表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/109

王子side ~レオンの独り言3~

 今日はディアの入学式だ。ずっと一緒に学園に通えることを楽しみにしていた。

 もっとディアと一緒にいる時間を増やそう。

 そうすればディアも私の気持ちを信じてくれるだろう。


 外堀はほぼ完成した。

 後はディアが私のプロポーズに「はい」と言ってくれれば完成なのに、それだけはなにがあっても言ってくれない。

 どんなに愛していると言ってもどんなに結婚してくれと言ってもいつもディアは


「レオには私じゃなくていつか運命の人が現れるはずだから」

 と言ってきかない。


 運命の人?そんなものディアに出会ったときからディアが私の運命の人だと決めていた。

 他の女の子なんていらないよ。


 私にはディアだけいれば良い。


 出会ってから何度も繰り返されるやりとりに私も色々考えた。


 ディアは私のことが本当は嫌いだけれど王子である私に遠慮してハッキリ断れないでいる?

 しかしすぐにその考えは頭から打ち消した。

 

 ディアは上手く隠しているつもりだが、すぐ感情が顔に出る。私のことを心底嫌っているならばあんな天真爛漫な笑顔を向けてこないだろう。

 そもそも王子である私に出会ってすぐにビンタしてきたディアにそんな配慮など初めから欠片もない。


 だとしたらなんだ?ディアが私を焦らすためにわざと返事を伸ばしている?

 私はすぐに頭を振った。

 ディアはそんな小悪魔タイプではない。そんな器用な真似が出来るならもっとあの容姿を前面に武器にするだろう。

 少なくとも私やアーサーの前で大口開けて肉包を食べるような真似はしないだろう。


 ディアが私に友情しか感じてないのは事実だろう。その先に進みたいのに、彼女はどうしてもその先を進ませてくれようとしない。

 理由がどうしても分からない。


 他に好きな男でもいるのか調べさせてみたがそんな様子もない。

 アーサーにはそれなりに好意を寄せているようだが、恋愛感情よりもっと浮ついた感じのように見える。例えるならばまるで好きな役者を見るような感じだ。

 アーサーもそれは認めていた。

 

 あいつは俺に恋愛感情を抱いているわけじゃねぇよ、と。


 ではなぜだ?

 王太子妃になることが重荷なのかと思ったこともあったが、教師陣や王妃(母上)に聞いても別に嫌々習っている様子はないというし、むしろ飲み込みが早くて素晴らしいとの折り紙つきだ。

 もし王太子妃になるのが不安だから嫌だと言うのであれば、別に私が国王にならずとも弟がいるのだから王位など譲っても良い。

 しかしそんな様子でもない。


 分からない、本当に分からない。

 なぜディアはああも頑なに私を拒む?

 褒めれば喜んでくれるし迫れば顔を赤くしてくれる。脈がないわけじゃないことは分かるのに、絶対に最後は私を拒否するのだ。


 恋愛のスタート地点にさえ立たせてもらえないのでは攻めようがない。

 私が学園に入学してからは学校と王太子業務とを兼任していた為余りディアと過ごす時間が取れなかった。


 だがディアが同じ学園に入って同じ専科になれば放課後一緒に過ごせる時間が増える。

 

 だからずっと今日という日を待っていた。


 今日は記念すべきディアの初登校日だ。その思い出深い朝をディアと共に歩こう。

 なんならエストラル侯爵家に馬車を回そうか。

 そうだ、それがいい。

 周囲への牽制にもなるし、その分馬車の中でディアと多く過ごせる。

 

 実に楽しみだ。

 

 私は前菜を食べ終えスープに移ろうとスプーンを持ち上げた。

 そこに侍従が飛び込んできた。


「王太子殿下、スープをお召し上がりになってはなりません。先ほど殿下のスープを毒見した者が倒れました!」

 毒か。

 私はスプーンを置いた。


「お召し上がりになりましたか!?」

「いや、まだだ。毒が入っていたのは私のだけか?国王(父上)王妃(母上)弟王子(ハインツ)は無事か?」

「は、一応下げてはおりますが、他の王族方の食事の毒見役が倒れたとの報告は来ておりません」


「そうか、ならいい」

 犯人なら分かり切っている。

 私だけを狙ったのもその証拠だ。


 私の名の元でクーデターの残党と疑わしき奴らの家を、重箱の隅をつつくような理由で大なり小なり散々苦しめてやったから、私に恨みを抱いているのだろう。

 分散していた奴らの標的が私一人に絞られたのはかえって好都合だ。


 しかしこれで今日のディアとの初登校がナシになってしまった。

 毒を盛った人間の特定と入手ルートを調べさせないといけない。


 よくも楽しみにしていたこの日を邪魔してくれたな。


 今後ディアとのイベントを邪魔されることのないように完全に殲滅してやる!! 

本当はその後編を先にしようと思っていたのですが、レオがなんでああしたのか意味分からんというお言葉があまりにも多かったので、レオサイドを先に乗せることにしました。(*^_^*)


すみません。私の頭だけで勝手に完結させてしまっては読んでいる方は分かりませんよね。申し訳ありません。<m(__)m>


問1

何故レオは今頃残党の殲滅をしたのですか?



楽しみにしていたディアとの初登校を邪魔されて頭にきたからです。

今後もこんな事があるのは許せん!という実に恋する青年らしい我儘な理由です。〔ちょっと可愛らしく言ってみました〕

まさか残党どももそんなくだらない理由で殲滅を決められたとは思いもよらないでしょう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ