またバカにされた!
数日間に渡るお母様の本気のお見合い絵姿攻撃のおかげで少し寝不足になってしまった。
馬車停留所から降りてすぐにあくびをかみ殺す。
いけないいけない。早朝で人が少ないとはいえ誰に見られるか分かったものではない。
それにしても毎日大量の絵姿をお母様は一体どこから入手して来るのか。
中には隣国の王子や貴族の絵姿まである。
お母様のネットワーク恐るべし。
家柄や容姿、評判などを考慮して1/10ほどに絞ったけれど、今日もまた帰ると大量の絵姿に埋もれるのかと思うと、婚約者が欲しいと言ってしまった自分にちょっと後悔していた。
いやいや、これも今世で結婚する為に必要な事よ。
頑張りましょう!
グッと手に力を込めて自分を奮い立たせていると、前方にレオとアーサーの姿が見えた。
珍しい。
最近はずっとレオはアナベルとギリギリに来ていたし、アーサーも騎士団の方に顔を出していたから滅多に学園にきていなかったのに(放課後アナベルに剣を教え続けているのは知ってたけどね)。
いやだわ、遠回りしようかしら。
表玄関からじゃなくても園舎の中には入れる。
二人と顔を合わせたくなくて進行方向を変えようかと思ったけれど、その前に二人に見つかってしまった。
今さらここで変えたら二人から逃げたように思われる。
実際逃げようとしたのだが、そこは変なプライドが働いて予定通り表玄関へ向かって歩き出した。
胸は意味不明にドキドキするが、もうこの二人は私には関係のない人間だ。
二人の前で止まり挨拶をする。
「おはようございます。王太子殿下。シモンズ様」
そしてそのまま通り過ぎる。
「クラウディア?」
アーサーが不思議そうにつぶやいて私の腕を取る。
「何かご用でしょうか」
腕を掴まれたまま私は冷たく問うた。
「何か怒っているのか?」
「何か私が怒るようなことをなされたのですか?」
「いや、覚えはないが。お前怒っているだろう?」
「・・・お離し下さい。仮にも淑女に対し失礼ですよ」
「お前が逃げないなら離すが。一体何に怒っているんだ?」
「私は何にも怒ってはおりません。シモンズ様の勘違いです」
「その口調、絶対怒っているだろう」
んもう、アーサーしつこい!ヒロインちゃんにメロメロなんだから、もう私なんて放っておいてよ。
アーサーを睨みつけていると、
「婚約者を探しているそうですね」
レオが口を開いた。
地獄耳ね、どこで聞いたのよ。まだ誰にも言っていないのに。
アーサーから腕を取り返しレオに向き直る。
「それが何か?」
お前には関係ないだろうが、ああん!と言ったやくざ張りの返答だ。
「いえ、今さら相手を探してもろくな相手がいないのではとちょっと心配になっただけです」
余計なお世話よっ!
「そうですか、ご心配ありがとうございます。お優しい王太子殿下のお心には涙が出そうですわ。でも心配ご無用です。国内ならず国外の貴族や王族からも大量の申し込みが来ておりますので。頭が固くとも行き遅れにならずに済みそうですわ。ほほほほほ」
言われた嫌味をそのまま返してやる。
私の嫌味が分かったのかレオの顔色が悪くなった。
無礼で悪かったわね、良いわよもう。不興を買ったってあの絵姿の中の外国の誰かと結婚して国外に出ちゃえば良いんだもの。レオなんて怖くないわ。
「アナベルさんと王太子殿下の仲睦まじい様子も良く聞こえてきますわ。もしかしたら私の結婚式の方が早くてお二人がご結婚する頃には国内にはいないかもしれませんから、先にお祝いの言葉だけ述べさせていただきますね。おめでとうございます」
「ああ、ありがとう」
「それで、ご用事がないようでしたら私もう行きたいのですが」
「ああ」
レオから許可が出たので二人から立ち去る。
やっぱり迂回すれば良かったわ、あんなにバカにされると思わなかった。
行き遅れかけてて悪かったわね!
自分がヒロインとラブラブだからってあんまり人をバカにするんじゃないわよ。
絶対絶対ぜーったいレオやアーサーより格好良い人見つけてやるんだから!!!
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