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誘拐

 土曜日など永遠に来ないで欲しいと思う時程時は早く流れているように感じる。

 

 あれからリリは、顔を見ると(なじ)ってしまいそうだからとアナベルから距離を取った。

 そんなリリを放っておけなくて傍にいたら、私も自然とアナベルから距離を取ることになった。


 でも遠目から見ても特に変化はない。

 朝はいつもの通りレオとラブラブで来るし、放課後もレオがアナベルを迎えに来て一緒に政治経済学科に行っている。


 ちなみに私は最近ずっとレオやアーサーと話していない。たまにすれ違う時に他の生徒同様挨拶する位だ。

 もうお互いレオともディアとも呼び合っていない。

 私達は完全に関係が切れたのだ。


 寂しくないと言えば嘘になるが、これも仕方のないことだ。


 とにかく今はリリのことを第一に考えよう。



 そしてついに来てしまった因縁の土曜日。


 私は朝から学園の寮の入り口が見える場所に潜んで、アナベルが出てくるのを待った。

 その近くには一応馬車を待たせているが、アナベル自身は寮住まいで馬車を持っていないので多分待ち合わせ場所までは徒歩で行くだろうと踏んだ。


 しばらく待っているとアナベルが寮から出て来た。

 

 来たわね。


 そのまま見ていると予想通りアナベルは徒歩で移動しだした。

 私は手で馬車に館に戻って良いと合図して、アナベルの後を付けた。


 アナベルは迷いのない足取りで進んでいった。

 貴族達の集まる1流店街を抜けて庶民達のお店が集うエリアも抜ける。


 アナベルさんたら一体どこに行くつもりなのかしら?


 だんだんと治安の良くない場所に向かって歩いている気がする。


 もしかして迷子になったのかしら?


 私が疑問に思ったのと同時にアナベルも足を止めて周りをキョロキョロし始めた。


 やっぱり迷子になったのね。


 アナベルは地方から出て来たからまだ王都の道に慣れていない。

 きっと曲がる道を間違えたのだ。


 どうしよう、助けてあげたいけどここで出て行ったら尾行していたのがバレてしまう。


 迷っていると、アナベルは特にその道は選んじゃダメでしょう!と突っ込みたい位の暗い道に進んでいった。


 私も急いで追いかける。


 でも追いかけている最中になんかこの景色見たことあるような・・・と思っていた。

 なんだっけ、どこで見たんだっけ?

 うーんと頭を捻っていると、遠くから

「きゃあ!」

 とアナベルの悲鳴が聞こえた。

 見ると複数の男性に無理やり連れ去られようとしているところだった。


 思い出した!


 ここはアーサールートでヒロインが暴漢に連れ去られた時にアーサーが助けに来る場所だ。

 

 え、じゃあアーサーが来るの?


 キョロキョロ周りを見回すがアーサーの姿など影も形も見えない。

 

 瞬間移動でもしない限り今のアナベルを助けることは出来ないだろう。

 

 仕方ない、ここはライバル令嬢である私が助けてあげようじゃないの!

 地面に落ちている棒を拾って構える。


「あなたたち何をしているの、その手を離しなさい!」

 暴漢たちは私の声にビクッとしたが、いるのが私一人だと分かるとニヤニヤしながら近寄ってきた。


「おうおう、勇ましいお姉ちゃんじゃねぇか。向こうの女も中々イケてたが、こっちも良いじゃねーか。売れば高い値が付きそうだ。見られちまったし一緒に連れていけ!」

「「「おうっ!」」」


 アナベルを押さえていた半分が私に向かって走ってくる。

 

 私は相手の動きを良く見て一人目をかわし、二人目の腹に棒を叩き込み、三人目は二人目にぶつかってつまづき体勢を崩した所を狙い、脳天に振り下ろした。

 二人ダウン。


「なにすんだ、このアマぁ!」

 最初に避けた1人が襲い掛かってくるのを、振り向き様に顎に向かって横に振り抜いた。

 脳みそが揺れて3人目も白目をむいてダウン。


 棒に付いてしまった血を振り払ってアナベルを押さえている奴らに向かう。

 

 あと3人。


「だめよ、クラウディア様危ないわ、きちゃダメ!」

 アナベルが自分が捕まっているにも関わらず私を止めようとする。


 ほら、本当はアナベルは良い子なのよ。

 だって虹恋のヒロインなんだもの。悪い子のはずないわ。


「大丈夫よ、今私が助けてあげるから」

 アナベルを安心させるようににっこりほほ笑む。


「俺達をあんま舐めんじゃねぇ!」

 アナベルを後ろから掴んでいた一人が私に向かって拳を振り上げてやって来た。


 でも残念ね。棒の方がリーチは長いのよ。


 男が拳を振り下ろす前に空いている右の横っ面に一発。体勢を崩した腹にもう一発。

 男は壁にぶつかってそのまま崩れ落ちた。


 あと2人。


 段々と男達を追い詰めていく。


「くそっ、来るな!来たらこの女がどうなっても知らねぇぞ」

 ボスの男が懐からナイフを取り出してアナベルの首に押し当てた。


 しまった!ナイフを隠し持っていたのか。


「俺達はなぁ、最悪この女を殺しても良いから連れてこいって言われてるんだよ。それ以上近づいたらこの女の首にぶっ刺してやるからな」


 そう言われてしまうと手が出せない。嘘か本当か知らないが、生死問わずなら動いた時点でアナベルは殺されてしまう。


「おらっ、その持っている棒を捨てろ!早くっ!」

 男に言われて仕方なく棒を男の方に放り投げる。


「おい、お前あの女縛って連れてこい」

 ボスは残った1人に命令する。


「ダメよ!クラウディア様早く逃げて下さい!貴方達の狙いは私でしょう?その方は関係ないんだから早く私だけ連れて行きなさい!その方は貴方達が気軽に触れて良い方ではないのよ!」

 アナベルが懸命に私を逃がそうとするが、私だってアナベルを置いてはいけない。


 手下の男が私の手を後ろで縛りアナベルと共に馬車の中に放り込まれた。

ブックマーク登録&評価をして下さった皆様ありがとうございます。(*^_^*)


誤字連絡&感想を下さった皆様ありがとうございます(*^_^*)


下の勝手にランキングを押して下さっている皆様ありがとうございます(*^_^*)


完結まであともうちょっとです。一緒にお付き合いくださいマセ<m(__)m>

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