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ダレルの浮気

 翌朝朝食を終え身支度を整えていると、リリが来たことをマリーに告げられた。


 あと数十分待てば学校で会えるのに一体どうしたのかしらと不思議に思いながら玄関に行くと、目の下にくっきりと隈を作り、憔悴しきったリリが立っていた。

 

「一体どうしたの、リリ。何があったの?」


「ディア~」

 リリは私を見るとポロポロと涙をこぼした。


「ああ、泣かないでリリ。大丈夫よ、大丈夫だからね。私が付いてるわ」

 リリは私にしがみ付いて泣きじゃくり、私は小さなリリを抱き止めて頭を優しく撫でた。

 

 玄関(ここ)では他の使用人達の目があるから、リリをうちの馬車に乗せ学校へ向かってもらった。

 リリはしばらく馬車の中でも泣いていたが、次第に落ち着くと一度大きく息を吸い込んで吐き出した。


「私、ダレル様と婚約を解消しようと思うの」

 リリは震える声ではっきりと言った。


「え!?ちょっと待って、何があったの。喧嘩でもしたの?まさかダレル様が浮気でもしたとか?」


 まさかね、あのダレルに浮気する度胸があるとは思えない。

 第一リリにベタボレだし。


 場をちょっとでも和ませようとして言った冗談だったのだが、それを聞いたリリは顔を真っ青にしてプルプルと震えだした。


「え、ウソ。何かの間違いじゃない?あのダレル様がそんなこと出来る訳ないわよ」

「間違いじゃないわ!私この目でちゃんと見たんだもの!!」

 クワッとリリの目が見開く。

 昨日は寝れなかったようで白目が充血していた。


「リリ、落ち着いて。まずは状況を説明してもらえるかしら」

 リリの両肩に手を置いて視線を合わせ一先ず落ち着かせる。


 リリは私の顔を見た後コクンと頷いて、それからここ最近起こっていたことを説明しだした。


 それはこういうことだった。


 リリが農学科に入ってからダレルはOBとしてちょくちょく顔を出していた。

 最初はリリにずっとくっついて指導していたのに、そのうちある女性が農学科に現れるようになると段々リリを放ってその女性と一緒にいるようになってしまった。

 その女性も最初はルーカスとばかり話していたのに、次第にダレルにベッタリするようになってしまった、と。


 ふむ。


「これは立派な浮気よね。私という婚約者が傍にいるのに他の女性にデレデレするなんて許せないわ!」

 リリはハンカチをギュッと(ねじ)って訴えた。

 そのハンカチを広げたら左右の長さが違っているだろう。


「そうね・・・ところでそのある女性って誰なの?」


 説明の最中(かたく)なにリリはその女性の名前を言わなかったのだが、そこが分からない事には対処の仕様がない。同学年なのか年上なのか。はたまた学生ではなく出入り業者の方なのか。


「・・・・アナベルさん」


 はい?


「だからアナベルさん」

「うそでしょ!?」


 思わず声が出てしまった。

 だって今アナベルはレオと婚約中のはずだ。

 リリだってそれは知っているはずなのに。


「私だって最初は気のせいだって思ったわよ。アナベルさんは王太子殿下の恋人だもの。でも何度そう思っても、二人が仲良く一緒にいる姿を見ちゃうとどうしても疑ってしまうのよ!」

 わあっとリリが再び泣き出してしまう。


「疑ってごめんなさい。落ち着いて、リリ。ね、もうすぐ学園に着いてしまうわ」


 いくらなんでも泣いているリリを人前にさらすわけにいかない。

 かといって馬車をいつまでも停留所に置いてもおけない。他の人の登校の迷惑になってしまう。


「分かったわ、リリ。私も今日は農学科へお邪魔して、ダレル様とアナベルさんの様子をコッソリ観察してみるわ。私の目で二人が恋人同士なのかどうかちゃんと確認するから!」

 

「ありがとう、ディア」

 涙で潤んだ瞳ですがるように見てくるリリ。

 保護欲MAXよ。

 任せといて!

 私の可愛いリリをこんなにも泣かせたダレル、許さん!


 それにしてもアナベルさんもなんてことをしてくれたの。

 ダレルは攻略対象者でもなんでもないただのモブなのよ。


 このままじゃリリが修道院行きになっちゃうじゃない!

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皆様の温かい応援のおかげで書けております<m(__)m>

暑い日が続きますが皆様お体をご自愛下さい。

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