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攻略対象魔術師長

 私がなぜ魔術学科に入ることになったのか、それはアナベルが経済学科に入り浸るようになってから周囲がやたらと私に質問してくるようになったのがきっかけだった。

 すなわち、

「王太子殿下に近寄っている女子生徒がいますが、宜しいのですか?」

 というアレだ。


 私は笑顔でその言葉を受け止めながら内心で罵倒していた。

 だからなんでそれを私に聞いてくるの!?私はあの二人の恋愛に一切無関係なのよ!!

 しかしそんなことおくびにも出さず私はにっこりとほほ笑んで返していた。


「彼女は政治経済学科に入る為にお勉強をしているのですよ。皆さんもぜひ応援してあげてくださいね」

 私がそういうと大抵の生徒は、

「クラウディア様ってお心が広いんですね」

 と勝手に感心してきていた。酷い人になると、


「公認の愛人なんですか?」

 と全く訳の分からない返答を返して来るので、あの時はかなり精神的に疲れていた。


 ああ、人のいない場所に行きたい・・・。


 私に直接言って来なくても周囲の人間の問う視線が全身に突き刺さって来て痛い。

 目を合わせると質問されそうで、あの時は自然と俯いて早足で歩くようになってしまっていた。


 そしてあの日いつものように俯いて早歩きで歩いていたせいで曲がる角を間違えて、私は見たこともない校舎に迷い込んでしまった。


 困ったわ、ここはどこかしら?

 辺りを見回していたら、奥の部屋にプレートが掛かっているのが見えた。


 人がいるかもしれない。


 近寄っていくと、プレートには魔術学科と書かれてあった。


 あら、魔術学科ってこんな隅っこにあったのね。

 いつかは行ってみたいと思っていたから丁度良かったわ。

 今日はここを見学しましょ。


 軽くノックをすると、中から凄い勢いでドアが開けられ黒ローブの人間が飛び出してきた。


「はい!いらっしゃい、入科希望の方!?」

「え、あの」

「なんだ、違うのか。新入生?迷子になったんなら、この先を真っ直ぐ行って3番目の通路を右に曲がれば1年生の校舎に戻れるよ」

 それだけ言うと黒ローブの生徒は部屋に戻ろうとする。

「あ、いえ。見学です」

 私がそう言うと、部屋に戻りかけていた体がすごい勢いで戻ってきた。

「本当に!?やったー!せんせー新入生一人ゲットしたよー!」

 いえ、ただの見学です。という私の言葉は大喜びしている先輩には聞こえていない。

 手首をガッチリ掴まれて部屋の中に引きずりこまれる。


 見学早まっちゃったかしら~。


 さあさあさあと部屋に置いてある簡易椅子に案内される。


 部屋は思った以上に狭く何もなかった。

 え、ここ魔術学科よね?なんでこんなに狭いのかしら。

 人数も少ない上に全員が黒ローブを被っているので怪しさ満載だ。


 奥のドアが開いて先生と呼ばれた人物が現れた。


 攻略対象者の魔術師長ギル=ドレイク(28歳)だ。

 ラベンダー色の長髪に女性と見間違われる美貌。

 中性的魅力の持ち主である。


「せんせー、新入生一人入ったよー」

 私を連れてきた生徒が手をひらひらと振る。

 ギル先生はそれに気が付いてこちらにやって来た。

 そして私と先輩を見て一つため息をついた。


「エリオット君、君また生徒を無理やり勧誘してきたんだね。そういうことをしてはいけないと言っているだろう」


「えー、そんなことしてないよぉ」


「嘘おっしゃい。この彼女が魔術学科なんかに入るわけがないじゃないですか。もしかしてエリオット君は彼女を知らないんですか?」


「えー、知らない。君、誰?」

 エリオットと呼ばれた生徒が私の方にクリンと首を回して尋ねてくる。


 え、それ私に直接聞いちゃうんですか?

 

「クラウディア=エストラルです。お見知りおきを」

 立ち上がってカーテシーを決めるが、なにやら変な感じだ。


「クラウディア=エストラル・・・エストラル、エストラル。なーんかどっかで聞いたことあるような?ないような?」

 ハテナ?と首を傾げて悩むエリオット。

 ギル先生が頭を抱えて首を振った。


「我が国筆頭の侯爵家ですよ。エリオット君、君学校の成績もダメだけれど貴族としての基礎知識もダメなのはさすがにまずいんじゃないのかい?」


「ああ、どうりでどっかで聞いたことあるようなないような感じだと思った。だいじょぶだいじょぶこれでもう覚えた」

 アッハハーと屈託なく笑うエリオット。


「すみませんでしたね、エストラル侯爵令嬢。エリオット君に無理やり連れて来られたのでしょう?どうぞもうお帰りになってくださって結構ですよ」


「あ、いえ。私が自ら見学に参りました」

 私がそう答えると、ギル先生は笑顔で固まった後「えええええー!」と驚愕の声を上げた。

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