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アーサーも落とされた

 本科が終わり皆が帰ったり専科へ移動している中、私はアーサーを見かけた。

 3年はほとんど自由登校だし、最近アーサーは騎士団の方にばかり行っていて学園に来ていなかったから、嬉しくなって急いで剣術学科へ向かった。


 久々に手合せしてもらおっと♪


「アーサー」

 均整のとれたスラリとした肢体は後姿だけで誰かわかる。

 綺麗な筋肉。うっとり。


 剣術学科の制服(ユニフォーム)を着たアーサーがこちらを振り返る。

 一瞬眉をひそめられた気がした。

 ビックリして走っていた足が止まってしまう。


「クラウディア、どうした?」

 いつものアーサーだった。


「あ、ううん。なんでもない」

 気のせい、よね。アーサーまで私を嫌うなんてことないわよね。

 再びアーサーに向かって歩き出す。


「あのね、時間があるならちょっとだけ稽古付けてもらいたいなって思って」


「悪いがそれは無理だ」


「忙しい?」


「ああ。バート男爵令嬢に稽古を付けたらまた騎士団の方へ戻らないといけない」


「え!?」


 大きな身体のアーサーの奥でアナベルが稽古着に着替えて立っていた。


「なんで、アナベルさんが・・・」


「こんにちは、クラウディア様。クラウディア様が剣の稽古をなさってるってレオン様から聞いて、私もアーサー様にお願いしてみました」

 ニコニコと笑うアナベルに悪気はない。


 アーサーは私の婚約者じゃないし、剣術科の後輩にもよく稽古をつけている。

 当たり前の光景だ。

 そう、良くある事・・・・。


 でもアーサーがアナベルさんに稽古を付けるのを見るのはなぜだか嫌だった。


「良かったら私がアナベルさんに稽古を付けるわ」

 アーサー程じゃないけど私だってそこそこ剣が使える。

 お遊びでやるなら私レベルで十分のはずだった。


「私は構いませんが、でも、あの」

 アナベルがチラリとアーサーを見る。

 アーサーはそれを無言で受け止め私に告げた。


「お前の技量ではまだ人に教えて伸ばすことは出来ない。お前にはまた今度稽古を付けてやるから今日は帰れ」

 アーサーからのハッキリとした拒絶。


 レオに続いてアーサーまで・・・。


 頭がガンガン鳴り響いている。

 

 そうだ、アーサーの攻略の第一歩はアーサーから剣を教わることだった。

 ヒロイン(アナベル)はレオに続いてアーサーまで攻略しようとしている。


 ヒロインが食指を動かしたらライバル令嬢である私が勝てるわけがない。


 アーサーに拒否されてトボトボと廊下を歩きながら、涙が出そうになるのを懸命にこらえた。


 こんな所で泣いてたまるものか!


 プライドの高いライバル令嬢がクラウディア=エストラルなのだから!


 いつもよりはるかに早く帰ってきた私に使用人達は心配して声を掛けてきたが「なんでもないから一人にして欲しい」と告げ、部屋に籠り一人で泣いた。


 泣いて泣いて泣き疲れた頃、私は思い出した。

 

 長い間一緒にいたせいでなんとなくレオとアーサーの隣は自分のように思っていたが、元々あの席はヒロイン(アナベル)のものなのだ。


 ちょっとだけ私が借りていただけで、元の持ち主に返す時が来たのだ。


 なんだ、そっか・・・。なぁんだ。。。


 ふらりと立ち上がると鏡に自分の姿が映った。

 泣きまくったせいで目が腫れているし髪もボサボサだ。


「酷い顔、幽霊みたい」

 空元気でも笑ったらなんだか力が出て来た。


 マリーを呼んで蒸しタオルと冷たいタオルを用意してもらう。

 腫れあがった眼に交互に当てて浮腫みを取る。

 1時間くらいしてやっと元に戻ったので、マリーに髪を整えてもらいお父様の部屋へ向かう。


「おお、ディア。具合が悪いと聞いていたがもう大丈夫なのかね?」

 お父様は机でまだお仕事の最中だったけれど、私が入るとペンを止めソファーに移動してきた。


「はい、ご心配おかけしました。つきましてはお父様にお願いがあるのですが」

 お父様がソファーに座るのを待ってから切り出す。


「なんだ、ディアがおねだりなんて珍しいな。言ってごらん」

 愛娘の久しぶりのおねだりにすでに相好が崩れている。


「はい。私に婚約者を探して下さい」 

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