ディアの相手探し
私がいきなり婚約者を探して欲しいと言い出したことでお父様が固まった。
「えっと、それはディアのってことで良いのかな?」
「もちろんです」
他に誰がいると言うのか。
「アンブ、アンブローシア!ちょっと来てくれ!!」
お父様は混乱してお母様の名前を呼んだ。
お母様が召喚された。テレテテッテレ~。
いやいや、遊んでいる場合ではなかった。
お父様に説明を受けたお母様も一緒になって驚いていた。
いや、だからなぜお母様まで驚くの?
この世界の令嬢は早くて5歳~遅くとも成人前には婚約者が決まっているのが普通だ。
むしろ私行き遅れのバスに片足突っ込んでますからね。
「私ももう15歳です。お父様やお母様に甘えて過ごしてきましたが、いい加減大人になろうと思います」
「いや、ディアは勉強も頑張っているし、マナーも完璧だし全然甘えてないぞ」
「そうよ、ディア。あなたは頑張っているわ。一体急にどうしちゃったの?」
「私に面白みがなくてモテないことは分かっています。ですが私は結婚したらきちんと相手の方に尽くしますし、お相手のご家族に恥ずかしい思いをさせるつもりもありません。ですからお父様のお力で私に婚約者を探して下さい」
お願いしますと頭を下げる。
「私達のディアがモテない事などあるものか!」
「そうよ、こんなに可愛くて完璧な令嬢世界広しと言ってもディアだけよ」
両親の愛がありがたくて涙が出ちゃう。
でもごめんなさい。モテないんです、私。
「なぁ、ディア。レオン王太子殿下も17歳でまだ婚約者が決まっていないし、アーサー君だってまだだろう。二人より2歳も下のディアが急ぐことはないだろう」
「王太子殿下には既に婚約秒読みの恋人が出来ましたし、アーサーはえり好みしなければすぐにでも恋人が出来ます。でも私は違うんです。それに男性の17歳(婚約者なし)と女性の15歳(婚約者なし)では意味が違います」
「ぬぁんですってぇ~~~~~!!!!!」
私の発言に怒ったのはお母様だ。
「レオン第一王子に恋人が出来たですって!そんな話私知りませんわよ。あなたは知っていまして!?」
お母様の問いに視線を逸らすお父様。
お父様バレバレです。
「そうですか・・・、あなたもご存じなほど有名なお話でしたのね。私だけ蚊帳の外で。ふ、ふ、ふふふふふふ」
「あ、アンブ。落ち着いて、ねっ。どうどう」
お父様それ馬の落ち着かせ方です。お母様には効きません。
「分かりました!クラウディア。お母様があなたに世界一立派な殿方を探して差し上げます!!」
「お母様、ありがとうございます!」
「アンブ!ディア!」
お父様の悲鳴が聞こえますが母娘は無視です無視!
頼りにしてます。お母様♪
◆
翌日から学園から戻ると大量の姿絵を見せられた。
この世界にはまだ写真というものがないから、大体画家に描かせたものを相手方へ送る。
姿絵の大体3割減が真実の姿と思っていいだろう。
ちょいぽっちゃりはデブ。
少し不細工はかなり不細工。
薄い髪はハゲ。
パス、パス、パス、パス、パス、パス、パス、パス、パス。
開いては閉じ開いては閉じを繰り返していたらいい加減飽きてきた。
「疲れた~」
1/3ほどめくったところで力尽きてしまった。
「お疲れ様でございます」
マリーが良いタイミングでお茶を淹れてくれた。
「ありがとうマリー」
もうマリーを私のお嫁さんにして終わりにしたい。
庭師のビリーとラブラブなの知ってるからもらえないけどさ。ちぇ、いいなビリー。
「お嬢様のお目に適う男性はいらっしゃいませんでしたか?」
コクリと一口飲んで息をつく。
「絵姿だけじゃ分からないわ。実際に知り会ったらとても良い人で、もしかしたら好きになるかも知れないけれど、絵姿だけじゃどうしても選り好みしてしまうんだもの」
なにせ7年間私の周りには超絶美形しかいなかったのだ。
レオやアーサーと比べてしまうと、どうしても物足りなく思ってしまう。
「やっかいだわ。こうなったら適当に指突っ込んで当たった人とお見合いしようかしら」
「その方が巨デブで足臭だったらどうしますか?」
マリーが空になった私のカップにお代わりを注いでくれながら言う。
「・・・ちゃんと全員見ることにするわ」
その日余りの大量ゆえに夜になっても絵姿を全部見終えることが出来なかった。
お母様本気出し過ぎです。
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