠を作って掛けるヒロイン。

 まさしく乙女の世界よねぇ。


 特定の人間にしか姿を現さない神馬っていうのも素敵だわ。

 これはアナベルの傍に居てじっくり神馬を観察させてもらわなきゃ。

 まぁ、私の目には老馬にしか見えないんだろうけど。


 馬小屋に着くと立派な馬たちが一斉に並んでいた。

 白馬に栗毛に鹿毛(かげ)。どれも引き締まって良い体をしている。さすがエリクセル学園。


 皆顔を輝かせながら馬を一頭一頭見分している。

 リリもアナベルも同様だ。


 皆が先に進む中、私はどうしても入り口にいる一頭の馬が気になって仕方がなかった。

 

「・・・」

 その馬は素知らぬ顔でむしゃむしゃと飼葉を食んでいた。


「ねぇ」

 思わず私は馬に声を掛けてしまった。


「なんで最初からその姿なの?」

 私が話しかけた馬は頭に角を生やしていた。

 

 神馬(ユニコーン)だ。


 それにしてもおかしい。普通はヒロインが乗った後正体を現して空に駆けるはずなのに、なぜ最初から馬小屋で神馬(ユニコーン)丸出しで餌を食べているのか。そしてなぜ皆は神馬をスルーするのか。


 え、もしかしてこの馬偽物?

 この角もコスプレ?


 ツンツンと角をつつくと馬と目が合った。


『ほう、(ワレ)の姿が見えるかの』

 喋った!?


 私は辺りを見回して皆の反応を伺うが、誰も驚いている者はいない。


『何を驚いておる?そなたは我の真の姿が見えているのであろう?』

 やっぱりこの馬が喋っているの?

 腹話術じゃなくて?


 馬の横や後ろを覗くが人影は見えない。

 私を騙す盛大なドッキリとかじゃないわよね。

 上下左右くまなく見回すが怪しい所は何もない。


 じゃあ、本当にこれが神馬?

 え、なんで私に見えちゃってるの?本来これを見るのはヒロイン(アナベル)のはずでしょう?


 丁度良い所でアナベルが折り返してきたので、聞いてみた。


「アナベル、この馬どう思う?」

 神馬を指差して聞くと、アナベルはちょっと眉を寄せた。


「うーんそうですねぇ、この学園になぜいるのか不思議な位みすぼらしく見えますけど。クラウディア様まさかその馬になさるんですか?」

 アナベルには神馬に見えないの!?

 ヒロインなのに?

 何故?

 もしかして私に見えちゃったせい?

 呆然としているとアナベルはまた他の馬を見に行ってしまった。


「なんで私に見えちゃったの?」

 誰にいう訳でもなく呟くと、神馬が答えた。


『そなたの魂がこの世界の者ではないからだろうの』  

ブックマーク登録&評価をして下さった皆様ありがとうございます(*^_^*)


誤字連絡&感想を下さった皆様ありがとうございます(*^_^*)


下の勝手にランキングを押して下さっている皆様ありがとうございます(*^_^*)


8月も半ば過ぎましたね。まだまだ暑い日が続きますがお体にお気を付けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ